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ナイトに関連する小説ニュースまとめ

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ナイト ニュース検索結果

2021.8.3  【今週はこれを読め! エンタメ編】勇気づけられる連作短編集〜桂望実『終活の準備はお済みですか?』

実用本・フィクションを問わず、終活に関する本が多数出版されていることは、少し前から気になっていた。

2021.7.26  作家の読書道 第231回:佐藤究さん

今年『テスカトリポカ』が山本周五郎賞と直木賞を受賞、注目を集める佐藤究さん。幼い頃はプロレスラーになりたかった福岡の少年が、なぜ本を読み始め、なぜ小説を書き始め、なぜ群像新人文学賞受賞後に江戸川乱歩賞で再デビューしたのか。そしてなぜ資本主義について考え続けているのか。直木賞発表前の6月、リモートでおうかがいしました。

2021.7.22  【今週はこれを読め! ミステリー編】ヴァランダー・シリーズ最後の書『手/ヴァランダーの世界』

――これはクルト・ヴァランダー・シリーズ最後の出版物である。このシリーズはこの本をもって終了する。

2021.7.14  【今週はこれを読め! エンタメ編】綾崎隼『死にたがりの君に贈る物語』に心を揺さぶれる!

正論は時に人の心を逆撫でする。もしも本書の登場人物たちに話しかけることができるとしたら、よかれと思って忠告する人も多いだろう。

2021.7.13  【今週はこれを読め! SF編】伊藤典夫が手ずから選んで訳した英米SFの名作八篇

伊藤典夫さんと言えば、日本にジャンルSFが定着しはじめた1960年代から英米のSF動向を紹介、新鮮な作品の翻訳を担ってきた第一人者。その伊藤さんがこれまで翻訳したなかから、とくに思いいれの深い作品を選りすぐったアンソロジーが本書である。

2021.6.25  作家の読書道 第230回:一穂ミチさん

短篇集『スモールワールズ』が大評判となり、直木賞にもノミネートされている一穂ミチさん。文体も形式も人物造形も自在に操って読者の心を揺さぶる一穂さん、同人誌での二次創作からBL小説でプロデビュー、そこから一般文芸へと活動の場を拡張中。漫画も小説もノンフィクションも幅広いジャンルを読むなかで惹かれた作品とは? さらにはアニメや動画のお話も。リモートでたっぷりおうかがいしました。

2021.6.25  【今週はこれを読め! ミステリー編】ユダヤ人古書店主の決死の犯罪捜査『狼たちの城』

この設定で話がつまらなくなるはずがないだろう。

2021.6.23  【今週はこれを読め! エンタメ編】過去にとらわれた男の旅〜遠田潤子『緑陰深きところ』

主人公の三宅紘二郎は、40年以上前に大阪・ミナミの外れで「河童亭」というカレー店を開いて、すでに70歳を過ぎた。

2021.6.18  【今週はこれを読め! ミステリー編】疾風怒濤のホラー西部劇『死人街道』

神を激しく憎みながらその憎悪の対象に祈りを捧げる以外の生き方を知らない男。

2021.6.16  【今週はこれを読め! エンタメ編】読後感さまざまの将棋短編小説集〜芦沢央『神の悪手』

近年将棋は安定した人気を保っているが、プロ棋士として活躍することがどれだけたいへんなことか理解している人は少ないだろう(と、偉そうに言えるほどには私自身も理解が足りていないのだが)。

2021.6.9  【今週はこれを読め! エンタメ編】緊急事態宣言下の1日1編『Day to Day』

昨年緊急事態宣言が出たとき、いままでに経験したことのない状況に対しての不安や緊張感があった。非日常な空気に押しつぶされそうになり「本を読む気になれなくなった」という声をあげる方々も、かなりの数いらしたと記憶している。幸い私は文学作品に頼って過ごしており、昨年の春は1日1編の短い小説やエッセイに元気づけられる日々でもあった。リアルタイムで読んだ方も読めなかった方も、この機会にぜひ手に取られることをおすすめする。あの心細かった毎日をなんとかして乗り切ろうとしていた自分たちの必死さが、少しでも報われるような気がするから。

2021.6.8  田辺聖子さんの学生時代の日記見つかる 終戦の日の心境克明に

人生の機微を軽妙に語る小説やエッセーなどを数多く残し、おととし91歳で亡くなった作家の田辺聖子さんが、終戦の日を迎えた心境などを克明につづった学生時代の日記が見つかりました。「軍国少女」の一面がうかがえる一方で、戦争に振り回される境遇に対する率直な思いも記されています。

2021.6.2  【今週はこれを読め! エンタメ編】残酷さと優しさが共存する短編集〜一穂ミチ『スモールワールズ』

読み終えて、人間って残酷で勝手だなと思った。だけど、その残酷さや勝手さは、優しさや思いやりみたいなものと共存し得るんだとも思った。

2021.5.26  【今週はこれを読め! エンタメ編】おもちさん83歳の日々〜朝倉かすみ『にぎやかな落日』

私があと30年生き長らえることができれば、主人公のおもちさんと同年代になる。

2021.5.21  【今週はこれを読め! ミステリー編】九歳の少年が出会う苛酷な世界『ブート・バザールの少年探偵』

少年が出会った世界には光が降りそそいでいたか。それとも。

2021.5.12  【今週はこれを読め! SF編】人虎伝説が残る1930年代マレーシアを舞台にした謎と冒険

著者は中国系のマレーシア人で、幼少時代をいくつかの国ですごしたという。ハーバート大学を卒業し、経営コンサルタントやスタートアップ企業での勤務を経て、2013年、長篇The Ghost Brideでデビュー。本書『夜の獣、夢の少年』は第二長篇で、2019年に発表された。どちらの作品も、ニューヨークタイムズ・ベストセラーになっている。

2021.5.11  【今週はこれを読め! SF編】人虎伝説が残る1930年代マレーシアを舞台にした謎と冒険

著者は中国系のマレーシア人で、幼少時代をいくつかの国ですごしたという。ハーバート大学を卒業し、経営コンサルタントやスタートアップ企業での勤務を経て、2013年、長篇The Ghost Brideでデビュー。本書『夜の獣、夢の少年』は第二長篇で、2019年に発表された。どちらの作品も、ニューヨークタイムズ・ベストセラーになっている。

2021.4.28  【今週はこれを読め! エンタメ編】父親になっていく青年の変化〜オウラヴスドッティル『花の子ども』

主人公のアルンリョウトゥル(ロッビ)は22歳の青年。母さんが事故で亡くなって以来、父さんとふたり暮らしだ。双子の弟であるヨセフは自閉症で、ふだんは施設にいる。そしてロッビには、一夜をともにした相手・アンナとの間に赤ん坊がいる。ロッビたちは結婚しておらず、ふたりの娘であるフロウラ・ソウルはアンナと暮らす。

2021.4.23  作家の読書道 第228回:阿津川辰海さん

大学在学中に『名探偵は嘘をつかない』でデビュー、緻密な構成、大胆なトリックのミステリで注目を浴びる阿津川辰海さん。さまざまな読み口で読者を楽しませ、孤立した館で連続殺人事件に高校生が挑む新作『蒼海館の殺人』も話題。そんな阿津川さん、実は筋金入りの読書家。その怒涛の読書生活の一部をリモートインタビューで教えていただきました。

2021.4.20  【今週はこれを読め! SF編】そこにあるだけの奇跡、手を伸ばしつづける希望

エリザベス・ハンド『過ぎにし夏、マーズ・ヒルで』(東京創元社《創元海外SF叢書》)

2021.4.14  【今週はこれを読め! エンタメ編】料理とおみくじで一歩を踏み出す短編集〜冬森灯『うしろむき夕食店』

食べ物の描写がおいしそうな文章は、もうそれだけでありがたい。食は大事。栄養学的な観点からももちろんだけれど、単純においしいものを食べたときの格別な幸せを思うだけでも、食事の大切さは決してないがしろにできないと思う。...という意見に賛同してくださるあなたに、ぜひおすすめしたい本がございますのよ。

2021.3.27  作家の読書道 第227回:尾崎世界観さん

2001年にロックバンドのクリープハイプを結成、12年にメジャーデビュー。ヴォーカル、ギター、作詞作曲で活躍する一方、16年に小説『祐介』を発表した尾崎世界観さん。最新作『母影』が芥川賞にノミネートされるなど注目を浴びる尾崎さんは、どんな本を求めてきたのか。歌うこと、書くことについて切実な思いが伝わってくるお話です。リモートでインタビューを行いました。

2021.3.3  【今週はこれを読め! エンタメ編】豪華ショートショート集『超短編! 大どんでん返し』

チョコレートのアソートボックスとかたくさんのネタが並んだお寿司桶とか、いろいろな種類が揃ったものってうれしいですよね。本書はまさにそんな本。アンソロジーといっても30人もの作家の作品が1冊で読める本って、なかなかないと思います。そんな夢のような企画が可能になったのは、掲載作品がほぼ4ページという「超短編」だから。

2021.2.24  【今週はこれを読め! エンタメ編】かけがえのない日常を描く短編集〜奥田英朗『コロナと潜水服』

奥田英朗さんの小説を読むとたいてい心に浮かんでくるのは、「身につまされる」という言葉だ。奥田作品と一口にいっても読み心地は幅広くて、『最悪』(講談社文庫)のようなエッジの効いたものももちろんすごいのだが、個人的には『家日和』(集英社文庫)などのそんなに大きな事件は起こらないけれどもかけがえのない日常が描かれた小説が好きだ。そして、『コロナと潜水服』もそういった作品5編が集められた短編集である。

2021.2.19  【今週はこれを読め! ミステリー編】フィルム・ノワールのような警察小説『刑事失格』

一言で表すなら、フィルム・ノワールの気配をまとった警察小説である。

2021.2.18  【今週はこれを読め! エンタメ編】さまざまに変わっていく家族の物語〜窪美澄『ははのれんあい』

「母の恋愛」というものが描かれた作品なのかな、と思いながら読んだけれど(もちろんそこにも触れられるのだけれど)、何よりも家族というものについての小説だった。家族に恵まれている人も残念ながらそうでない人も、すべての人が読むべき作品だと思った。

2021.2.17  【今週はこれを読め! SF編】夏への扉はなくても、猫がいればあたたかい

芝村裕吏『統計外事態』(ハヤカワ文庫JA)

2021.2.10  【今週はこれを読め! エンタメ編】年ごとに移ろいゆく家族の日常〜藤谷治『睦家四姉妹図』

「定点観測小説」が好きだ。定点観測小説というのはたったいま考えた名称だけれども、場所(=小説の舞台)が固定された状態で、同じキャラクターが年齢を重ねていくor違う登場人物たちが入れ替わり立ち替わり出てくるといった作品を念頭に置いている。ぱっと思いついたものでは、半世紀の間に同じアパートの五号室に暮らした歴代の住人たちが登場する『三の隣は五号室』(長嶋有)とかイングランドの荒野に建つ屋敷の人々を次世代まで描いた『嵐が丘』(エミリー・ブロンテ)とか(テイストはえらく違いますけど)。

2021.2.3  【今週はこれを読め! エンタメ編】新幹線の開発に込められた思い〜まはら三桃『零から0へ』

かつて日本は戦争をしていた。そのために命を落としたのは老若男女問わずであったが、中でも多くの若い人々が主戦力として戦地に送られた。数え切れないほどの若者たちが落命し、未来を断たれた。人々の暮らしをよりよくするはずの技術の進歩は、戦没者の数を増やす要因にもなり得た。戦争は、残された家族のみならず、戦闘機の設計などを手がけた技術者たちの心にも深い傷を負わせた。

2021.1.28  【今週はこれを読め! ミステリー編】ウイルス蔓延下、封鎖都市の殺人事件『ロックダウン』

ウイルス蔓延下、厳戒態勢の都市で刑事はどう動くのか。

2021.1.27  【今週はこれを読め! エンタメ編】女子高生バンド3人組の20年後の物語〜角田光代『銀の夜』

本書における主要人物は3人の女性。彼女たちが出会ったのは、幼稚園から短大までの一貫教育の女子校。ちづるは小学校から、麻友美は中学校から入学し、伊都子は中2のときの転入組だった。中3で同じクラスになった3人は、アマチュアバンドコンテストに出場する。急ごしらえのバンドの実力は圧倒的に不足していたものの、丈を短くした制服のスカートで歌う最年少出場者として注目された。タレント事務所から声がかかり、彼女たちのバンド「ひなぎく」は「ディズィ」としてデビューすることに。

2021.1.23  作家の読書道 第225回:町田そのこさん

2020年に刊行した『52ヘルツのクジラたち』が未来屋小説大賞、ブランチBOOK大賞を受賞するなど話題を集めている町田そのこさん。少女時代から小説家に憧れ、大人になってから新人賞の投稿をはじめた背景には、一人の作家への熱い思いが。その作家、氷室冴子さんや、読書遍歴についてお話をうかがっています。

2021.1.21  【今週はこれを読め! エンタメ編】義肢装具士への道〜山本幸久『神様には負けられない』

『神様には負けられない』の主人公は、渋谷医療福祉専門学校(通称シブイク)の2年生である二階堂さえ子。義肢装具士を目指している。

2021.1.20  芥川賞は宇佐見りんさん・直木賞は西條奈加さん

芥川賞と直木賞の選考会が開かれ、芥川賞に宇佐見りんさんの「推し、燃ゆ」が、直木賞に西條奈加さんの「心淋し川」(うらさびしがわ)が、それぞれ選ばれました。

2021.1.6  【今週はこれを読め! エンタメ編】地球滅亡までの1ヶ月の物語〜凪良ゆう『滅びの前のシャングリラ』

"地球の滅亡まであと○○"という物語に外れはない。ぱっと思いつく限りでは、『ひとめあなたに...』(新井素子/創元SF文庫)も『終末のフール』(伊坂幸太郎/集英社文庫)もそうだ。そして、新たにこの系譜に連なるのが本書。

2021.1.1  第55回北日本文学賞受賞者インタビュー

宮本輝氏選「第55回北日本文学賞」(副賞100万円)は、大阪市の大学院生、谷町蛞蝓(なめくじ)さん(32)の「きぼう」に決まった。

2020.12.23  【今週はこれを読め! ミステリー編】満身創痍の探偵ハリー・ホーレを読むべし!

満身創痍という四文字がこれほど似合う男はいない。

2020.12.9  【今週はこれを読め! エンタメ編】それぞれ味わいの異なるイヤミス短編集〜芦沢央『汚れた手をそこで拭かない』

ちょっと、みなさんご存じかしら? 独立短編集ってなかなか売れないんですって。

2020.11.28  「作家になるとは思わなかった」三浦しをんさん流「小説の書き方」

熱い友情、悲しい恋愛、夢あふれる冒険――。心揺さぶられる小説に出合ったとき、自分も物語を書きたいと思ったことはないだろうか。

2020.11.25  【今週はこれを読め! エンタメ編】お誕生会をめぐる短編集〜古内一絵『お誕生会クロニクル』

何歳になっても誕生日はうれしい。それはその通りとして、私はずっと8月下旬の自分の誕生日が好きではなかった。①夏が苦手②夏休みの宿題が終わっていないと焦り始める時期なので、心から楽しめない③8月には原爆の日や終戦の日などがあるので、大っぴらに喜ぶのはためらわれる...といった感じ。誕生会そのものの思い出としては、幼稚園で催された会が7・8月合同だったうえに、おやつがぶどう(デラウエア)一房だけだったことも心のしこりとなっている(他の月はカップケーキとかクッキーとかチョコレートとかだった)。

2020.11.5  <岬のマヨイガ>柏葉幸子の小説が劇場版アニメ化 吉田玲子脚本 david production製作 2021年公開

2016年に野間児童文芸賞を受賞した柏葉幸子さんの小説「岬のマヨイガ」(講談社)が、アニメ化され、劇場版アニメとして2021年に公開されることが分かった。岩手県の古民家を舞台に居場所を失った17歳の少女と住人たちの共同生活が描かれる。「のんのんびより」などの川面真也さんが監督を務め、「若おかみは小学生!」などの吉田玲子さんが脚本を手掛ける。「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズなどのdavid productionが製作する。

2020.11.4  【今週はこれを読め! エンタメ編】両角長彦『ある実験 一人選べと先生が言った』を一気読み!

マイケル・キートンが演じたときの「バットマン」がよかったと思うのだが、それはジャック・ニコルソンのジョーカーが好みだったからかもしれない。

2020.10.15  独占インタビュー「ラノベの素」 大森藤ノ先生『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2020年10月15日にGA文庫より『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』第16巻が発売された大森藤ノ先生です。TVアニメ第3期も10月より放送開始となる中、原作小説は新たな展開を迎える新章に突入します。2013年の『ダンまち』シリーズ刊行から約7年。過去から現在までを振り返り、作品との向き合い方や物語の立ち位置、そして本編から紐解くベル・クラネルをはじめとしたキャラクター達の成長に関するお話など、様々にお話をお聞きしました。ファン必見の『ダンまち』の今を語ります!

2020.10.7  【今週はこれを読め! エンタメ編】クリムトの絵をめぐる壮大な騙し合い~望月諒子『哄う北斎』

学校で通知表をもらっている間ずっと図工や美術で芳しくない成績を取り続けてきた身なれど、アートものの小説は最も食指を動かされる分野のひとつ。よくあるでしょう、自分にないものに憧れる心理というやつ。

2020.10.6  【今週はこれを読め! SF編】映像は武器たりえるか、レンズを通して語る女たちの年代記

書き下ろし長篇。ひとつの物語が順々に語られていくのではなく、いくつものエピソードが嵌めこまれている。エピソード間の連続性が明らかなものもあれば、断片的に挿入されるものもある。また、別のエピソードとつながるように思えるが、ずいぶん先まで読まないとその関係が見えてこないものもある。技巧的に設計されたモザイク小説というより、撮りためたドキュメンタリーフィルムのように未完成の部分を残しているかんじだ。整理しきらないからこそ伝わる迫真がある。

2020.9.26  作家の読書道 第221回:高山羽根子さん

この夏、『首里の里』で芥川賞を受賞した高山羽根子さん。これまでも一作ごとにファンを増やしてきた高山さん、多摩美術大学で日本画を専攻していたという経歴や、創元SF短編新人賞に佳作入選したことがデビューのきっかけであることも話題に。読んできた本のほか美術ほか影響を受けたものなど、高山さんの源泉について広くおうかがいします。

2020.9.23  【今週はこれを読め! SF編】オリジナル・アンソロジー・シリーズの三冊目。七篇を収録。

オリジナル・アンソロジー・シリーズの三冊目。七篇を収録。

2020.9.9  【今週はこれを読め! エンタメ編】誰もが輝くバスケ小説〜藤岡陽子『跳べ、暁!』

バスケットボールって、ほんとうにハードなスポーツだというイメージがある。ほぼずーっと走りっぱなし、手も足も使う、ジャンプ力も要求される。未経験者からすると、こんなにいっぺんにいろんなことをしなければならないのが信じられない。しかも、チームワークまでが重要になってくるのだ。

2020.8.31  【今週はこれを読め! ミステリー編】鼻つまみものの刑事の危険な小説『笑う死体』

探偵は信用できないが、謎解きのためには作者を信頼するしかない。

2020.8.26  【今週はこれを読め! エンタメ編】おいしいものが励ましてくれる物語〜冬森灯『縁結びカツサンド』

カツはおいしい。関東出身であることも関係するのか、個人的にはやはりカツは豚肉というイメージがある。村上春樹さんが"関西ではカツといえば牛肉"といった趣旨のエッセイを書いておられて、長らくビーフカツを食べることを熱望していたのだが(そして、実際に食べてみてとてもおいしかったのだが)、トンカツの方が汎用性があることには多くの方が賛成してくださるのではないだろうか(卵でとじる一般的なカツ丼などは、豚で作る方が合う気がするし)。そこでカツサンド。ビーフカツのサンドウィッチももちろん美味だけれど、本書で登場するのは豚肉を使ったものものだ。夏の青空に規則正しく並んだ縞模様の雲を見て、スペアリブを連想してみるのも楽しいと思う(本文ご参照のこと)。

2020.8.6  【今週はこれを読め! エンタメ編】幸せは一種類じゃない!〜桂望実『結婚させる家』

理想のあり方、というものがある。ある、というか、一般的にそれが理想だとみなされているテンプレートがある。その最たるものが、理想の家族像ではないだろうか。両親が揃っている、子どもはふたりくらい、できれば庭付きの一軒家、といったあたりが最も必要とされる条件に違いない。

2020.7.29  【今週はこれを読め! エンタメ編】「普通」に縛られない家族の物語〜寺地はるな『水を縫う』

家族とは何か。仕事とは何か。新入社員&就活生の息子たちがいる今年の我が家において、常に心を占める問題となっている。どういう仕事をして生きて行きたいか。仕事をしていくうえでどんな心構えでやっていかなければならないか。難しいのは、自分の経験を踏まえて多少のアドバイスはできても、それが息子たちの心に響くとは限らないし、そもそも全方位的に効く忠告などないということだ。であれば、自分のやるべきことは最終的には自分の心に聞くしかない。息子たちも、私も。

2020.7.22  【今週はこれを読め! エンタメ編】鯨井あめ『晴れ、時々くらげを呼ぶ』にやられた!

やられた。完全にやられた。途中までは、高校生たちの無謀とも思えるクラゲ乞いに対して、一歩引いた感じでみていたのに。クラゲが降るとか降らないとか、SFっぽい設定だなあ。世界中に迷惑をかけたいといっても、「病院はてんてこ舞い」な状況を期待するのはいただけないけど(コロナで医療崩壊が危ぶまれるこの時期に)。そもそもなんでクラゲなんだろ。...といった具合に。でも、最後まで読んで、すべて納得できた。迷惑になってもいい。クラゲが降るまで呼べばいい。

2020.7.15  【今週はこれを読め! エンタメ編】"意外性の作家"の短篇集〜津村記久子『サキの忘れ物』

津村記久子さんって思っていたのとはちょっとイメージの違う作家かもしれない、と思ったのは「フェリシティの面接」という短編を読んだときだ。アガサ・クリスティが生んだ名探偵エルキュール・ポアロの秘書であるミス・レモンが活躍する軽妙な作品で、『名探偵登場!』(筒井康隆他/講談社文庫)というアンソロジーに収録されている。津村作品といえば"職業小説(往々にしてパワハラあり)"という印象が強かったのだが、こんなミステリー絡みのしゃれた作品を書かれるとは思っていなかった(職業小説ではある)。「フェリシティの面接」は、読書好きの方でもあまりご存じでないような気がするので(Wikipediaの津村さんのページにも載っていなかった)、ぜひこちらもお手にとっていただけたら。

2020.7.15  芥川賞に高山羽根子さんと遠野遥さん 直木賞に馳星周さん

第163回芥川賞と直木賞の選考会が15日開かれ、芥川賞は高山羽根子さんの「首里の馬」と遠野遥さんの「破局」の2つの作品が選ばれました。また、直木賞は馳星周さんの「少年と犬」が選ばれました。

2020.7.8  【今週はこれを読め! エンタメ編】甲子園を整備するプロの仕事〜朝倉宏景『あめつちのうた』

もともと激ユルだった私の涙腺は、加齢とともに衰弱の一途をたどっている。にしても、我ながらいくら何でも泣きすぎだろうと思ったのが、数年前高校野球をテレビで見ていた際にまっすぐに引かれたグラウンドの白線を見て涙ぐんでしまったことだ。「ああ、こんなに美しくグラウンド整備をすることで、選手たちを支えるスタッフがいらっしゃる...!」と感極まり、一緒に見ていた家族たちを震撼させた。いま思えば、あのときの私は阪神園芸さんの芸術的な仕事ぶりに胸を打たれていたのか...。

2020.7.1  【今週はこれを読め! エンタメ編】"エンターテインメント小説界の至宝"の家族小説〜遠田潤子『銀花の蔵』

「エンターテインメント小説界の至宝」は、私が独断で作家・遠田潤子のキャッチコピーとして使用しているフレーズである(遠田作品のレビューではこれからもどんどん使っていこうと思ってます)。

2020.6.27  作家の読書道 第218回:藤野可織さん

不穏な世界を時に美しい言葉で、時に奇想を炸裂させた設定で描き出す藤野可織さん。2013年には『爪と目』で芥川賞を受賞、最近では女性2人が破滅に向かう世界で活き活きと冒険する『ピエタとトランジ<完全版>』が評判に。この世界観を生み出す背景に、どんな読書遍歴があったのでしょう? 小説だけでなく、影響を受けた漫画や好きな映画や俳優についてもたっぷり教えてくださいました。

2020.6.23  【今週はこれを読め! SF編】二重の有徴を背負った人生、呪われた天分、世界を護り/滅ぼす才能

《破壊された地球》三部作の開幕篇。待望の邦訳である。

2020.6.23  【今週はこれを読め! ミステリー編】追い詰められた者の小説『その手を離すのは、私』

逃亡者、あるいは追い詰められた者の小説というべき作品である。

2020.6.17  【今週はこれを読め! エンタメ編】最高の短篇作家の作品集〜イーディス・パールマン『蜜のように甘く』

「現存するアメリカ最高の短篇作家」(「ボストン・グローブ」紙)、「世界最高の短篇作家」(ロンドン・タイムズ」紙)といった絶賛は、本書の著者であるイーディス・パールマンのためのものである。

2020.6.9  文学賞の選考もリモートで…江戸川乱歩賞に佐野広実さん

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、文学賞の選考にも新たな方法が取られています。ミステリー小説の登竜門として知られる江戸川乱歩賞は、今回初めてテレビ会議システムで選考が行われ、佐野広実さんの『わたしが消える』が選ばれました。

2020.5.28  【今週はこれを読め! ミステリー編】人間の残酷さを浮かび上がらせる作品集『おれの眼を撃った男は死んだ』

シャネル・ベンツ『おれの眼を撃った男は死んだ』(東京創元社)には、優れた短篇に与えられるO・ヘンリー賞を2014年に獲得した「よくある西部の物語」を含む10の小説が収められている。知っている限りベンツが邦訳されるのはこれが初めてだ。テネシー州メンフィス在住で、ローズ・カレッジで教鞭を執っているという以外の経歴はわからない。

2020.5.27  【今週はこれを読め! エンタメ編】一冊の本をめぐるスパイ物語〜ラーラ・プレスコット『あの本は読まれているか』

私のスパイへの強い憧れについては当コーナーをずっと読んでくださっているみなさん(そんな奇特な方など存在するのだろうか)はご存じだと思うが、本書のスパイ活動にはとりわけ興味を引かれた。なぜならこれは、一冊の本をめぐる特殊作戦を描いた物語だったから。

2020.5.21  【今週はこれを読め! ミステリー編】達人ミネット・ウォルターズの性格劇『カメレオンの影』

ミステリーの興趣は性格喜劇、もしくは悲劇のそれにつながる。

2020.5.20  【今週はこれを読め! エンタメ編】農業にまつわる8つの物語〜瀧羽麻子『女神のサラダ』

私の父方の祖父母は現代においてはめっきり少なくなった専業農家だったのだが、本書を読んで自分が農業について全然わかっていないということがわかった。毎日食べるものを作ってもらっているというのに。まして生産者の方々の気持ちなど、なおさら理解できていなかった。

2020.4.29  【今週はこれを読め! エンタメ編】"最後の文士"の告白〜岩井圭也『文身』

主人公の庸一は、最初に就職した工場で自分の名前の漢字を聞かれて「凡庸の庸」と答えた。しかし、実際には凡庸どころの話ではない。須賀庸一という人間は、まぎれもなく希有な存在だと思う。

2020.4.22  【今週はこれを読め! エンタメ編】変わってゆく主婦・絵理子がまぶしい〜窪美澄『たおやかに輪をえがいて』

主人公の絵里子は私と同じ52歳。以前はそんなに気にしたことはなかったのに、最近本を読んでいて登場人物が自分と同年代だとそのことについて強く意識するようになった。

2020.4.14  【今週はこれを読め! SF編】ふたつの偽史が結ぶ真実の因果

日本ファンタジーノベル大賞2019受賞作。古代中国を思わせる世界「伍州」を舞台とした伝奇ファンタジイだが、テキストの構成に再帰的な企みがあり、なおかつ超弩級スペクタクルのSF的アイデアが投入される。じつに読みどころの多い作品である。ヒロイン「瑤花」の飄然としたキャラクターも魅力的だ。

2020.4.9  【今週はこれを読め! ミステリー編】『短編ミステリの二百年vol.2』で評論と短編を楽しむ!

コロナ禍に遭われたみなさまにお見舞い申し上げます。また、緊急事態宣言発令で外出自粛を余儀なくされているみなさまにも。ざわざわとして心落ち着かない日々ですね。早く日常が取り戻せないものかと思います。

2020.4.8  【今週はこれを読め! エンタメ編】70歳差のかけがえのない友情物語〜アリ・スミス『秋』

EUを離脱するしないの国民投票でイギリスが大騒ぎになっていたのは、もう4年も前のことなのか。

2020.3.26  【今週はこれを読め! エンタメ編】最高の青春ライバル小説〜安壇美緒『金木犀とメテオラ』

「もう1作みたい」という言い方を、世間ではわりとよくする気がする。例えば芥川賞・直木賞といった文学賞の選考会で授賞を見送ったときの、「もう1作様子を見てから判断したい」という申し開き的な意味で。あるいはM-1やキングオブコントといった、予選で1本目・決勝で2本目のネタを披露するような大会において。こちらは「(もう1作みたいと思ったので)高い評価をつけた」という場合もあれば、「(もう1本みたかったのに)たいへん惜しい結果だったという場合もある。私も『天龍院亜希子の日記』を読んだときに、「もう1作読みたい!」と強く思ったものだ。「次の作品もおもしろいに違いない」という確信に近い予感によるものだったが、本書を読んで自分の読みに狂いはなかったと大満足である。

2020.3.24  【今週はこれを読め! SF編】ケン・リュウ編の中国アンソロジー第二弾!

『折りたたみ北京』に続く、現代中国SFを紹介するアンソロジー。編者ケン・リュウは「序文」で、こう告げる。

2020.3.18  【今週はこれを読め! エンタメ編】ド直球の家族小説短編集〜木村椅子『ウミガメみたいに飛んでみな』

「そもそもウミガメって飛べるんだっけ?」なんて野暮なことは言いっこなしだ。ウミガメだって人間だって、空くらいなら飛べるのである。固定観念は捨てるべきだ。

2020.3.11  【今週はこれを読め! エンタメ編】リアルさに惹きつけられる絲山秋子『御社のチャラ男』

題名からして傑作の予感しかしない、と思った。「御社」と「チャラ男」のミスマッチ感は、作品自体の万華鏡めいたおかしみにも通じるものがある。

2020.3.4  【今週はこれを読め! エンタメ編】亡くなった母から届いたノート〜小手鞠るい『窓』

本書では、ウガンダの内情をはじめとした海外の複数の国における問題について、多くの紙幅が割かれている。楽しい話題とはかけ離れた要素を含むこの作品を、エンタメ小説として本欄で紹介していいものかどうか迷った。しかし、『窓』はノンフィクションでもルポルタージュでもない。ここで取り上げなければ、レビューなどがアップされる場が限られてしまうのではないかと思い(自分のTwitterという手もなくはないけど、零細アカウントなので...)、やはりご紹介させていただくことにした。

2020.2.26  【今週はこれを読め! エンタメ編】戦争体験を語り継ぐ〜古内一絵『鐘を鳴らす子供たち』

昭和42年生まれの私は、子どもの頃「戦争を知らない子供たち」という歌をよく耳にした。人口全体の割合としては、まだ戦後生まれが珍しかった時代かと思う。現代の日本においては、いかに高齢者社会が進んだとはいえ、戦争を知る世代の人々はもはや圧倒的少数派に違いない。「戦争を知らない子供たち」が当たり前になった社会は、平和のありがたみが実感されにくい社会でもある。

2020.2.19  【今週はこれを読め! エンタメ編】夢に向かって進む女子の物語〜柴田よしき『お勝手のあん』

ところは日本、ときは安政の世。だけど『お勝手のあん』は、まぎれもなく『赤毛のアン』の系譜につながる少女小説だった。時代の波に流されずに男女の別や身分の違いに抗って生きることに少しずつ目覚めていく主人公・やすの姿には、現代を生きる我々も勇気づけられる。

2020.2.12  【今週はこれを読め! エンタメ編】ツンデレ皇子と猫の活躍譚〜渡辺仙州『天邪鬼な皇子と唐の黒猫』

全国のネコ部ならびにツンデレ好きのみなさん、我々の大好物が小説という形をとって現れましたよ! 中国の王朝が唐であった時代、蘇州に1匹の黒猫がいた。物心ついた頃から親兄弟はおらず、ずっとひとりで生きてきたという。自らを「頭がよくてケンカも強い」と称する彼は、「体も大きくなく、どちらかといえば力も体力もない。それでも負けたことがないのは、たたかい方をうまれつき理解していたからだ」と語る。そう、かの黒猫は「兵法」を知り、さらには人語を理解する猫だったのだ。

2020.2.9  夏目漱石の小説 12作品の自筆原稿が所在不明「文化遺産が…」

文豪 夏目漱石が書いた代表的な小説のうち半数にあたる12作品について、自筆原稿の所在が確認できなくなっていることが分かりました。調査を行った専門家は、自筆原稿は作品の成立過程をたどる貴重な資料だとして「かけがえのないものであり、大切に受け継いでいくことが必要だ」と指摘しています。

2020.2.5  【今週はこれを読め! エンタメ編】明るく前向きな気持ちになれる連作短編集〜凪良ゆう『わたしの美しい庭』

現在最も書店員から熱く支持される作家のひとりである凪良ゆうの新作。...というのが誇張でもなんでもないことを、私は先日実感した。

2020.1.29  【今週はこれを読め! エンタメ編】将棋盤を挟んだ少女と元棋士の対話〜尾﨑英子『竜になれ、馬になれ』

これを題材にした本(漫画、映画、などなど)はスルーできない、というポイントは人それぞれであろう。私の場合は、「駅伝」と「将棋」。シーズンがだいたい秋〜冬場と決まっている駅伝と違って、将棋は一年中何かしらのタイトル戦やその予選・決勝リーグ的なものが途切れることなく行われている。大一番というときでなくても常にトレーニングや鍛錬を続けているのは同じだろうし、駅伝のように時期が集中していれば楽だなどとは決して思っていないが、成績が上位のプロ棋士ほど年間を通していくつものリーグ戦を同時進行で戦わなければならないとなると将棋ってほんとに過酷な世界だなと圧倒される。

2020.1.23  【今週はこれを読め! エンタメ編】ジョージ・ソーンダーズ『十二月の十日』に泣く!

嘘でしょ? このジョージ・ソーンダーズって、あの『短くて恐ろしいフィルの時代』(角川書店)を書いた人のはず。刊行されて間もなく読んだけれど、その当時断トツにけったいな本だと思った。なのに、短編集である本書の最後に置かれた表題作「十二月の十日」、泣けて泣けてしょうがなかったじゃないの! こんな小説を書くような作家だったっけ?

2020.1.15  芥川賞に古川さん「背高泡立草」 直木賞に川越さん「熱源」

第162回芥川賞と直木賞の選考会が東京で開かれ、芥川賞は古川真人さんの「背高泡立草」、直木賞は川越宗一さんの「熱源」が、それぞれ選ばれました。

2020.1.14  【今週はこれを読め! SF編】ラヴクラフトを切歯扼腕させる十六篇

H・P・ラヴクラフトの系譜に連なるフィクションは、ひとつの文芸ジャンルを形成するほどである。ご本尊はその気はなかったのだろうけれど、彼の死後、オーガスト・ダーレスによって体系化された「クトゥルー神話」が、合い言葉さえ唱えればだれでも入会できる結社というか、わかりやすいアイテムに満ちた二次創作製造エンジンのようなもので、それが自走的に機能しているのだ。

2019.12.11  【今週はこれを読め! エンタメ編】ささやかな日常が素晴らしい〜『とんがりモミの木の郷』

セアラ・オーン・ジュエット。この名前にお心当たりのある方は相当のアメリカ文学通といえるのではないか。私も学生時代は英米文学専攻だったゆえ、テスト前の一夜漬けで作家の名前を暗記したりもしたものだが、ジュエットという固有名詞にはまったく覚えがない(訳者解説でも、ジュエットの知名度の低さは指摘されている)。しかし、いいですよ。すごくいいです、ジュエット! こんな月並みな言い方しかできないほどに。

2019.12.3  【今週はこれを読め! エンタメ編】複雑さを抱えた私たちを描く短編集〜朝井リョウ『どうしても生きてる』

初期の作品から読んできた作家が飛躍するさまを目の当たりにするのは、読者としても大きな喜びである。いや、飛躍という表現は適切ではないかもしれない。その作家、朝井リョウはずっと高く飛び続けてきた才能の持ち主だったのだから。

2019.11.27  【今週はこれを読め! エンタメ編】大学生作家と競歩選手の成長小説〜額賀澪『競歩王』

この秋、日本はラグビー人気に沸きに沸いた。しかしながら、同時期に行われた世界陸上競技選手権においては、競歩の選手が2つもの金メダルを獲得したこともどうか覚えておいていただきたい。競歩では鈴木雄介選手が50kmで、山西利和選手が20kmでそれぞれ優勝した。ラグビーのように豪快なスクラムやすばやいトライやチームメイトとの熱い抱擁などは、競歩にはないものである。ひたすら選手たちが歩き続ける競技なのだ、独特のフォームで。

2019.11.20  【今週はこれを読め! エンタメ編】亭主関白な夫の成長物語〜坂井希久子『妻の終活』

夫と自分のどちらが先立つだろうかということについては、ときどき考える。私の知る身近な夫婦(実の両親や祖父母)は圧倒的に妻が残されるというパターンが多かったため、これまではなんとなく自分たちもそうなるのではという気がしていた。しかし、こればっかりはどうなるかわからないということを、この小説によって思い知らされた。

2019.11.19  【今週はこれを読め! SF編】遍歴のなかで次々と物語内人物に重なる、ロマンチックな異界往還譚

アメリカの怪奇幻想文学史を概観した資料を読むと、日本ではさほど知られていないものの、〈ウィアード・テールズ〉以前の時期に活躍した重要作家としてかならず言及されている人物がいることに気づく。ひとりはロバート・W・チェンバース、もうひとりがこのジェイムズ・ブランチ・キャベルだ。

2019.11.14  【特集】『エリスの聖杯』刊行記念特別企画 常磐くじら先生×大森藤ノ先生スペシャル対談インタビュー

2019年11月15日頃に発売されるGAノベル刊『エリスの聖杯』の刊行を記念して、著者である常磐くじら先生と、本作の熱烈なファンであり、書籍化のきっかけとなったGA文庫刊『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』の大森藤ノ先生をお招きしてのスペシャル対談インタビューをお届けする。『エリスの聖杯』が書籍化に至るまでの道のりと、大森藤ノ先生が激賞する物語やキャラクターについて、さらにはお二人の視点から見る「悪役令嬢やダークヒーローの魅力」など、幅広く語っていただいた。

2019.11.6  【今週はこれを読め! エンタメ編】鈴木るりか『太陽はひとりぼっち』を先入観なしで読むべし!

「そんなこと、○○しなくたってわかるだろ」というのは、概ね些細なものと相場が決まっている「○○する」手間すら省きたい横着者の言い訳に他ならない。「愛してるなんて言わなくたってわかる」という相手とはしばしば大げんかに発展しがちだしし、「説明書なんて読まなくたってわかる」と言って設置した電化製品はだいたい動かず、「メモなんてしなくたってわかる」と油断した買い物は忘れる。

2019.10.27  【今週はこれを読め! ミステリー編】最も読むべき翻訳ミステリー・アンソロジー『短編ミステリの二百年vol.1』

21世紀に入ってから、という限定付きではあるが、これは最も読むべき翻訳ミステリー・アンゾロジーになるであろう。

2019.10.26  作家の読書道 第211回:又吉直樹さん

お笑い芸人として活躍する一方で読書家としても知られ、発表した小説『火花』で芥川賞も受賞した又吉直樹さん。著作『第2図書係補佐』や新書『夜を乗り越える』でもその読書遍歴や愛読書について語っていますが、改めて幼少の頃からの読書の記憶を辿っていただくと、又吉さんならではの読み方や考察が見えてきて……。

2019.10.22  【今週はこれを読め! SF編】謎解きミステリと時間SFとのあまりにみごとな融合

鮎川哲也賞を受賞したデビュー作。時間SFとパズラーを組みあわせた意欲作。タイムトラベルも本格推理も、破綻なくストーリーを語り進め、読者の予想を超える結末にたどりつくためには、強度のあるロジックが要求される。本作は、その要件を高いレベルでクリアしている。途中、登場人物が奇異に思える行動に出る場面もあるけれど、それはその人物の来歴や性格によるものとして、じゅうぶん了解可能だ。

2019.10.18  【特集】『弱キャラ友崎くん』×『千歳くんはラムネ瓶のなか』最新刊同時発売記念 屋久ユウキ×裕夢 青春ラブコメ対談インタビュー

2019年10月18日に『弱キャラ友崎くん』第8巻、『千歳くんはラムネ瓶のなか』第2巻が同時発売となった。このたび2作品の最新刊発売を記念して、両作品の著者である屋久ユウキ先生と裕夢先生をお招きし、青春ラブコメ対談インタビューとしてお話をお聞きした。両作品は小学館ライトノベル大賞にて「優秀賞」を受賞すると共に、キャラクターや物語において「リア充」という存在も欠かせない共通点として有している。お互いの印象から各作品のキャラクターに込められた想い、地元を物語の舞台にした理由など幅広く語っていただいた。

2019.10.16  【今週はこれを読め! エンタメ編】涙あり笑いありの桂望実『たそがれダンサーズ』

タイトルに「たそがれ」とあるからには、キラキラの若さみなぎるテイストの小説ではないと予想がつくのではないだろうか。

2019.10.8  【今週はこれを読め! SF編】著者初の短篇集。文化と歴史への洞察と、卓越した構成力、語りの技巧。

小川哲はハヤカワSFコンテストに投じた『ユートロニカのこちら側』で大賞を射止めてデビュー、受賞後第一作となる『ゲームの王国』で日本SF大賞と山本周五郎賞を受賞。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いである。現代社会がはらむ諸問題への怜悧な眼差しと、複線的なストーリーを緊密に束ねる卓越した構成力は、舌を巻くばかりだ。

2019.10.7  【今週はこれを読め! ミステリー編】失われた人生のシークエンスを探す冒険行『戦下の淡き光』

こんなことが本当に起こりえたのかという人生の瞬間についての小説だ。

2019.9.27  【今週はこれを読め! ミステリー編】著者自身がワトソン役の謎解き小説『メインテーマは殺人』

一口で言うなら信頼関係がないホームズとワトスンなのである。

2019.9.18  【今週はこれを読め! エンタメ編】兄弟姉妹と花言葉の短編集〜古内一絵『アネモネの姉妹 リコリスの兄弟』

本書の帯には「兄弟姉妹に一度でも仄暗い感情を抱いたことのあるあなたへ」とある。兄弟姉妹がいれば、「仄暗い」とまでいかないにしても一度たりとも衝突したことがないとは考えにくいし、逆にそうやって互いに成長していけるのが醍醐味ともいえる。ひとりっ子にはひとりっ子のよさがあるだろうし、世間でよく言われるように「きょうだいがいないとかわいそう」といったもの言いには意味がないと思うけれども、それでも兄弟姉妹がいなければ経験できない喜びあるいはつらさというものは確実に存在する。

2019.9.15  【今週はこれを読め! ミステリー編】移民問題に直面するインドリダソン『厳寒の町』

憎悪は液体と同じで、一定量を超えれば溢れるのを止めることはできない。

2019.9.11  【今週はこれを読め! エンタメ編】心を揺さぶる至言の宝庫〜ジュンパ・ラヒリ『わたしのいるところ』

複数の人間が万事においてまったく同じ考え方や感じ方をすることはあり得ない。他者に対して大多数の人間は、「だいたい同じような考え方をするけど、こういう点については違う」か「ほとんど似たところはないけど、こういう面は共感できる」か「似通った部分もあれば、そうでない部分もある」かのいずれかの気持ちを持つものではないだろうか(「全否定」に当てはまる他者というのはそう多くない、はず)。

2019.9.6  【今週はこれを読め! ミステリー編】夏の終わりに読みたい二つの中編『エレベーター』『わが母なるロージー』

暑さ寒さも彼岸までと言う。まだ夏が終わらないうちに、この本を読んでしまおう。

2019.9.4  【今週はこれを読め! エンタメ編】繊細で骨太な『掃除婦のための手引き書』がかっこいい!

酒に溺れる日々。家族からの虐待。家庭の経済状況の極端な浮き沈み。私にとってはこれまでの人生で縁のないものだ。なのになぜ、ルシア・ベルリンの描く痛みが自分と近しいもののように感じてしまうのだろうか。

2019.8.30  独占インタビュー「ラノベの素」 タンバ先生『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い』

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2019年9月1日にスニーカー文庫より『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い』が発売されるタンバ先生です。帝位争いが激化する帝国内において、出涸らし皇子とバカにされる一人の皇子が、双子の弟を帝位につかせるために暗躍を始めるファンタジーシリーズ。作品の裏側や内容についてはもちろん、2つの顔を有する主人公の暗躍の魅力、そして本作の見どころについてお聞きしました。

2019.8.28  【今週はこれを読め! エンタメ編】50代女性が思い出す子供の頃のこと〜岸政彦『図書室』

違う分野から「どこまでできるか挑戦したくてやってみました」的な感じで進出してくる人より、"苦節○十年"と地道にやってきた人の方を応援したくなる傾向は、確実に自分の中に存在している。具体的に言うと、"霜降り明星がM-1でチャンピオンになったときには素直に祝福できたが、粗品さんがR-1でも優勝をさらったことに対しては若干複雑な気持ちがないでもない"という状態だ。「ピンでやってる芸人さんが評価されるともっとよかったかも...」という感じ。しかし、確かにR-1においても粗品さんはおもしろく、なんなら決勝進出者の他の2名もコンビ芸人の片割れだったのだ。

2019.8.22  「文藝」創刊号以来86年ぶり異例の3刷 韓国文学に集まる注目

日韓関係が冷え込む中、日韓の作家の短編競作や対談などを掲載した河出書房新社の季刊文芸誌「文藝2019年秋号」が昭和8年の創刊号以来86年ぶりに2度の緊急増刷をした。同号では「韓国・フェミニズム・日本」を特集。韓国文学界で注目が集まるフェミニズムに焦点を当て、日本文学とのつながりを探っている。韓国文学ブームやフェミニズムへの関心の高まりがヒットの背景にあるとみられる。

2019.8.19  【今週はこれを読め! ミステリー編】不安に満ちたサスペンス『ケイトが恐れるすべて』

初めての街で暮らすとき、誰もが現実感を少し失う。

2019.8.13  【今週はこれを読め! SF編】これこそ現代のスペースオペラ!

脳が溶けるほど暑いので、気軽に読める作品でいきましょう。ちょっと前の刊行だけど、肩の凝らない現代スペースオペラ。ぼくはアイスキャンデーを囓りながら読んだ。

2019.8.9  【今週はこれを読め! ミステリー編】『イヴリン嬢は七回殺される』に引き込まれる!

アドヴェンチャー・ゲームが好きな人は絶対にはまる。

2019.8.7  【今週はこれを読め! エンタメ編】音楽に打ち込む若者たちの青春ミステリー『下北沢インディーズ』

バンドというものに多大なる憧れがあるのは、志を同じくする者同士が音楽をやりたいという情熱に駆られて集うものに違いないというイメージがあるからかもしれない(実際には「暇だな〜バンドでもやる?」「やってみっか」的なノリの場合もあるのだろうか。それはそれでまたよし)。個人的な萌えポイントは、幼い頃からの友だち同士がバンドを組むケース。早ければ早いほどいい。flumpool(幼稚園から)やUVERworld(保育園から)などは涙が出るほどありがたい。先日も、バナナラマのサラとカレンが4歳からの幼なじみと知って狂喜乱舞したばかりだ。

2019.7.31  【今週はこれを読め! エンタメ編】〈ぐるフェス〉に集うさまざまな人生〜中澤日菜子『お願いおむらいす』

食の記憶が思い出と密接に結びついていることは多い。オムライスに関して言うなら、今となっては祖母が作ってくれたものが懐かしい。実はとびきりおいしいというものではなかったのだが(祖母は決して料理下手ではなかったけれども、玉ねぎを根気よく炒める根気には欠けていたように思う。カレーなども玉ねぎが生っぽいのがネックだった)。しかし家庭料理というものは、孫に「子どもが喜ぶような食べ物を作ってやりたい」という気持ちがあればそれで十分ともいえるのではないか。

2019.7.27  作家の読書道 第208回:葉真中顕さん

日本ミステリー大賞を受賞したデビュー作『ロスト・ケア』でいきなり注目を浴び、今年は『凍てつく太陽』で大藪春彦賞と日本推理作家協会賞を受賞した葉真中顕さん。社会派と呼ばれる作品を中心に幅広く執筆、読書遍歴を聞けば、その作風がどのように形成されてきたかがよく分かります。デビュー前のブログ執筆や児童文学を発表した経緯のお話も。必読です。

2019.7.24  【今週はこれを読め! エンタメ編】図書館が"見て"きた人々〜中島京子『夢見る帝国図書館』

このような文章を書く仕事をさせていただいている身なれば、原則として本は買って読むべきものであることは重々承知しているが、私は図書館も大好きなのである。実家は率直に言って貧乏な家庭だったので、もし図書館や学校の図書室がなかったら、私はどうやって本を読む手段を得ることができたかわからない。

2019.7.23  【今週はこれを読め! SF編】冬の物語、夢の物語、大胆なガジェットと切ない恋情

冬の物語、あるいは冬へと向かう物語。SFの歴史のなかで、いくつも印象的な作品が生まれてきた。ライバー「バケツ一杯の空気」、ティプトリー「愛はさだめ、さだめは死」、ル・グィン『闇の左手』、コーニイ『ハローサマー、グッドバイ』。本書はその系譜に連なる一冊だ。

2019.7.17  芥川賞に今村夏子さん 直木賞に大島真寿美さん

第161回芥川賞と直木賞の選考会が東京で開かれ、芥川賞は今村夏子さんの「むらさきのスカートの女」、直木賞は大島真寿美さんの「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」(うず/いもせやまおんなていきん/たまむすび)が、それぞれ選ばれました。

2019.7.17  【今週はこれを読め! エンタメ編】「知る」喜びに満ちた音楽ミステリー〜藤谷治『綾峰音楽堂殺人事件』

本を読む醍醐味を何に求めるかはさまざまだと思うが、「知らなかったことを知る」を重視する人は多いだろう。本書においても、「知る」喜びは十二分に味わえる。大学教授や作家や音楽家や地方の名士といった登場人物たちの鬱屈を「知る」、クラシック音楽の素晴らしさを「知る」、地方行政あるいは市民運動の仕組みや問題点を「知る」...。そしてもちろん、謎に包まれた事件の真相を「知る」。

2019.7.16  【今週はこれを読め! SF編】ミルハウザーの新しい試み、しかし変わりのない魔法の言葉

スティーヴン・ミルハウザーの言葉は、ささやかな、しかし鮮やかな魔法のように、読み手の世界を変えていく。『イン・ザ・ペニー・アーケード』『バーナム博物館』『ナイフ投げ師』『十三の物語』といった短篇集に収められた諸篇を読むとき、ぼくの脳裡に浮かぶのは、十八世紀スイスの時計職人が生みだした精妙な機械細工だ。小さな空間に驚異と憧憬が詰まっている。

2019.7.11  『逃げ出せなかった君へ』安藤祐介

現在、日本では働き方改革が推奨されている。小説では『わたし、定時で帰ります。』がより良き働き方を訴え、断固と立ち向かう女性が泣き笑いの奮闘をし、自分たちの道を切り開いていく様が、共感を得て、大ヒットしている。

2019.7.4  【今週はこれを読め! ミステリー編】無敵の100歳が大暴れ!『世界を救う100歳老人』

あれ、もしかしてこれ、ものすごくタイムリーな小説なのでは。

2019.7.3  【今週はこれを読め! エンタメ編】ホッパーの絵の豊かな表情を映す『短編画廊 絵から生まれた17の物語』

名画とそれにインスパイアされた小説が収録された本というのはそんなに珍しいものではない気がするが、それらがすべてエドワード・ホッパーに関するものであるというところが本書の新機軸ではないだろうか。「エドワード・ホッパー」と聞いてもどのような画家であるかという知識はおぼろげだったのだが、深夜の飲食店にいる人々が描かれた「ナイトホークス」を見て「ああ!」とわかった。ホッパーの絵というのは一見無機的なようで、よく見るととても豊かな表情がある絵だと思う(人物が描かれていないときでさえ)。

2019.6.26  【今週はこれを読め! エンタメ編】逆境に立ち向かう75歳正子の奮闘記〜柚木麻子『マジカルグランマ』

私の目に映る祖母は完璧な人だった。97歳で亡くなった母方の祖母とは、私が結婚して実家を出るまでほぼずっと同居していた。とにかく優しい。よくないことをしたら注意はされたけれども怒鳴られたり叩かれたりしたことは一度もない。

2019.6.25  【今週はこれを読め! SF編】もはやそれほど危険ではないが、アイデア・ストーリーとして面白い

アメリカSFはその揺籃期(二十世紀の幕開けから1920年代)において、科学技術ホビイストあるいはティーンエイジャーむけの大衆文芸として発展してきた。その後、1930年代末の〈アスタウンディング〉誌でのキャンベル革命、1950年代初頭の〈F&SF〉や〈ギャラクシー〉での文芸的洗練があり、読者層も大きく広がるのだが、作品が扱うテーマや表現面における自己検閲(作家自身による、または編集者による)は根強く残っていた。SF界の風雲児ハーラン・エリスンは、そうした風潮に敢然と叛旗を翻し、このオリジナル・アンソロジーを企画した。

2019.6.22  作家の読書道 第207回:最果タヒさん - 作家の読書道

作家の読書道 第207回:最果タヒさん

2019.6.20  集英社初のチャット小説アプリ「TanZak」誕生秘話--"1話目を読む"ハードルを下げる

集英社は6月20日、出版社初となるチャットノベル(小説)アプリ「TanZak(タンザク)」を公開した。LINEのようなテキストメッセージ形式にすることで、キャラクター同士の会話を"覗き見"するような感覚で、気軽に物語を楽しめることが特徴だ。「ONE PIECE」など週刊少年ジャンプの人気漫画のノベライズのほか、完全新作のオリジナル作品も用意する。

2019.6.19  【今週はこれを読め! エンタメ編】子どもの真実の友の物語『イマジナリーフレンドと』

1歳くらいまでの子どもを持つ親であれば、何もない空間をじっと見つめている我が子の姿に気づく機会は多いのではないか。

2019.6.12  【今週はこれを読め! エンタメ編】加害者家族と被害者家族の対峙〜岩井圭也『夏の陰』

加害者家族と被害者家族。彼らの物語を純粋なフィクションとして捉えられるのは、幸いにも自らがどちらの立場にも立ったことがないからだ。

2019.6.6  【今週はこれを読め! エンタメ編】期待の倒叙ミステリー短篇集『偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理』

ああ、またひとり追いかけたいキャラクターが増えてしまった(とはいえ、シリーズ化されるかどうかもわからないんですが。いや、ぜひとも続編をお願いいたします、降田先生。刮目してお待ちしておりますので!)。サブタイトルにもあるように、本書は「神倉駅前交番」に勤務する警官「狩野雷太」がさまざまな謎を解いていく連作短編集。

2019.6.4  【今週はこれを読め! SF編】安定感のある古典と一筋縄ではいかない問題作

2016年に刊行された『ボロゴーヴはミムジイ』につづく、伊藤典夫翻訳SF傑作選の第二弾。前巻が時間・次元テーマの作品を集めていたのに対し、本巻は宇宙SFを集めている。

2019.5.29  【今週はこれを読め! エンタメ編】大阪が舞台のほろ苦い短編集〜藤野恵美『淀川八景』

残念ながら大阪という土地にはあまりなじみがない。大阪を訪れたのは、まだ幼稚園児だった頃に叔父の家に泊まったときと5年ほど前にUSJに行ったとき。50年少々に及ぶ人生で2回のみだ。大都市であるし何かと話題になることも多いので情報としては大阪についていろいろ知っている気がするが、実際はほぼ無知といえるレベルではないか。そもそも淀川がどのあたりを流れているかも知らない。「淀川」と聞いたら、映画評論家の故淀川長治氏が先に思い浮かぶくらいだし。

2019.5.28  【今週はこれを読め! SF編】感覚情報翻訳者が活躍する凝った構成のミステリ連作

デビュー作『風牙』につづく、《感覚情報翻訳者(インタープリンタ)》シリーズ。感覚情報翻訳者とは、レコーディングされた記憶に潜行(ダイブ)して、そのままではノイズのかたまりのようなデータを、意味のある映像へ成形するプロフェッショナルである。誰でもできる技術ではなく、生まれもっての資質が問われる。HSP(ハイパー・センシティブ・パーソン)と呼ばれる共感能力だ。この物語の主人公である珊瑚はグレード5。百万人にひとりしかいないトップレベルの能力者だ。

2019.5.25  作家の読書道 第206回:江國香織さん

読書家としても知られる江國香織さん。小さい頃から石井桃子さん訳の絵本に親しみ、妹さんと「お話つなぎ」という遊びをしていたけれど、その頃は小説家になることは考えていなかったとか。さらにはミステリ好きだったりと、意外な一面も。その膨大な読書量のなかから、お気に入りの本の一部と、読書生活の遍歴についておうかがいしました。

2019.5.17  【今週はこれを読め! ミステリー編】老魔術師と少年が起こす奇跡『トリック』

老魔術師は言う。「夢、信じるなら、夢のままで終わらない」と。

2019.5.15  【今週はこれを読め! エンタメ編】時代を生き抜いた女たちの人生〜窪美澄『トリニティ』

"子どもや孫に囲まれて、畳の上で大往生"的な亡くなり方は理想とされやすい。裏を返すと、"看取ってくれる人もいないまま、孤独のうちに死ぬ"のは不幸とみなされるということだ。しかし、こういった固定観念のようなものにはずっと疑問を抱いてきた。私とてできるなら死ぬ間際に息子たちにひとめ会えたらうれしいし、そこに孫の姿もあれば申し分ないことだろう。しかし例えば、自分の心の求めるままに行動し思い残すことはないと感じられるまでの生き方ができたならば、その人の人生を不幸だったなどと誰が言えるだろうか?

2019.5.14  【今週はこれを読め! SF編】場所が特定できぬ孤峰、スパゲッティコードとしての世界

これは旅の物語であり、物語という旅である。地図はない。行ってみないと、その先がどうなっているかわからない。

2019.5.7  【今週はこれを読め! SF編】間近にあるディストピア、奪われた声をいかに取り戻すか

舞台は近未来のアメリカ。いや、近未来というよりも、現代というべきだろう。ここに描かれた事態は、アメリカでまさに進行中の悪夢だ。保守化、パターナリズム、押しつけの道徳、差別の正当化。

2019.4.27  作家の読書道 第205回:今村昌弘さん

2017年に鮎川哲也賞受賞作『屍人荘の殺人』でデビューした今村昌弘さん。意表を突くクローズドサークルの設定が話題となり、年末の各ミステリランキングで1位になり、本格ミステリ大賞も受賞。第2作となる『魔眼の匣の殺人』も期待を裏切らない内容で、今後の活躍が楽しみな新鋭です。でも意外にも、昔からミステリ作家を目指していたわけではなかったのだとか。ではどんな本が好きだったのか、そして作家を目指したきっかけは?

2019.4.24  【今週はこれを読め! エンタメ編】松村栄子『僕はかぐや姫/至高聖所』が帰ってきた!

松村栄子という名前を聞いて胸をときめかせる読者のみなさんに、できればひとりでも多くの方々の目に、このレビューが触れることを願う。私たちが愛した「僕はかぐや姫」が、「至高聖所」が帰ってきましたよ!

2019.4.19  【今週はこれを読め! SF編】第一級の脱出不可能ミステリー『火星無期懲役』

火星は地獄だ!(ジョン・W・キャンベル風に)

2019.4.13  【今週はこれを読め! ミステリー編】感情を激しく揺り動かす圧巻のスリラー『終焉の日』

まるで暴れ馬のたてがみにしがみついているような乗り心地、読み心地であった。

2019.4.10  【今週はこれを読め! エンタメ編】15歳で書かれたデビュー作〜坪田侑也『探偵はぼっちじゃない』

これまで半世紀少々生きてきて、さまざまな若手の台頭を目にしてきた。"高校球児が自分より年下"、"アイドルが自分より年下"、"若いママさんが自分の息子より年下"などなど、枚挙にいとまがない。というか、もはや自分より年下の人たちの方が多いんじゃね? ということでたいていの条件には動じないつもりでいたが、これは久々の衝撃であったと思うのが"作家が自分の息子より年下"。本書の著者、坪田侑也さんのことである。

2019.4.9  「2019年本屋大賞」決定!! 大賞は瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』 全ノミネート作の順位を発表!

全国の書店員が選ぶ、いま一番売りたい本を決める「本屋大賞2019」の受賞作が決定した。

2019.4.2  老舗電子書籍サイト「パブー」、9月末で閉店 購入・ダウンロード済みの本はサービス終了後も利用可能

6月30日に新規作品の公開停止、9月30日に販売終了、11月30日にログイン機能停止(購入済み作品が入手不可に)と、段階を踏んで閉鎖します。

2019.3.27  【今週はこれを読め! エンタメ編】シングルファーザーの成長小説〜まはら三桃 『パパとセイラの177日間 保険外交員始めました』

ひとりで子どもを育てるのがたいへんなことは、母親も父親も変わらないことと思う。しかし一般的に、"ひとり親"と聞くとシングルマザーを想定する場合が多く感じるのは、日本においては親権を父親が持つことの方が少ないからだろう。私自身も父子家庭の例を知らないわけではないが、例えばフィクションなどでもひとりで子育てする父親に注目が集まるケースはあまりないという気がする。

2019.3.26  【今週はこれを読め! SF編】それでもなお、ひとは自由意志を希求する

ピーター・ワッツの長篇『ブライントサイト』の衝撃は忘れがたい。知性にとって意識は必然的なものではない。この大前提に、まず痺れた。

2019.3.23  作家の読書道 第204回:上田岳弘さん

デビュー作「太陽」の頃から、大きな時間の流れの中での人類の営みと、個々の人間の哀しみや郷愁を融合させた作品を発表し続け、『私の恋人』で三島由紀夫賞、そして今年『ニムロッド』で芥川賞を受賞した上田岳弘さん。5歳の頃から「本を書く人」になりたかった上田さんに影響を与えた本とは? 作家デビューを焦らなかった理由など、創作に対する姿勢も興味深いです。

2019.3.20  【今週はこれを読め! エンタメ編】心をざわつかせる短編集〜今村夏子『父と私の桜尾通り商店街』

第1話「白いセーター」を読んで、忘れられない記憶がよみがえってきた。

2019.3.19  【今週はこれを読め! SF編】加藤清正や恐竜も復活、愛のありかたを描く感動作

映画化されたヒット作『黄泉がえり』の続篇。前作同様、死者がつぎつぎと生き返る"黄泉がえり"の顛末を描く。

2019.3.13  第10回 野性時代フロンティア文学賞 選考結果のお知らせ

本日3月13日(水)午後4時より、第10回野性時代フロンティア文学賞(主催=株式会社KADOKAWA)の選考会が行われました。

2019.3.13  【今週はこれを読め! エンタメ編】高校生たちの日常の謎短編集〜青崎有吾『早朝始発の殺風景』

「青春ってきっと、気まずさでできた密室なんだ」。格言付きのカレンダーに加えてもらいたいような至言である。『早朝始発の殺風景』は、高校生たちがさまざまな状況で推理を繰り広げる連作短編集。前述のフレーズは最終話「三月四日、午後二時半の密室」に出てくるフレーズだが、きっと本書の登場人物たち全員の、いや、読者である私たちを含めた全員の感情をなぞったものであるに違いない。

2019.3.13  【今週はこれを読め! ミステリー編】拉致監禁犯の父との対決〜カレン・ディオンヌ『沼の王の娘』

一口で言うなら、あらかじめ奪われた人生を取り返す小説だ。

2019.2.13  【今週はこれを読め! エンタメ編】アラフィフ世代に直球を投げ込む朝倉かすみ『平場の月』

特定の年齢層にとりわけ訴えかける名作というものがある。『かいけつゾロリ』シリーズはやはり小学生が読んでこそという気がするし(大人が読んでもおもしろいけど)、ライトノベルの類は中高生あたりの読者がボリュームゾーンであろう(10代だけに読ませておくのはもったいないと思うものも多くあるが)。そこで『平場の月』である。若い人が読んでも「大人っていろいろあるんだなあ」と感じ入るだろうし、もっと年配の人が読んでも「このくらいの歳の頃いろいろあったなあ」としみじみすると思うが、いわゆるアラフィフ(自分含む)が読んだらもうダイレクト。直球かつ剛速球が心の真ん中に投げ込まれた感じ。

2019.2.12  【今週はこれを読め! ミステリー編】予断を排して『種の起源』を読むべし!

あらゆる予断を排して物語の中に身を投じたほうが絶対に楽しめる。

2019.2.10  作家の堺屋太一さん死去 小説「団塊の世代」

「団塊の世代」などの小説で知られ、平成10年から2年間、経済企画庁長官も務めるなど、政治や経済、文芸など、幅広い分野で活躍した堺屋太一さんが、8日多臓器不全のため亡くなりました。83歳でした。

2019.2.9  独占インタビュー「ラノベの素」 渋谷瑞也先生『つるぎのかなた』

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2019年2月9日に電撃文庫より『つるぎのかなた』が発売された渋谷瑞也先生です。第25回電撃小説大賞にて《金賞》を同作で受賞し、満を持してデビューされます。剣道を知らなくてもいい、読み終えた後に剣道がわからなくても構わない。ただこの物語を面白いと感じてもらえればそれでいい。剣道という舞台から降りた"元最強"と、孤独に頂点で君臨し続ける"現最強"が激突する時、少年少女たちの心情にどんな変化が訪れることになるのか、物語の内容や見どころについてお聞きしました。

2019.2.6  【今週はこれを読め! エンタメ編】6歳の少年が見た銃乱射事件『おやすみの歌が消えて』

日々さまざまな犯罪が起きているとはいえ、日本はまだ治安のいい国に分類してもかまわないだろう。それでも、テロや通り魔などによる大量殺傷事件などが起こらないとは限らない。一方で、戦争や銃撃犯などによって多数の死者が発生する状況が頻繁に発生する国というのも存在する。どのような国においても一瞬にして命を断たれることは起こり得るのであり、被害者とその家族の無念は言葉にできないほどのものだと思う。

2019.2.1  【今週はこれを読め! ミステリー編】運命に立ち向かう少女の物語『カッコーの歌』

今回採り上げるのはミステリーではない。分類するならばファンタジーなのだが、サスペンスの醸成が尋常ではなく巧く、物語が静から動に転じた後の展開の小気味よさったらない。何事が進行しているのか、という謎で引っ張る展開も素晴らしく、つまりは私がミステリーに求めているもののほとんどはここに入っているのである。本欄をお読みのミステリー・ファンのみなさんにも同じ気持ちを共有していただけるものと信じて。

2019.1.30  今週はこれを読め! エンタメ編】本とお酒と謎がうれしい『九十九書店の地下には秘密のバーがある』

これまでにも著者の岡崎琢磨さんは『珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』(宝島社文庫)を第一作とするシリーズや『春待ち雑貨店ぷらんたん』(新潮社)などで趣のあるさまざまな店を舞台にされてきたが、読者にとっては本書が最高峰といっていいのではないだろうか。なんといっても書店である。それも、地下にバーがある書店だ。本とお酒が好きな人にはたまらないだろう(巻末にはそれぞれの短編で言及された作品名リストが掲載されているのも、読者にはうれしい趣向。私自身はほぼ下戸なので、地下の店はフルーツパーラーか甘味処だったらさらに喜ばしいけれど)。しかも、ここにはもうひとつ見逃せないボーナスポイントがある。それは書店およびバーに、魅力的な謎がセットになっていることだ。

2019.1.29  【今週はこれを読め! SF編】異なる生態系のなかで、人類が進むべき未来を探る惑星開拓史

環境破壊によって滅びつつある地球を脱出したひとにぎりの人々は、百五十八年の人工冬眠を経て、酸素と水が豊富にある惑星へとたどりつく。彼らはその惑星を【平和/パックス】と名づけた。地球より重力が二十パーセント強く、六台あった着陸ポッドのうち二台が墜落。その事故によって、唯一の食料合成機が破壊される。いやおうなく、現地で食べものを調達しなければならない。最初の試練だ。

2019.1.26  作家の読書道 第202回:寺地はるなさん - 作家の読書道

婚約を破棄されどん底にいた女性が、ひょんなことから雑貨屋で働くことになって……あたかい再生の物語『ビオレタ』でポプラ社小説新人賞を受賞、以来、現代人の心の沁みる小説を発表し続けている寺地はるなさん。幼い頃は親に隠れて本を読んでいたのだとか。読書家だけど小説家を目指していたわけではなかった寺地さんが小説を書き始めたきっかけは? 読むことによって得た違和感や感動が血肉となってきたと分かる読書道です。

2019.1.25  【今週はこれを読め! ミステリー編】必死の軌道修正スリラー『カナリアはさえずる』

つまりスリラーとは、必死でやる軌道修正のことなのである。

2019.1.22  気になる大賞はどの作品に!?「2019年 本屋大賞」ノミネート10作品発表!

2019年1月22日(火)、全国の書店員が選んだ一番売りたい本「2019年本屋大賞」のノミネート作品が発表された。

2019.1.18  独占インタビュー「ラノベの素」 上川景先生『撃ち抜かれた戦場は、そこで消えていろ』

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2019年1月19日にファンタジア文庫より『撃ち抜かれた戦場は、そこで消えていろ』が発売となる上川景先生です。第31回ファンタジア大賞にて「大賞」を同作で受賞し、満を持してファンタジア文庫よりデビューされます。人間の存在も、功績も、成果も、結果も、痕跡も、干渉も、そのすべてを消し去る悪魔の弾丸を手にした少年兵と、繰り返す戦争に暗躍する亡霊(ゴースト)の物語を描いた本作。主人公と共に一発の弾丸で変遷する世界を追いかける作品の内容や見どころについてお聞きしました。

2019.1.15  【今週はこれを読め! ミステリー編】血が滾る冒険小説『拳銃使いの娘』

血が滾る、としか言いようのない小説である。

2019.1.15  【今週はこれを読め! SF編】離れていても声が聞こえる。ウィリスのロマンチック・コメディ。

コニー・ウィリスの新作長篇。そう聞いただけで少々気が重くなるのは、ぼくが分厚い作品が苦手で、ウィリスの長篇といえば分厚い(それも尋常ではなく)のがあたりまえだからだ。かといって、無視するわけもいかない。なにしろウィリスの新作なのだ。面白いに決まっている。「苦手なのに面白いに決まっている」とは矛盾しているようだが、そうでもない。読者の好みを超えた圧倒的なストーリーテラーというのが世の中には存在する。

2019.1.8  【今週はこれを読め! SF編】日本SFの新しいプラットホーム、ここから始まる。

SF出版では海外SF紹介から出発した東京創元社だが、2007年に日本SFの名作再刊に手を染め、2010年以降は創元SF短編賞(募集は前年から)によって次々と新しい才能を発掘してきた。いまや新鮮な日本SFの最重要供給源である。

2018.12.26  【今週はこれを読め! ミステリー編】黒人テキサス・レンジャーの闘い『ブルーバード、ブルーバード』

朝から嫌なことがあり、感情を抑えるのに苦労しながら一日を過ごした。

2018.12.26  【今週はこれを読め! エンタメ編】10歳の少年の家族や友達との日々〜朝倉かすみ『ぼくは朝日』

故ナンシー関さんが、ノストラダムスの大予言を本気で信じていたらしい長嶋一茂さんについて"小4男子のようだ"といった感じで形容されたことは、いまでも鮮やかに私の記憶に刻み込まれている。

2018.12.24  独占インタビュー「ラノベの素」 林星悟先生『人形剣士<ドールブレイブ>は絶ち切れない』

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2018年12月25日にMF文庫Jより『人形剣士<ドールブレイブ>は絶ち切れない』が発売となる林星悟先生です。第14回MF文庫Jライトノベル新人賞にて「最優秀賞」を同作で受賞し、満を持してデビューされます。いくつものテーマが組み木のように重なり合い、人形遣いの剣士と人形のヒロインによるバディものとしても強烈な魅力を詰め込んだ本作。一つの視点からだけでは語りきれない本作の魅力や作品の見どころについてお聞きしました。

2018.12.22  作家の読書道 第201回:古内一絵さん

映画会社に勤務したのち作家デビューを果たし、さまざまな舞台を選んで小説を執筆している古内一絵さん。ドラァグクイーンが身体にやさしい夜食を出してくれる「マカン・マラン」もいよいよ完結、今後の作品も楽しみなところ。では、どんな読書体験を経て、なぜ小説家へ転身を果たしたのか。その転機も含めて読書遍歴をおうかがいしました。

2018.12.21  青春と読書

対談 米澤穂信×青崎有吾

2018.12.19  【今週はこれを読め! エンタメ編】いつかの私たちのことを描くアリス・マンロー『ピアノ・レッスン』

人生にはさまざまな瞬間がある。"これはめったにない経験でいつまでも覚えているだろう"と思うような瞬間はたまにある(子どもを出産したときや親を亡くしたときなど)。また、記憶に残るか残らないかなどということを考えもしないような、ただ過ぎていくように思われるだけの瞬間(人生は概ねこれの積み重ねであろう)。

2018.12.11  【今週はこれを読め! SF編】食べ飽きない語り口の妙、滋味ゆたかな物語

清朝の中国江南地方を舞台とした美食ファンタジイ。食の描写は、性愛や感情の描写と同様、ごてごてと修辞を盛ればよいというものではなく、細部を際立たせようとすれば全体がぼやけてだいなしになる。勝山海百合はそこらへんが絶妙なのだ。

2018.12.8  綾野剛「私はあなたを忘れません」芥川賞受賞作『影裏』が綾野&松田龍平出演で映画化!

第157回芥川賞受賞作『影裏』が映画化されることが決定。綾野剛と松田龍平が出演することも明らかになり、「この2人の共演は嬉しすぎる!」「どんな雰囲気の作品になるんだろう…」と注目を集めている。

2018.12.5  【今週はこれを読め! エンタメ編】かけがえのない家族と介護の物語『有村家のその日まで』

私の母が亡くなったのは3年前の元日である。認知症が出始めてから5年ほどたったところで、さらにガンも発症していた。

2018.11.28  【今週はこれを読め! エンタメ編】予想もつかない物語〜藤谷治『燃えよ、あんず』

どんな展開になっていくのか想像もつかない、という読書体験を久しぶりに味わった気がします。だいたいの小説は、読む前からどのような話なのかということは予想できるものではないでしょうか。『吾輩は猫である』→「猫が出てくるんだろうな」、『1973年のピンボール』→「1973年のピンボールの話なんだろうな」と、題名からでも見当がつくものもあります。

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