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ういに関連する小説ニュースまとめ

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うい ニュース検索結果

2021.8.10  【今週はこれを読め! SF編】江戸川乱歩をドストエフスキーへ還流する、文学的メビウスの環

巻頭に配された「アントンと清姫」、巻末を飾る書き下ろし作品「ドグラートフ・マグラノフスキー」。もうタイトルを見ただけでワクワクするではないか。文学とSFのセンスに優れた名手、高野史緒による超絶リミックス作品集である。全六篇を収録。

2021.8.3  【今週はこれを読め! SF編】知性を発展させる蜘蛛たちと軌道上の狂える神

読み応えのある本格宇宙SF。現代的センスの物理・情報ガジェットと、よく考えられた生物・生態系学の設定が噛みあい、緊迫した局面がつぎつぎに移り変わる。上下巻合わせて七百ページを超える長尺だが、停滞するところがない。アーサー・C・クラーク賞を受賞した作品。

2021.7.28  【今週はこれを読め! エンタメ編】望んで行動したヴィヴィアンの人生〜『女たちのニューヨーク』

若さだけを頼りに無鉄砲な日々を過ごしていた主人公が、大きな挫折を経験し、紆余曲折を経て真実の愛を見つける。こんな風に要約することが可能な物語が、いままでどれほどたくさん書かれてきただろう。しかし、「また若い女の成長小説か」と読む前から理解したような気持ちにならずに、どうか手に取ってみてほしい。決して簡単な一文でまとめられるような内容ではなかったと、読み終えたあなたは知るに違いないから。

2021.7.26  作家の読書道 第231回:佐藤究さん

今年『テスカトリポカ』が山本周五郎賞と直木賞を受賞、注目を集める佐藤究さん。幼い頃はプロレスラーになりたかった福岡の少年が、なぜ本を読み始め、なぜ小説を書き始め、なぜ群像新人文学賞受賞後に江戸川乱歩賞で再デビューしたのか。そしてなぜ資本主義について考え続けているのか。直木賞発表前の6月、リモートでおうかがいしました。

2021.7.22  【今週はこれを読め! ミステリー編】ヴァランダー・シリーズ最後の書『手/ヴァランダーの世界』

――これはクルト・ヴァランダー・シリーズ最後の出版物である。このシリーズはこの本をもって終了する。

2021.7.21  【今週はこれを読め! エンタメ編】失恋の真相を解き明かす〜大石大『いつものBarで、失恋の謎解きを』

社会学とエンタメの融合という独特の境地を切り拓きつつある新鋭・大石大の長編第2作。本書では、主人公・大谷綾の過去の失恋の真相を解き明かしていく安楽椅子探偵ミステリー的な趣向が、最大の読みどころといえよう。

2021.7.14  【今週はこれを読め! エンタメ編】綾崎隼『死にたがりの君に贈る物語』に心を揺さぶれる!

正論は時に人の心を逆撫でする。もしも本書の登場人物たちに話しかけることができるとしたら、よかれと思って忠告する人も多いだろう。

2021.7.13  【今週はこれを読め! SF編】伊藤典夫が手ずから選んで訳した英米SFの名作八篇

伊藤典夫さんと言えば、日本にジャンルSFが定着しはじめた1960年代から英米のSF動向を紹介、新鮮な作品の翻訳を担ってきた第一人者。その伊藤さんがこれまで翻訳したなかから、とくに思いいれの深い作品を選りすぐったアンソロジーが本書である。

2021.7.7  【今週はこれを読め! エンタメ編】死の近くにいる主人公の心の変化〜八幡燈『いつかたどりつく空の下』

「湯灌」という言葉を知っているのは、確か祖母に教えてもらったからだと思う。その祖母は遠方で亡くなり、私は死に顔も見られなかった。私の父は職場で、母は家で亡くなったため、遺体はいったん警察に引き取られた。家に戻ってきたときには身を清められた後だったので、実際に湯灌というものが行われているところを目にしたことはない。

2021.6.25  作家の読書道 第230回:一穂ミチさん

短篇集『スモールワールズ』が大評判となり、直木賞にもノミネートされている一穂ミチさん。文体も形式も人物造形も自在に操って読者の心を揺さぶる一穂さん、同人誌での二次創作からBL小説でプロデビュー、そこから一般文芸へと活動の場を拡張中。漫画も小説もノンフィクションも幅広いジャンルを読むなかで惹かれた作品とは? さらにはアニメや動画のお話も。リモートでたっぷりおうかがいしました。

2021.6.25  【今週はこれを読め! ミステリー編】ユダヤ人古書店主の決死の犯罪捜査『狼たちの城』

この設定で話がつまらなくなるはずがないだろう。

2021.6.23  【今週はこれを読め! エンタメ編】過去にとらわれた男の旅〜遠田潤子『緑陰深きところ』

主人公の三宅紘二郎は、40年以上前に大阪・ミナミの外れで「河童亭」というカレー店を開いて、すでに70歳を過ぎた。

2021.6.18  【今週はこれを読め! ミステリー編】疾風怒濤のホラー西部劇『死人街道』

神を激しく憎みながらその憎悪の対象に祈りを捧げる以外の生き方を知らない男。

2021.6.16  【今週はこれを読め! エンタメ編】読後感さまざまの将棋短編小説集〜芦沢央『神の悪手』

近年将棋は安定した人気を保っているが、プロ棋士として活躍することがどれだけたいへんなことか理解している人は少ないだろう(と、偉そうに言えるほどには私自身も理解が足りていないのだが)。

2021.6.10  【今週はこれを読め! ミステリー編】ブロック編のアート・アンソロジー『短編回廊』

美しき罠、あるいは牢獄の展覧会と言うべきか。

2021.6.9  【今週はこれを読め! エンタメ編】緊急事態宣言下の1日1編『Day to Day』

昨年緊急事態宣言が出たとき、いままでに経験したことのない状況に対しての不安や緊張感があった。非日常な空気に押しつぶされそうになり「本を読む気になれなくなった」という声をあげる方々も、かなりの数いらしたと記憶している。幸い私は文学作品に頼って過ごしており、昨年の春は1日1編の短い小説やエッセイに元気づけられる日々でもあった。リアルタイムで読んだ方も読めなかった方も、この機会にぜひ手に取られることをおすすめする。あの心細かった毎日をなんとかして乗り切ろうとしていた自分たちの必死さが、少しでも報われるような気がするから。

2021.6.8  【今週はこれを読め! SF編】冷徹なる種族殲滅の宇宙で、愛は価値を持つか?

世界的ベストセラー《三体》シリーズの完結篇。『三体』『三体II』と比べて、時空スケールがいっそう壮大になっている。

2021.5.28  作家の読書道 第229回:蛭田亜紗子さん

2008年に第7回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞を受賞、10年に『自縄自縛の私』(受賞作「自縄自縛の二乗」を改題)を刊行してデビューした蛭田亜紗子さん。現代人の日常を描く一方で、『凜』では大正期、開拓時代の北海道を舞台に過酷な環境を生きる男女を描き、最新作『共謀小説家』では明治期に小説執筆にのめりこんだある夫婦の話を描くなど、幅広い作風で活躍中。では蛭田さんが親しんできた作品とは? リモートでたっぷりおうかがいしました。

2021.5.26  【今週はこれを読め! エンタメ編】おもちさん83歳の日々〜朝倉かすみ『にぎやかな落日』

私があと30年生き長らえることができれば、主人公のおもちさんと同年代になる。

2021.5.20  【今週はこれを読め! エンタメ編】とびきりの「時間」を目指す〜古内一絵『最高のアフタヌーンティーの作り方』

本書の舞台は、都心に広大な敷地を有する桜山ホテル。うふふ~このティールームにねえ、行ったことあるんですよ。桜山ホテルは架空の場所ですから、モデルになった東京・目白の椿山荘にってことなんですけど。残念ながら庭園内で多数目にすることのできる桜は見頃を過ぎてしまっていた時期でしたが、いただいたのはまさに桜アフタヌーンティー。気の合う友人たちとの楽しい時間、窓から見える都会の真ん中とは思えない美しい眺め、そして一口ごとに至福の瞬間が訪れるおいしいスイーツやセイボリー(サンドイッチなどの食事)の数々。もう、天国かと思いましたね(家計には大きく響きましたけど)。

2021.5.19  【今週はこれを読め! SF編】登場人物たちが暮らす秘密の図書館、書き換えられる初版本

犯罪小説、ホラー、ファンタジイと幅広く活躍するジョン・コナリーの短篇集。大部な原書Night Music: Nocturnes Volume 2から、書物や物語を題材とした四篇を選んでの邦訳だ。

2021.5.12  今村夏子の小説「こちらあみ子」映画化、井浦新と尾野真千子が出演

今村夏子の小説「こちらあみ子」が映画化。井浦新と尾野真千子が出演することがわかった。

2021.5.11  今村夏子の小説「こちらあみ子」映画化、井浦新と尾野真千子が出演

今村夏子の小説「こちらあみ子」が映画化。井浦新と尾野真千子が出演することがわかった。

2021.5.6  【今週はこれを読め! SF編】ゴールドラッシュの小惑星で繰りひろげられるアクションSF

ロバート・シルヴァーバーグ『小惑星ハイジャック』(創元SF文庫)

2021.5.6  【今週はこれを読め! ミステリー編】7つの作中作が登場する曲者小説『第八の探偵』

何をしてくるかわからない曲者はミステリーの世界では大歓迎なのだ。

2021.4.14  【今週はこれを読め! エンタメ編】料理とおみくじで一歩を踏み出す短編集〜冬森灯『うしろむき夕食店』

食べ物の描写がおいしそうな文章は、もうそれだけでありがたい。食は大事。栄養学的な観点からももちろんだけれど、単純においしいものを食べたときの格別な幸せを思うだけでも、食事の大切さは決してないがしろにできないと思う。...という意見に賛同してくださるあなたに、ぜひおすすめしたい本がございますのよ。

2021.4.13  【今週はこれを読め! SF編】霊能者連続失踪事件を追うヴィクトリアン・ミステリ。

リサ・タトル『夢遊病者と消えた霊能者の奇妙な事件』(新紀元社)

2021.4.7  【今週はこれを読め! エンタメ編】過去から続く因縁と秘密〜遠田潤子『紅蓮の雪』

つらくなるのはわかっているのに手に取ってしまう、それが遠田潤子の小説だ。本書は、主人公・伊吹の双子の姉である朱里の葬儀のシーンから幕を開ける。朱里は「伊吹、ごめん」とだけ書かれた書き置きを残して、町外れにある城の石垣から飛び降りたのだった。伊豆の老舗旅館の跡取り息子である大学の先輩との婚約も整い、幸せそうに見えたのに。両親からの愛情を与えられずに育った姉弟として、お互いを一生守ると約束したのに。

2021.4.6  【今週はこれを読め! SF編】全銀河に反逆した種族「人類」、その最後の生き残りが主人公

ザック・ジョーダン『最終人類』(ハヤカワ文庫SF)

2021.3.31  【今週はこれを読め! エンタメ編】女たちの喪失と希望の物語〜ジュリア・フィリップス『消失の惑星』

幼い姉妹が八月の午後を過ごしている海辺の描写に、まずやられる。どちらかというと風景の描き方といったものに注意を払わない無粋な人間がそういう部分に目を留めるとき、その小説は傑作だと思って間違いない。母から妹の面倒をみるようにとの指示に倦んでいる姉と、年齢のわりには無邪気な妹。そして、足を怪我したと語る男。読者の胸にゆっくりと不穏さが忍び込んでくる。「行ってはだめだ、行くな」という我々の焦りは、彼女たちに届かない。

2021.3.27  作家の読書道 第227回:尾崎世界観さん

2001年にロックバンドのクリープハイプを結成、12年にメジャーデビュー。ヴォーカル、ギター、作詞作曲で活躍する一方、16年に小説『祐介』を発表した尾崎世界観さん。最新作『母影』が芥川賞にノミネートされるなど注目を浴びる尾崎さんは、どんな本を求めてきたのか。歌うこと、書くことについて切実な思いが伝わってくるお話です。リモートでインタビューを行いました。

2021.3.17  【今週はこれを読め! エンタメ編】重厚かつトリッキーな丸山正樹『ワンダフル・ライフ』

今回ご紹介する本は、【エンタメ編】という枠で取り上げるには少々ハードな内容かもしれない。気難しい障害者の妻と介護に疲れた夫の息が詰まるような生活ぶりを、読者は冒頭からさっそく読むことになる。

2021.3.16  【今週はこれを読め! SF編】甲冑から高度AIまで、さまざまなパワードスーツのアンソロジー

J・J・アダムズ編『この地獄の片隅に パワードスーツSF傑作選』(創元SF文庫)

2021.3.3  【今週はこれを読め! エンタメ編】豪華ショートショート集『超短編! 大どんでん返し』

チョコレートのアソートボックスとかたくさんのネタが並んだお寿司桶とか、いろいろな種類が揃ったものってうれしいですよね。本書はまさにそんな本。アンソロジーといっても30人もの作家の作品が1冊で読める本って、なかなかないと思います。そんな夢のような企画が可能になったのは、掲載作品がほぼ4ページという「超短編」だから。

2021.3.2  【今週はこれを読め! SF編】死者と生者の都ローマ、血の戦慄と欲望

キム・ニューマン『ドラキュラのチャチャチャ』(アトリエサード)

2021.2.27  作家の読書道 第226回:酉島伝法さん

2011年に「皆勤の徒」で第2回創元SF短編賞を受賞、造語を駆使した文章と自筆のイラストで作り上げた異形の世界観で読者を圧倒した酉島伝法さん。2013年に作品集『皆勤の徒』、2019年に第一長編『宿借りの星』で日本SF大賞を受賞した酉島さんは、もともとイラストレーター&デザイナー。幼い頃からの読書生活、そして小説を書き始めたきっかけとは? リモートでお話をおうかがいしました。

2021.2.24  【今週はこれを読め! エンタメ編】かけがえのない日常を描く短編集〜奥田英朗『コロナと潜水服』

奥田英朗さんの小説を読むとたいてい心に浮かんでくるのは、「身につまされる」という言葉だ。奥田作品と一口にいっても読み心地は幅広くて、『最悪』(講談社文庫)のようなエッジの効いたものももちろんすごいのだが、個人的には『家日和』(集英社文庫)などのそんなに大きな事件は起こらないけれどもかけがえのない日常が描かれた小説が好きだ。そして、『コロナと潜水服』もそういった作品5編が集められた短編集である。

2021.2.24  坊っちゃん文学賞大賞、「黒猫」さんの「ドリームダイバー」

「第17回坊っちゃん文学賞」(松山市主催)の審査結果が22日発表され、大賞に高知市の「山猫軒従業員・黒猫」さん(37)の作品「ドリームダイバー」が選ばれた。黒猫さんは「すごく驚いている。猫の日(2月22日)にこのような賞をいただきありがとうございます」と自身のペンネームにかけて喜びを語った。受賞作は3月発売の雑誌「ダ・ヴィンチ」4月号に掲載される。

2021.2.19  【今週はこれを読め! ミステリー編】フィルム・ノワールのような警察小説『刑事失格』

一言で表すなら、フィルム・ノワールの気配をまとった警察小説である。

2021.2.17  【今週はこれを読め! SF編】夏への扉はなくても、猫がいればあたたかい

芝村裕吏『統計外事態』(ハヤカワ文庫JA)

2021.2.10  【今週はこれを読め! エンタメ編】年ごとに移ろいゆく家族の日常〜藤谷治『睦家四姉妹図』

「定点観測小説」が好きだ。定点観測小説というのはたったいま考えた名称だけれども、場所(=小説の舞台)が固定された状態で、同じキャラクターが年齢を重ねていくor違う登場人物たちが入れ替わり立ち替わり出てくるといった作品を念頭に置いている。ぱっと思いついたものでは、半世紀の間に同じアパートの五号室に暮らした歴代の住人たちが登場する『三の隣は五号室』(長嶋有)とかイングランドの荒野に建つ屋敷の人々を次世代まで描いた『嵐が丘』(エミリー・ブロンテ)とか(テイストはえらく違いますけど)。

2021.2.1  第72回読売文学賞…受賞6氏と作品

第72回読売文学賞(令和2年度)が決まりました。選考委員の選評を紹介します。

2021.1.28  【今週はこれを読め! ミステリー編】ウイルス蔓延下、封鎖都市の殺人事件『ロックダウン』

ウイルス蔓延下、厳戒態勢の都市で刑事はどう動くのか。

2021.1.26  【今週はこれを読め! SF編】陰に隠れた幻想小説の水脈の発見

橋本勝雄編『19世紀イタリア怪奇幻想短篇集』(光文社古典新訳文庫)

2021.1.26  コロナ禍で本の需要高まる 電子出版が前年比30%近く増加

去年1年間の出版物の推定販売額は、コロナ禍で本の需要が高まったことなどから電子出版が前の年と比べて30%近く増加し、紙の出版と合わせた市場全体でも2年連続で前の年を上回りました。

2021.1.20  芥川賞は宇佐見りんさん・直木賞は西條奈加さん

芥川賞と直木賞の選考会が開かれ、芥川賞に宇佐見りんさんの「推し、燃ゆ」が、直木賞に西條奈加さんの「心淋し川」(うらさびしがわ)が、それぞれ選ばれました。

2021.1.19  【今週はこれを読め! SF編】羊羹を食べながら日本海軍を翻弄するオリオン太郎

林譲治『大日本帝国の銀河1』(ハヤカワ文庫JA)

2021.1.13  【今週はこれを読め! エンタメ編】恐るべき筆力とユーモアが光る鈴木るりか『私を月に連れてって』

恐ろしい子! と私の内なる月影先生が発動してしまうくらい驚かされたのが、現役高校生作家・鈴木るりかさんの『私を月に連れてって』である。前作『太陽はひとりぼっち』でも十分すぎるほどの衝撃だったが、今回はさらに記録更新だ。もうほんと、私のように鈴木さんの倍以上歳をとっている人だって(いや、サバを読んだがほぼ3倍です)、こんなにおもしろい本を書ける人材などどれだけいることか。

2021.1.13  作家の半藤一利さん死去 90歳

昭和史の研究で知られ、戦争などをテーマに数多くのノンフィクション作品を発表してきた、作家の半藤一利さんが亡くなりました。90歳でした。

2021.1.5  【今週はこれを読め! SF編】多様な傾向を集めつつ、懐かしい印象すら受ける間口の広いアンソロジー

もっとも新しい十年紀のSF傑作選。思わず身がまえてしまうが、心配はご無用。収録されている作家の人種・経歴・セクシャリティは多様で、作品の傾向もバラエティに富んでいるものの、飛びぬけて先鋭的な表現・主題・論理はほとんどない。ある程度SFに馴染んでいる読者にとっては、むしろ懐かしい印象すら受けるくらいだ。

2021.1.1  第55回北日本文学賞受賞者インタビュー

宮本輝氏選「第55回北日本文学賞」(副賞100万円)は、大阪市の大学院生、谷町蛞蝓(なめくじ)さん(32)の「きぼう」に決まった。

2020.12.29  【今週はこれを読め! ミステリー編】私立探偵スカダーの長い歩み『石を放つとき』

私立探偵小説のすべてがここに詰まっている。

2020.12.28  出版物の販売額 16年連続で減少 コミックス好調も旅行ガイド減

ことしの国内の出版物の販売額は、新型コロナウイルスの影響でコミックスなどの需要が高まったものの、雑誌の売り上げの大幅な落ち込みなどによって推計で去年よりおよそ2%減少し、16年連続で前の年を下回る見通しとなりました。

2020.12.26  作家の読書道 第224回:伊与原新さん

2019年に『月まで三キロ』で新田次郎文学賞、静岡書店大賞、未来屋小説大賞を受賞した伊与原新さん。地球惑星科学を専攻して研究者になった伊与原さんが読んできた本とは、ある日小説を書きはじめたきっかけとは。エンタメから分かりやすい理系の本まで、幅広い読書遍歴を語ってくださいました。

2020.12.16  【今週はこれを読め! エンタメ編】5人の「白野真澄」の短編集〜奥田亜希子『白野真澄はしょうがない』

たまーにエゴサーチというものをしてみることがある。とはいえ、私のような零細ライターではだいぶ下方にスクロールしていってようやく関連記事を見つけることができる程度だし、Twitterも炎上するほど閲覧されてもいないので気楽なものだ。常に検索上位にあがってこられる「松井ゆかり」さんは、タレントさんや格闘技の選手の方など。名前が同じというだけの他人ではあるが多少なりともご縁があるように思われて、画像などをじっと見つめてしまうことがある(もはやエゴサーチではない)。

2020.12.15  【今週はこれを読め! SF編】現実認識のテーマから、目くるめく神怪小説へ発展

第八回ハヤカワSFコンテスト優秀賞受賞作(前回紹介した竹田人造『人工知能で10億ゲットする完全犯罪マニュアル』と同時受賞)。

2020.12.2  【今週はこれを読め! エンタメ編】令和、江戸、平安を生きるヒロインの恋〜川上弘美『三度目の恋』

男女間の心の機微がよくわからない人間としては、恋愛というものをメインに据えた小説というものはほとんど求めていないのだった。それでもたまに「読んでみようかな」と心が動くとしたら、少々変化球なものに対して。川上弘美さんの作品は、私が手放しで読書欲をかき立てられる数少ない恋愛小説だ。男女の触れ合いを端正に描いた恋愛ものであることは間違いないのだけれど、川上作品には読む者の想像を超えるひねりのようなものがあると思うから。

2020.12.1  書籍の年間ベストセラー 「鬼滅の刃」小説版が上位占める

この1年間の書籍のベストセラーが発表され、アニメや映画化もされている人気漫画『鬼滅の刃』の小説版が上位を占めました。

2020.11.28  作家の読書道 第223回:中山七里さん

今年作家デビュー10周年を迎えた中山七里さん。話題作を次々と世に送り出すエンターテインナーの読書遍歴とは? 大変な読書量のその一部をご紹介するとともに、10代の頃に創作を始めたもののその後20年間書かなかった理由やデビューの経緯などのお話も。とにかく、その記憶力の良さと生活&執筆スタイルにも驚かされます。

2020.11.19  「全米図書賞」の翻訳文学部門に柳美里さんの小説

アメリカで最も権威のある文学賞「全米図書賞」の翻訳文学部門に、柳美里さんの小説「JR上野駅公園口」が選ばれました。

2020.11.18  【今週はこれを読め! エンタメ編】絵にすべてを懸けた絵師の姿〜谷津矢車『絵ことば又兵衛』

みんなちがって、みんないい。金子みすゞが命を削るようにして紡いだ言葉は、いまだ人々の心を完全に改めさせるには至っていない。まして、個性や多様性といったものが共通認識とされていなかった時代には、他者の身体面や行動面における特徴をあげつらうのにいま以上に躊躇がなかったのではないだろうか。

2020.11.17  【今週はこれを読め! SF編】銀河英雄伝説トリビュート・アンソロジー

もはや『銀河英雄伝説』は古典である。SFの基礎教養というレベルさえ超え、ミームとして浸透・機能している。本書は、『銀英伝』の設定を活かして、六人の作家がオリジナル・エピソードを繰り広げる競作アンソロジーだ。

2020.10.28  【今週はこれを読め! エンタメ編】夢のような男をめぐる短編集〜遠田潤子『雨の中の涙のように』

友だちが大のハリソン・フォードファンだったので、『ブレードランナー』は映画館で同じ日に連続で2回観た(昔の映画館のほとんどは現在のシネコンなどと違って入れ替え制ではなかったため、こういうことが可能だった)。レプリカントと呼ばれる、高い知性を持つ人造人間が発明された世界。過酷な労働や戦闘に従事させられていた彼らはしかし、徐々に感情が芽生え人間社会へ紛れ込もうとするようになる。ハリソン・フォードは、脱走レプリカントを抹殺する任務を負った警察の元専任捜査官(ブレードランナー)のデッカード役。友だちはうっとりと見とれていたが、私は敵対するレプリカント・バッティ役のルトガー・ハウアーに釘付けになった。

2020.10.24  作家の読書道 第222回:武田綾乃さん

学生時代に作家デビュー、第2作「響け!ユーフォニアム」がいきなりアニメ化され人気シリーズとなった武田綾乃さん。さまざまな青春を時にキラキラと、時にヒリヒリと描く武田さんはどんな本を読み、どんな思いを抱いてきたのか。お話は読書についてだけでなく、好きなお笑い芸人や映像作品にまで広がって…。意外性に満ちたインタビューをお楽しみください!

2020.10.15  独占インタビュー「ラノベの素」 大森藤ノ先生『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2020年10月15日にGA文庫より『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』第16巻が発売された大森藤ノ先生です。TVアニメ第3期も10月より放送開始となる中、原作小説は新たな展開を迎える新章に突入します。2013年の『ダンまち』シリーズ刊行から約7年。過去から現在までを振り返り、作品との向き合い方や物語の立ち位置、そして本編から紐解くベル・クラネルをはじめとしたキャラクター達の成長に関するお話など、様々にお話をお聞きしました。ファン必見の『ダンまち』の今を語ります!

2020.10.13  【今週はこれを読め! SF編】物珍しさではなく、作品そのものの価値で語られるべき充実のアンソロジー

イスラエルSFのアンソロジー。原著はアメリカで2018年に刊行されたが、編者のふたりはイスラエル人だ。

2020.10.8  文学賞 米詩人のルイーズ・グリュック氏

日本時間8日夜、ノーベル文学賞の受賞者が発表され、アメリカの詩人、ルイーズ・グリュック氏が選ばれました。期待されていた村上春樹さんら、日本人作家は受賞を逃しました。

2020.9.26  作家の読書道 第221回:高山羽根子さん

この夏、『首里の里』で芥川賞を受賞した高山羽根子さん。これまでも一作ごとにファンを増やしてきた高山さん、多摩美術大学で日本画を専攻していたという経歴や、創元SF短編新人賞に佳作入選したことがデビューのきっかけであることも話題に。読んできた本のほか美術ほか影響を受けたものなど、高山さんの源泉について広くおうかがいします。

2020.9.9  【今週はこれを読め! エンタメ編】誰もが輝くバスケ小説〜藤岡陽子『跳べ、暁!』

バスケットボールって、ほんとうにハードなスポーツだというイメージがある。ほぼずーっと走りっぱなし、手も足も使う、ジャンプ力も要求される。未経験者からすると、こんなにいっぺんにいろんなことをしなければならないのが信じられない。しかも、チームワークまでが重要になってくるのだ。

2020.9.8  【今週はこれを読め! SF編】迷路を進むと〈薄暮〉が追いかけてくる。歴史も人生も。

映画化された超大作『クラウド・アトラス』で知られるデイヴィッド・ミッチェルが、2014年に発表した長篇。世界幻想文学大賞を受賞した。

2020.9.1  【今週はこれを読め! SF編】1950年代の宇宙移住計画、宇宙飛行士を目ざす女性の奮闘

1950年代のアメリカ。性差別・人種差別が根強く残る時代に、宇宙飛行をめざす女性たちがいた。第二次大戦中に婦人操縦士隊のメンバーとして従軍したベテラン、あるいは地域の〈航空クラブ〉で空を飛ぶ醍醐味を覚えた者、さらに物語が進むと海外からの志願者も加わる。彼女たちは人種も社会的地位もキャリアも異なる。ただ「宇宙を飛びたい」という情熱は共通だ。

2020.8.31  【今週はこれを読め! ミステリー編】鼻つまみものの刑事の危険な小説『笑う死体』

探偵は信用できないが、謎解きのためには作者を信頼するしかない。

2020.8.26  【今週はこれを読め! エンタメ編】おいしいものが励ましてくれる物語〜冬森灯『縁結びカツサンド』

カツはおいしい。関東出身であることも関係するのか、個人的にはやはりカツは豚肉というイメージがある。村上春樹さんが"関西ではカツといえば牛肉"といった趣旨のエッセイを書いておられて、長らくビーフカツを食べることを熱望していたのだが(そして、実際に食べてみてとてもおいしかったのだが)、トンカツの方が汎用性があることには多くの方が賛成してくださるのではないだろうか(卵でとじる一般的なカツ丼などは、豚で作る方が合う気がするし)。そこでカツサンド。ビーフカツのサンドウィッチももちろん美味だけれど、本書で登場するのは豚肉を使ったものものだ。夏の青空に規則正しく並んだ縞模様の雲を見て、スペアリブを連想してみるのも楽しいと思う(本文ご参照のこと)。

2020.8.19  【今週はこれを読め! エンタメ編】戦下でポン菓子製造機を作った人〜歌川たいじ『バケモンの涙』

主人公の橘トシ子は19歳。実家は大阪の郊外にある旧家(蔵が4つもある)で、トシ子は「いとはん」(=大店の長女)と呼ばれて育った。

2020.8.11  【今週はこれを読め! SF編】新たな壮途へ乗りだした年刊日本SF傑作選

創元SF文庫で十二年つづいた《年刊日本SF傑作選》を後継するアンソロジー・シリーズ。版元を移した経緯や、編者が大森望・日下三蔵のタッグチームから大森ソロへ変わったことなど「序」で語られているが、支障なく友好的に運んだようだ。まずは欣快。

2020.8.6  【今週はこれを読め! エンタメ編】幸せは一種類じゃない!〜桂望実『結婚させる家』

理想のあり方、というものがある。ある、というか、一般的にそれが理想だとみなされているテンプレートがある。その最たるものが、理想の家族像ではないだろうか。両親が揃っている、子どもはふたりくらい、できれば庭付きの一軒家、といったあたりが最も必要とされる条件に違いない。

2020.7.29  【今週はこれを読め! エンタメ編】「普通」に縛られない家族の物語〜寺地はるな『水を縫う』

家族とは何か。仕事とは何か。新入社員&就活生の息子たちがいる今年の我が家において、常に心を占める問題となっている。どういう仕事をして生きて行きたいか。仕事をしていくうえでどんな心構えでやっていかなければならないか。難しいのは、自分の経験を踏まえて多少のアドバイスはできても、それが息子たちの心に響くとは限らないし、そもそも全方位的に効く忠告などないということだ。であれば、自分のやるべきことは最終的には自分の心に聞くしかない。息子たちも、私も。

2020.7.28  【今週はこれを読め! SF編】歴史改変戦争。時間の家父長制をいかにくつがえすか。

ジャック・ウィリアムスン『航時軍団』以来、あるべき未来を賭して、排反的なふたつの勢力が抗争する展開のSFはいくつも書かれてきた。もっとも有名なのは、フリッツ・ライバー《改変戦争(チェンジ・ウォー)》シリーズだろう。長篇『ビッグ・タイム』といくつかの短篇が邦訳されている。

2020.7.28  上半期の出版物売り上げ 電子出版28%増 在宅時間増えたことも

ことし上半期の国内の出版物の売り上げは、電子出版が前の年の同じ時期と比べて30%近く増加し、紙の出版と合わせた市場全体でも200億円ほど上回りました。

2020.7.25  作家の読書道 第219回:今村翔吾さん

2017年に『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』を刊行してデビュー、翌年『童神』(刊行時に『童の神』と改題)が角川春樹小説賞を受賞し、それが山田風太郎賞や直木賞の候補になり、そして2020年は『八本目の槍』で吉川英治文学新人賞を受賞と、快進撃を続ける今村翔吾さん。新たな時代小説の書き手として注目される今村さんは、いつ時代小説に魅せられ、何を読んできたのか? 軽快な語り口調でたっぷり語ってくださいました。

2020.7.15  芥川賞に高山羽根子さんと遠野遥さん 直木賞に馳星周さん

第163回芥川賞と直木賞の選考会が15日開かれ、芥川賞は高山羽根子さんの「首里の馬」と遠野遥さんの「破局」の2つの作品が選ばれました。また、直木賞は馳星周さんの「少年と犬」が選ばれました。

2020.7.14  【今週はこれを読め! SF編】ケン・リュウ選とは味わいの違う、新しい中華圏SFアンソロジー

鳴り物入りで邦訳された劉慈欣『三体』をはじめ、日本でも中華圏SFの活況が紹介されはじめている。中華圏と日本に両国のSF界の架け橋として大活躍しているのが、本書の編者、立原透耶さんである。

2020.7.8  【今週はこれを読め! エンタメ編】甲子園を整備するプロの仕事〜朝倉宏景『あめつちのうた』

もともと激ユルだった私の涙腺は、加齢とともに衰弱の一途をたどっている。にしても、我ながらいくら何でも泣きすぎだろうと思ったのが、数年前高校野球をテレビで見ていた際にまっすぐに引かれたグラウンドの白線を見て涙ぐんでしまったことだ。「ああ、こんなに美しくグラウンド整備をすることで、選手たちを支えるスタッフがいらっしゃる...!」と感極まり、一緒に見ていた家族たちを震撼させた。いま思えば、あのときの私は阪神園芸さんの芸術的な仕事ぶりに胸を打たれていたのか...。

2020.7.1  【今週はこれを読め! エンタメ編】"エンターテインメント小説界の至宝"の家族小説〜遠田潤子『銀花の蔵』

「エンターテインメント小説界の至宝」は、私が独断で作家・遠田潤子のキャッチコピーとして使用しているフレーズである(遠田作品のレビューではこれからもどんどん使っていこうと思ってます)。

2020.6.27  作家の読書道 第218回:藤野可織さん

不穏な世界を時に美しい言葉で、時に奇想を炸裂させた設定で描き出す藤野可織さん。2013年には『爪と目』で芥川賞を受賞、最近では女性2人が破滅に向かう世界で活き活きと冒険する『ピエタとトランジ<完全版>』が評判に。この世界観を生み出す背景に、どんな読書遍歴があったのでしょう? 小説だけでなく、影響を受けた漫画や好きな映画や俳優についてもたっぷり教えてくださいました。

2020.6.23  【今週はこれを読め! SF編】二重の有徴を背負った人生、呪われた天分、世界を護り/滅ぼす才能

《破壊された地球》三部作の開幕篇。待望の邦訳である。

2020.6.17  【今週はこれを読め! エンタメ編】最高の短篇作家の作品集〜イーディス・パールマン『蜜のように甘く』

「現存するアメリカ最高の短篇作家」(「ボストン・グローブ」紙)、「世界最高の短篇作家」(ロンドン・タイムズ」紙)といった絶賛は、本書の著者であるイーディス・パールマンのためのものである。

2020.6.16  【今週はこれを読め! SF編】機械論的な時間ループではなく、記憶と歴史の物語

これは、ひとりの女性の人生、第二次大戦を挟んだ激動の歴史、そして、なにより「記憶の物語」だ。外形的には時間ループSFとも言えるが、そう称されるおおよその小説が依拠している機械論的時間観とは一線を画す。

2020.6.10  【今週はこれを読め! ミステリー編】小説の暴力性を描く『念入りに殺された男』

暴力の小説であり、小説の暴力性についての物語でもある。

2020.6.9  【今週はこれを読め! SF編】前作から大きくスケールアップ、映像的表現の迫力

希代のストーリーテラー、マイクル・クライトンの疫病SF『アンドロメダ病原体』の続篇。宇宙由来の菌株(ただし生物的存在ではなく自己展開する「因子」と呼ぶのがふさわしい機序を示す)が、ふたたび人類を脅かす。

2020.6.9  文学賞の選考もリモートで…江戸川乱歩賞に佐野広実さん

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、文学賞の選考にも新たな方法が取られています。ミステリー小説の登竜門として知られる江戸川乱歩賞は、今回初めてテレビ会議システムで選考が行われ、佐野広実さんの『わたしが消える』が選ばれました。

2020.6.3  【今週はこれを読め! エンタメ編】料理をめぐる実力派作家のアンソロジー『注文の多い料理小説集』

新型コロナウィルス感染症拡大防止のため、このところ何か月にもわたって我々はさまざまな不自由を耐え忍んでいる。

2020.5.28  【今週はこれを読め! ミステリー編】人間の残酷さを浮かび上がらせる作品集『おれの眼を撃った男は死んだ』

シャネル・ベンツ『おれの眼を撃った男は死んだ』(東京創元社)には、優れた短篇に与えられるO・ヘンリー賞を2014年に獲得した「よくある西部の物語」を含む10の小説が収められている。知っている限りベンツが邦訳されるのはこれが初めてだ。テネシー州メンフィス在住で、ローズ・カレッジで教鞭を執っているという以外の経歴はわからない。

2020.5.21  【今週はこれを読め! ミステリー編】達人ミネット・ウォルターズの性格劇『カメレオンの影』

ミステリーの興趣は性格喜劇、もしくは悲劇のそれにつながる。

2020.5.20  【今週はこれを読め! エンタメ編】農業にまつわる8つの物語〜瀧羽麻子『女神のサラダ』

私の父方の祖父母は現代においてはめっきり少なくなった専業農家だったのだが、本書を読んで自分が農業について全然わかっていないということがわかった。毎日食べるものを作ってもらっているというのに。まして生産者の方々の気持ちなど、なおさら理解できていなかった。

2020.5.12  【今週はこれを読め! SF編】奇妙な全体主義の成立と凋落、孤独と想像力をめぐって

ケイト・ウィルヘルムの代表長篇。単行本刊行の翌年(1977年)にはヒューゴー賞とローカス賞を受賞している。1982年にサンリオSF文庫から邦訳が出たものの、ほどなく絶版。若い読者にとっては「名のみ聞く名作」となっていたので、こんかいの復刊は好企画だ。

2020.5.5  【今週はこれを読め! SF編】ヤング・カーティス・ニュートン、青二才からヒーローへ

人気スペースオペラ《キャプテン・フューチャー》のリブート版。月面チコ・クレーターの秘密基地から出動する知恵と力と勇気のヒーロー、キャプテン・フューチャーことカーティス・ニュートンと、彼につきそうフューチャーメンという構図は元どおりだが、細かい設定が現代風にアレンジされている。たとえば、宇宙開発の歴史がアポロ宇宙船の月着陸の延長線上にあり、太陽系諸惑星への植民はテラフォーミングと人間のゲノム改造によって成されたといった具合だ。ちなみに元シリーズでは各惑星にネイティヴの知的種族が存在していた。

2020.4.29  【今週はこれを読め! エンタメ編】"最後の文士"の告白〜岩井圭也『文身』

主人公の庸一は、最初に就職した工場で自分の名前の漢字を聞かれて「凡庸の庸」と答えた。しかし、実際には凡庸どころの話ではない。須賀庸一という人間は、まぎれもなく希有な存在だと思う。

2020.4.25  作家の読書道 第217回:乗代雄介さん

2015年に「十七八より」で群像新人文学賞を受賞して作家デビュー、2018年に『本物の読書家』で野間文芸新人賞を受賞、今年は「最高の任務」で芥川賞にノミネートされ注目度が高まる乗代雄介さん。たくさんの実在の書物の題名や引用、エピソードが読み込まれる作風から、相当な読書家であるとうかがえる乗代さん、はたしてその読書遍歴は?

2020.4.23  【今週はこれを読め! ミステリー編】颯爽と八方破れな『弁護士ダニエル・ローリンズ』登場!

人生に絶望するにはまだ早い、と教えてくれる小説である。

2020.4.22  【今週はこれを読め! エンタメ編】変わってゆく主婦・絵理子がまぶしい〜窪美澄『たおやかに輪をえがいて』

主人公の絵里子は私と同じ52歳。以前はそんなに気にしたことはなかったのに、最近本を読んでいて登場人物が自分と同年代だとそのことについて強く意識するようになった。

2020.4.21  【今週はこれを読め! SF編】激しい性のカタチ、遙かな愛のスガタ

性を題材にした5作品を収録したSF短篇集。

2020.4.17  東野圭吾さんの人気作、初の電子書籍化 在宅読者のために 出版7社から1作ずつ

作家の東野圭吾さん(62)の作品が初めて電子書籍化される。出版関係者によると、東野さんは「書店を守りたい」との意向が強く、これまで自身の作品の電子書籍化には慎重だったという。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大によって在宅者が増えたことや、書店の相次ぐ休業で書籍の購入も難しくなっていることから、東野さんの提案で出版7社から1作ずつに限って配信することが決まったという。

2020.4.15  【今週はこれを読め! エンタメ編】痛快女子バディ物語『ピエタとトランジ〈完全版〉』登場!

「痛快」という言葉がこれほど似合う小説に出会ったのは久しぶり。本書は連作短編集で、ふたりの女子(と呼んでいてもいいのかどうかわからない年齢になるまで彼女たちの仲は続いていくのだけれど)のクールで熱い物語が展開していく。

2020.4.9  【今週はこれを読め! ミステリー編】『短編ミステリの二百年vol.2』で評論と短編を楽しむ!

コロナ禍に遭われたみなさまにお見舞い申し上げます。また、緊急事態宣言発令で外出自粛を余儀なくされているみなさまにも。ざわざわとして心落ち着かない日々ですね。早く日常が取り戻せないものかと思います。

2020.4.8  【今週はこれを読め! エンタメ編】70歳差のかけがえのない友情物語〜アリ・スミス『秋』

EUを離脱するしないの国民投票でイギリスが大騒ぎになっていたのは、もう4年も前のことなのか。

2020.4.1  【今週はこれを読め! エンタメ編】朝井リョウのタイアップ&コラボ短編集『発注いただきました!』

以前ある作家が「小説やエッセイを書くのは完全にお金のため」という趣旨の文章を書いておられるのを読んで(うろ覚えだが、概ねこういう内容だった)、衝撃を受けたことがある。作家というものは、"たとえお金にならなくても書くのをやめられない"人がなるものだと思っていたからだ。しかしながら、これは私が読者としてナイーブすぎた。それで生計を立てている以上、書くことと収入とは切っても切り離せない。そしてまた、依頼主からの注文があれば、書き手はその希望に沿って書くこともまた必要になってくるわけだ。

2020.3.28  作家の読書道 第216回:青山七恵さん

大学在学中に書いて応募した『窓の灯』で文藝賞を受賞してデビュー、その2年後には『ひとり日和』で芥川賞を受賞。その後「かけら」で川端康成賞を受賞し、短篇から長篇までさまざまな作品を発表している青山七恵さん。衝撃を受けた作品、好きな作家について丁寧に語ってくださいました。

2020.3.27  2020年5月6日(水祝)「第三十回文学フリマ東京」開催中止のお知らせ

5月6日に開催を予定していた「第三十回文学フリマ東京」は、中止といたします。

2020.3.26  【今週はこれを読め! ミステリー編】非道な犯罪者の殺し合い祭りに興奮!『七つの墓碑』

刑務所帰りの男対謎の連続殺人鬼、これすなわち興奮っ。

2020.3.18  【今週はこれを読め! エンタメ編】ド直球の家族小説短編集〜木村椅子『ウミガメみたいに飛んでみな』

「そもそもウミガメって飛べるんだっけ?」なんて野暮なことは言いっこなしだ。ウミガメだって人間だって、空くらいなら飛べるのである。固定観念は捨てるべきだ。

2020.3.10  【今週はこれを読め! SF編】浪漫の帝都と大陸の新興都市が舞台、波瀾のスチームパンク

和製スチームパンクの第三作。設定は第一作、第二作からつづいているが、物語としては独立しているので、この巻だけ読んでも支障はない。ただし細かいくすぐり----たとえばヒロインの伊武(イヴ)が長須鯨の描かれた箱を大切にしていて、誰かが腰掛けようとすると「椅子じゃない」と怒るくだりなど----は、シリーズを追いかけているファンへのサービスだ。そのあたりも含め、大森望さんが「解説」でシリーズ全体の概要をまとめてくれている。本書から読む場合は、まず「解説」からどうぞ。

2020.3.3  【今週はこれを読め! SF編】第二次『幻想と怪奇』に喝采!

伝説の雑誌〈幻想と怪奇〉が45年の歳月を経て甦った!

2020.3.2  吉川英治文学賞は該当なし 文庫賞は「十二国記」シリーズ

吉川英治国民文化振興会は2日、第54回吉川英治文学賞が該当作なしと決まったと発表した。第5回同文庫賞は小野不由美さんの「十二国記」シリーズ(新潮文庫)。第41回同文学新人賞は今村翔吾氏の「八本目の槍(やり)」(新潮社)と呉勝浩氏の「スワン」(KADOKAWA)。

2020.2.22  作家の読書道 第215回:相沢沙呼さん

『medium 霊媒探偵城塚翡翠』が2019年末発表のミステリランキングで3冠を達成、今年は同作が2020年本屋大賞ノミネート、第41回吉川英治文学新人賞候補となり、さらに『小説の神様』(講談社タイガ)が映画化されるなど、話題を集める相沢沙呼さん。そんな相沢さんが高校生の時に読んで「自分も作家になりたい」と思った作品とは? 小説以外で影響を受けたものは? ペンネームの由来に至るまで、読書とその周辺をたっぷりおうかがいしました。

2020.2.19  【今週はこれを読め! エンタメ編】夢に向かって進む女子の物語〜柴田よしき『お勝手のあん』

ところは日本、ときは安政の世。だけど『お勝手のあん』は、まぎれもなく『赤毛のアン』の系譜につながる少女小説だった。時代の波に流されずに男女の別や身分の違いに抗って生きることに少しずつ目覚めていく主人公・やすの姿には、現代を生きる我々も勇気づけられる。

2020.2.10  【今週はこれを読め! ミステリー編】染み入るような警察小説『カタリーナ・コード』

染み入るような、という表現はこういう小説のために使うべきなのだろう。

2020.2.3  【今週はこれを読め! ミステリー編】日常が断絶し、不安が形をとる短編集〜ブッツァーティ『怪物』

世界が抱えている根源的な不安を形にするとディーノ・ブッツァーティの小説になる。

2020.1.29  【今週はこれを読め! エンタメ編】将棋盤を挟んだ少女と元棋士の対話〜尾﨑英子『竜になれ、馬になれ』

これを題材にした本(漫画、映画、などなど)はスルーできない、というポイントは人それぞれであろう。私の場合は、「駅伝」と「将棋」。シーズンがだいたい秋〜冬場と決まっている駅伝と違って、将棋は一年中何かしらのタイトル戦やその予選・決勝リーグ的なものが途切れることなく行われている。大一番というときでなくても常にトレーニングや鍛錬を続けているのは同じだろうし、駅伝のように時期が集中していれば楽だなどとは決して思っていないが、成績が上位のプロ棋士ほど年間を通していくつものリーグ戦を同時進行で戦わなければならないとなると将棋ってほんとに過酷な世界だなと圧倒される。

2020.1.25  【今週はこれを読め! ミステリー編】〈ミレニアム〉シリーズ、堂々完結!

『ミレニアム6 死すべき女』はダヴィド・ラーゲルクランツによる新〈ミレニアム〉三部作の最終章にあたる作品だ。ご存じのとおり〈ミレニアム〉三部作の著者はスウェーデン生まれの作家スティーグ・ラーソンだが、彼は作品を書き上げたあとの2004年に亡くなってしまった。2005年に刊行が始まると過去に例がないほどの売り上げを記録し、全世界で翻訳されてベストセラーとなった。ドイツなどの近隣諸国にまで影響を与え、文字通り北欧ミステリーを変えた里程標的作品となったのである。

2020.1.25  作家の読書道 第214回:凪良ゆうさん

引き離された男女のその後の時間を丁寧に描く『流浪の月』が大評判の凪良ゆうさん。もともとボーイズラブ小説で人気を博し、『神さまのビオトープ』で広い読者を獲得、新作『わたしの美しい庭』も好評と、いま一番勢いのある彼女ですが、幼い頃は漫画家志望だったのだとか。好きだった作品は、そして小説を書くようになった経緯とは。率直に語ってくださっています。

2020.1.21  【今週はこれを読め! SF編】波瀾万丈な人生のなかにの潜む"得体の知れぬ"裂け目

メキシコ出張中、急な雨を避けるために飛びこんだ古本屋。ほとんどはスペイン語の安手のペーパーバックだったが、棚の下のほうにハードカバーが何冊かある。私の目を引いたのは、とくに大判の一冊だ。英語のようだが、背文字は色褪せていてよくわからない。黴の匂いのするページを開くと、扉に『黒曜石雲』とあった。十九世紀の本のようだ。著者はRev. K. Macbaneとある。「Rev.」ということは牧師(reverend)か? 私がその本に運命的なものを感じたのは、副題に「エアシャー郡ダンケアン町の上空で起きた今も記録に残る奇怪なできごとの記述」とあったからだ。

2020.1.15  芥川賞に古川さん「背高泡立草」 直木賞に川越さん「熱源」

第162回芥川賞と直木賞の選考会が東京で開かれ、芥川賞は古川真人さんの「背高泡立草」、直木賞は川越宗一さんの「熱源」が、それぞれ選ばれました。

2020.1.14  【今週はこれを読め! SF編】ラヴクラフトを切歯扼腕させる十六篇

H・P・ラヴクラフトの系譜に連なるフィクションは、ひとつの文芸ジャンルを形成するほどである。ご本尊はその気はなかったのだろうけれど、彼の死後、オーガスト・ダーレスによって体系化された「クトゥルー神話」が、合い言葉さえ唱えればだれでも入会できる結社というか、わかりやすいアイテムに満ちた二次創作製造エンジンのようなもので、それが自走的に機能しているのだ。

2020.1.7  【今週はこれを読め! SF編】横たわるグリオール以前と、死んだグリオール以後

『竜のグリオールに絵を描いた男』につづく、シリーズ第二短篇集。この欄で前作を取りあげたおりにふれたが(http://www.webdoku.jp/newshz/maki/2018/09/11/173735.html)、麻痺状態で横たわりながらも成長をつづける超巨大竜グリオールをめぐる物語だ。グリオールは人間を操るとひとびとは信じている。しかし、実際に竜の意志がテレパシー的に働いているのか、それとも人間の心にある呪術信仰による誘導なのか、あるいは運命論的な見立てで事後に物語化されるのか、判然としない。そこから醸しだされる靄のような感覚がじつにみごとだ。定型的なファンタジイ設定にはおさまらない世界である。

2020.1.6  冬アニメ『魔術士オーフェンはぐれ旅』原作者・秋田禎信さん&オーフェン役・森久保祥太郎さんインタビュー|森久保さんが現場一番の若手から若手を引っ張る座長へ

1994年に小説連載が始まり、1998年にアニメ化、2019年には舞台化と、長年に渡ってたくさんのファンに愛され、様々な展開を見せてきた『魔術士オーフェンはぐれ旅』。

2020.1.4  69年のノーベル賞選考 井上靖氏 文学賞候補に

【ストックホルム=共同】一九六九年のノーベル文学賞選考で「天平の甍(いらか)」「敦煌(とんこう)」などで知られる作家の故井上靖氏(〇七~九一年)が候補者に推薦されていたことが分かった。選考主体のスウェーデン・アカデミーが共同通信の請求を受け、資料を開示した。井上氏が同賞候補となっていたことが公式資料で判明するのは初めて。

2019.12.28  作家の読書道 第213回:河﨑秋子さん

東北と北海道で馬と暮らす人々を描いた物語『颶風の王』で注目され、単行本第二作『肉弾』で大藪春彦賞を受賞、新作短編集『土に贖う』も高い評価を得ている河﨑秋子さん。北海道の酪農一家で育ち、羊飼いでもあった彼女は、どんな本を読み、いつ小説を書きはじめたのか。これまでのこと、これからのことを含め、たっぷりと語っていただきました。

2019.12.25  【今週はこれを読め! エンタメ編】子供たちに愛され続ける"あの人"の伝記『サンタクロース少年の冒険』

サンタクロースは存在する。この本を読めばわかる。「サンタクロースはいる」派vs.「いない」派の長年に渡る論争にようやく終止符が打たれたといえるのではないか。

2019.12.25  【今週はこれを読め! ミステリー編】仕掛けに満ちたミステリー『闇という名の娘』

ああ、こういうミステリーをしばらく読んでなかったな。

2019.12.24  【今週はこれを読め! SF編】寄稿者の持ち味が十二分に発揮されたオリジナル・アンソロジー

創元SF短編賞出身作家を中心に編まれたオリジナル・アンソロジー《Genesis》の第二巻。第一巻『一万年の午後』(http://www.webdoku.jp/newshz/maki/2019/01/08/144902.html)と同様、ホームグラウンドだけに、寄稿者それぞれが自分の持ち味をのびのびと発揮している。

2019.12.18  【今週はこれを読め! エンタメ編】音楽が聴こえてくるような短編集〜恩田陸『祝祭と予感』

優れた音楽小説であり、さらに直木賞と本屋大賞の両方を受賞した『蜜蜂と遠雷』の愛読者にはたまらないファンブック的な要素も持ち合わせているのが本書。私にとっても『蜜蜂と遠雷』はその年に読んだ本のベストだったので(確か朝井リョウさんも同じ趣旨のことを語ってらして、意を強くしたものです)、『祝祭と予感』は期待を胸に読み始めたのだが、もう涙ものだった。

2019.12.4  【今週はこれを読め! SF編】斬新なアイデアで展開される、決定論と自由意志をめぐる哲学的洞察

今年五月に原書刊行されたばかりのテッド・チャンの第二短編集。この早さでの邦訳は嬉しい。(12月4日発売)

2019.11.28  【今週はこれを読め! SF編】困難なミッションに挑む、量子魔術師と個性溢れるメンバーたち

舞台となるのは人類が宇宙へと広がり、複雑な人種的葛藤と利益対立の多国家文明を築いている遠未来。"魔術師"と異名をとる主人公ベリサリウス・アルホーナは、量子的感覚・思考を備えたホモ・クアントゥスのひとりだ。彼はその驚異的な能力をもっぱら詐欺に発揮している。詐欺といってもケチな違法行為ではなく、曲者や権力を相手取った知恵比べといった側面が強い。

2019.11.23  作家の読書道 第212回:呉勝浩さん

2015年に『道徳の時間』で江戸川乱歩賞を受賞、2018年には『白い衝動』で大藪春彦賞を受賞。そして新作『スワン』が話題となり、ますます注目度が高まる呉勝浩さん。小学生のうちにミステリーの面白さを知り、その後は映画の道を目指した青年が再び読書を始め、小説家を目指した経緯は? 気さくな口調を脳内で再現しながらお読みください。

2019.11.21  【今週はこれを読め! ミステリー編】スリル満点のリンカーン・ライムシリーズ最新作『カッティング・エッジ』

スリラー。文字通りスリルを掻き立てることを目的にした娯楽作品だ。

2019.11.20  【今週はこれを読め! エンタメ編】亭主関白な夫の成長物語〜坂井希久子『妻の終活』

夫と自分のどちらが先立つだろうかということについては、ときどき考える。私の知る身近な夫婦(実の両親や祖父母)は圧倒的に妻が残されるというパターンが多かったため、これまではなんとなく自分たちもそうなるのではという気がしていた。しかし、こればっかりはどうなるかわからないということを、この小説によって思い知らされた。

2019.11.19  【今週はこれを読め! SF編】遍歴のなかで次々と物語内人物に重なる、ロマンチックな異界往還譚

アメリカの怪奇幻想文学史を概観した資料を読むと、日本ではさほど知られていないものの、〈ウィアード・テールズ〉以前の時期に活躍した重要作家としてかならず言及されている人物がいることに気づく。ひとりはロバート・W・チェンバース、もうひとりがこのジェイムズ・ブランチ・キャベルだ。

2019.11.14  【特集】『エリスの聖杯』刊行記念特別企画 常磐くじら先生×大森藤ノ先生スペシャル対談インタビュー

2019年11月15日頃に発売されるGAノベル刊『エリスの聖杯』の刊行を記念して、著者である常磐くじら先生と、本作の熱烈なファンであり、書籍化のきっかけとなったGA文庫刊『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』の大森藤ノ先生をお招きしてのスペシャル対談インタビューをお届けする。『エリスの聖杯』が書籍化に至るまでの道のりと、大森藤ノ先生が激賞する物語やキャラクターについて、さらにはお二人の視点から見る「悪役令嬢やダークヒーローの魅力」など、幅広く語っていただいた。

2019.11.12  【今週はこれを読め! SF編】「宇宙」と「時間」、対になった二冊のテーマ・アンソロジー

二冊組みのアンソロジー。いっぽうは「宇宙」、もういっぽうが「時間」がテーマだ。作品を寄せているのは、創元SF短編賞からデビューした俊英たちである。

2019.10.31  ガチャがすべての痛快成り上がり伝『アキトはカードを引くようです』作者インタビュー

"スレ発ラノベ4"の第4弾として10月25日にMF文庫Jから発売される小説『アキトはカードを引くようです』の作者・川田両悟さんのメールインタビューをお届けします

2019.10.27  【今週はこれを読め! ミステリー編】最も読むべき翻訳ミステリー・アンソロジー『短編ミステリの二百年vol.1』

21世紀に入ってから、という限定付きではあるが、これは最も読むべき翻訳ミステリー・アンゾロジーになるであろう。

2019.10.26  作家の読書道 第211回:又吉直樹さん

お笑い芸人として活躍する一方で読書家としても知られ、発表した小説『火花』で芥川賞も受賞した又吉直樹さん。著作『第2図書係補佐』や新書『夜を乗り越える』でもその読書遍歴や愛読書について語っていますが、改めて幼少の頃からの読書の記憶を辿っていただくと、又吉さんならではの読み方や考察が見えてきて……。

2019.10.23  【今週はこれを読め! エンタメ編】家族それぞれの家の記憶〜青山七恵『私の家』

「魔法の言葉」と聞いて、みなさんはどういうものを思いつかれるだろう? 「ありがとう」や「信じれば夢は叶う」といった万人の心に訴えるものを思い浮かべる方もいれば、スピッツの名曲「魔法のコトバ」を口ずさむ方もいるだろう。あるいは「やればできる」という「魔法の合いことば」を思い出す高校野球ファンもいるのでは(ヒント:「済美高校 校歌」で検索なさってみてください)。しかし、私が考える「魔法の言葉」は、「よそはよそ、うちはうち」である。このひと言で、いったいどれほどの子どもたちの訴えが却下されてきたことだろうか。

2019.10.21  【今週はこれを読め! ミステリー編】確かな足元が崩れ落ちるリンドクヴィスト『ボーダー 二つの世界』

足元に確かにあったはずの地面がふっと消失し、無限の落下が始まる。

2019.10.18  【特集】『弱キャラ友崎くん』×『千歳くんはラムネ瓶のなか』最新刊同時発売記念 屋久ユウキ×裕夢 青春ラブコメ対談インタビュー

2019年10月18日に『弱キャラ友崎くん』第8巻、『千歳くんはラムネ瓶のなか』第2巻が同時発売となった。このたび2作品の最新刊発売を記念して、両作品の著者である屋久ユウキ先生と裕夢先生をお招きし、青春ラブコメ対談インタビューとしてお話をお聞きした。両作品は小学館ライトノベル大賞にて「優秀賞」を受賞すると共に、キャラクターや物語において「リア充」という存在も欠かせない共通点として有している。お互いの印象から各作品のキャラクターに込められた想い、地元を物語の舞台にした理由など幅広く語っていただいた。

2019.10.10  ポーランドとオーストリアの作家に=ノーベル文学賞、昨年分も-日本人への授賞なし

【ロンドン時事】スウェーデン・アカデミーは10日、2018年のノーベル文学賞をポーランドの女性作家オルガ・トカルチュクさん(57)に、19年の同賞をオーストリアの男性作家ペーター・ハントケ氏(76)にそれぞれ授与すると発表した。期待された村上春樹氏(70)ら日本人作家への授賞は今年もなかった。

2019.10.9  【今週はこれを読め! エンタメ編】読まずにいられない小説〜遠田潤子『廃墟の白墨』

遠田潤子の小説を好きか、と聞かれたらなんと答えればよいのか迷う。手放しで共感できる登場人物も少ないし、描かれる状況も積極的に身を置きたくないシチュエーションがほとんどだ。だから、私にとって遠田作品は好き嫌いとは異なる次元にある。読まずにいられないから読むものなのである。

2019.10.7  【今週はこれを読め! ミステリー編】失われた人生のシークエンスを探す冒険行『戦下の淡き光』

こんなことが本当に起こりえたのかという人生の瞬間についての小説だ。

2019.9.28  作家の読書道 第210回:町屋良平さん

今年1月、ボクサーが主人公の『1R1分34秒』で芥川賞を受賞した町屋良平さん。少年時代から「自分は何か書くんじゃないか」と思っていたものの、実は、10代の頃はなかなか本の世界に入り込むことができなかったのだとか。そんな彼が、読書を楽しめるようになった経緯とは? スマホで執筆するなど独特の執筆スタイルにも意外な理由がありました。

2019.9.27  【今週はこれを読め! ミステリー編】著者自身がワトソン役の謎解き小説『メインテーマは殺人』

一口で言うなら信頼関係がないホームズとワトスンなのである。

2019.9.26  【今週はこれを読め! エンタメ編】凪良ゆう『流浪の月』に打ちのめされる!

ただひたすらに打ちのめされる。こんな読書体験は久しぶりだった。どんな本にもおもしろみを見出すことができる得な性分なので(だからこのような文章を書いているともいえるが)、一冊読み終えるたびによかったと思える。しかし、読了後もいつまでも棘のように心に残る作品とは、そうそう出会えるものではない。『流浪の月』は、これからも折に触れて私の感情を揺さぶる小説であり続けるだろうと予感した一冊だった。

2019.9.24  【今週はこれを読め! SF編】第三種接近遭遇テーマの王道。怒濤のサプライズ・エンディングに仰天。

トー・ブックス(TOR Books)といえば、アメリカのSF&ファンタジイ界にあって1980年代より数々の話題作を送りだしてきた大手出版社。そのトーがボッドキャスト・ドラマのレーベルTOR LABSを立ちあげ、最初にリリースしたのがマック・ロジャーズ制作のSteal the Starsだった。これをナット・キャシディがノベライズしたのが、本書『物体E』(原題はポッドキャスト版と同じくSteal the Stars)である。

2019.9.21  【今週はこれを読め! ミステリー編】何が起こるかわからない『11月に去りし者』

小説は思いがけないことが起こるからおもしろい。

2019.9.18  【今週はこれを読め! エンタメ編】兄弟姉妹と花言葉の短編集〜古内一絵『アネモネの姉妹 リコリスの兄弟』

本書の帯には「兄弟姉妹に一度でも仄暗い感情を抱いたことのあるあなたへ」とある。兄弟姉妹がいれば、「仄暗い」とまでいかないにしても一度たりとも衝突したことがないとは考えにくいし、逆にそうやって互いに成長していけるのが醍醐味ともいえる。ひとりっ子にはひとりっ子のよさがあるだろうし、世間でよく言われるように「きょうだいがいないとかわいそう」といったもの言いには意味がないと思うけれども、それでも兄弟姉妹がいなければ経験できない喜びあるいはつらさというものは確実に存在する。

2019.9.17  【今週はこれを読め! SF編】SFというジャンルを問い直しつづけた年刊傑作選の、これが最終巻。

2008年刊行の『虚構機関』から12巻を数えた《年刊日本SF傑作選》もこれが最終巻。前年に発表された作品のなかから(しかも掲載媒体を問わず)、優れたSFを選びぬくという途轍もない労力をたゆまずにつづけてきた編者のおふたりには、感謝の気持ちしかない。このアンソロジーのおかげで現代日本SFの見通しがぐんと良くなった。傑作の紹介だけにとどまらず、SFというジャンルを問い直す契機を与えてくれた。

2019.9.15  【今週はこれを読め! ミステリー編】移民問題に直面するインドリダソン『厳寒の町』

憎悪は液体と同じで、一定量を超えれば溢れるのを止めることはできない。

2019.9.11  【今週はこれを読め! エンタメ編】心を揺さぶる至言の宝庫〜ジュンパ・ラヒリ『わたしのいるところ』

複数の人間が万事においてまったく同じ考え方や感じ方をすることはあり得ない。他者に対して大多数の人間は、「だいたい同じような考え方をするけど、こういう点については違う」か「ほとんど似たところはないけど、こういう面は共感できる」か「似通った部分もあれば、そうでない部分もある」かのいずれかの気持ちを持つものではないだろうか(「全否定」に当てはまる他者というのはそう多くない、はず)。

2019.9.10  【今週はこれを読め! SF編】きらめく青春小説にして、時間と現実と創作とをめぐる問い直し

サンライズ製作のSFアニメ『ゼーガペイン』のスピンオフ小説。ヒロインの守凪了子(カミナギリョーコ)、彼女の幼なじみ十凍京(ソゴルキョウ)は共通だが、小説版オリジナルの主要キャラクターも多く登場し、背景となる設定もいっそう深く練られている。

2019.9.6  【今週はこれを読め! ミステリー編】夏の終わりに読みたい二つの中編『エレベーター』『わが母なるロージー』

暑さ寒さも彼岸までと言う。まだ夏が終わらないうちに、この本を読んでしまおう。

2019.9.4  『異世界チート魔術師』原作者・内田健先生インタビュー|「楽しい」からこそ、ここまで書き続けられた

小説投稿サイト『小説家になろう』(以下、なろう)で連載中、ヒーロー文庫より書籍版が刊行中の内田健先生によるライトノベル『異世界チート魔術師』。

2019.9.4  【今週はこれを読め! エンタメ編】繊細で骨太な『掃除婦のための手引き書』がかっこいい!

酒に溺れる日々。家族からの虐待。家庭の経済状況の極端な浮き沈み。私にとってはこれまでの人生で縁のないものだ。なのになぜ、ルシア・ベルリンの描く痛みが自分と近しいもののように感じてしまうのだろうか。

2019.9.4  池内紀さんが死去 独文学者

フランツ・カフカ作品などの翻訳で知られ、エッセイストとしても活躍したドイツ文学者の池内紀(いけうち・おさむ)さんが8月30日、死去した。78歳だった。

2019.8.30  独占インタビュー「ラノベの素」 タンバ先生『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い』

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2019年9月1日にスニーカー文庫より『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い』が発売されるタンバ先生です。帝位争いが激化する帝国内において、出涸らし皇子とバカにされる一人の皇子が、双子の弟を帝位につかせるために暗躍を始めるファンタジーシリーズ。作品の裏側や内容についてはもちろん、2つの顔を有する主人公の暗躍の魅力、そして本作の見どころについてお聞きしました。

2019.8.28  【今週はこれを読め! エンタメ編】50代女性が思い出す子供の頃のこと〜岸政彦『図書室』

違う分野から「どこまでできるか挑戦したくてやってみました」的な感じで進出してくる人より、"苦節○十年"と地道にやってきた人の方を応援したくなる傾向は、確実に自分の中に存在している。具体的に言うと、"霜降り明星がM-1でチャンピオンになったときには素直に祝福できたが、粗品さんがR-1でも優勝をさらったことに対しては若干複雑な気持ちがないでもない"という状態だ。「ピンでやってる芸人さんが評価されるともっとよかったかも...」という感じ。しかし、確かにR-1においても粗品さんはおもしろく、なんなら決勝進出者の他の2名もコンビ芸人の片割れだったのだ。

2019.8.24  作家の読書道 第209回:吉川トリコさん

2004年に「ねむりひめ」で第3回「女による女のためのR-18文学賞」で大賞と読者賞を受賞した吉川トリコさん。以来、映像化された『グッモーエビアン!』や、あの歴史上の女性の本音を軽快な語り口で綴る『マリー・アントワネットの日記』、そして新作『女優の娘』など、女性、少女を主なモチーフにさまざまな小説を発表。その作風に繋がる読書遍歴を語ってくださいました。

2019.8.20  【今週はこれを読め! SF編】自由意志をめぐる鋭角的な思考実験を、青春小説のスタイルで語りきる

粒ぞろいの短篇集。収録作六篇がどれも年間ベスト級の傑作である。事実、「なめらかな世界と、その敵」「ゼロ年代の臨界点」「美亜羽へ贈る拳銃」「ホーリーアイアンメイデン」の四篇は、創元SF文庫の年刊日本SF傑作選(大森望・日下三蔵編)に採られている。あとの二篇は、ポストサイバーパンクの異色作「シンギュラリティ・ソヴィエト」と、書き下ろしの「ひかりより速く、ゆるやかに」。

2019.8.19  【今週はこれを読め! ミステリー編】不安に満ちたサスペンス『ケイトが恐れるすべて』

初めての街で暮らすとき、誰もが現実感を少し失う。

2019.8.13  【今週はこれを読め! SF編】これこそ現代のスペースオペラ!

脳が溶けるほど暑いので、気軽に読める作品でいきましょう。ちょっと前の刊行だけど、肩の凝らない現代スペースオペラ。ぼくはアイスキャンデーを囓りながら読んだ。

2019.8.9  【今週はこれを読め! ミステリー編】『イヴリン嬢は七回殺される』に引き込まれる!

アドヴェンチャー・ゲームが好きな人は絶対にはまる。

2019.8.7  【今週はこれを読め! エンタメ編】音楽に打ち込む若者たちの青春ミステリー『下北沢インディーズ』

バンドというものに多大なる憧れがあるのは、志を同じくする者同士が音楽をやりたいという情熱に駆られて集うものに違いないというイメージがあるからかもしれない(実際には「暇だな〜バンドでもやる?」「やってみっか」的なノリの場合もあるのだろうか。それはそれでまたよし)。個人的な萌えポイントは、幼い頃からの友だち同士がバンドを組むケース。早ければ早いほどいい。flumpool(幼稚園から)やUVERworld(保育園から)などは涙が出るほどありがたい。先日も、バナナラマのサラとカレンが4歳からの幼なじみと知って狂喜乱舞したばかりだ。

2019.7.27  作家の読書道 第208回:葉真中顕さん

日本ミステリー大賞を受賞したデビュー作『ロスト・ケア』でいきなり注目を浴び、今年は『凍てつく太陽』で大藪春彦賞と日本推理作家協会賞を受賞した葉真中顕さん。社会派と呼ばれる作品を中心に幅広く執筆、読書遍歴を聞けば、その作風がどのように形成されてきたかがよく分かります。デビュー前のブログ執筆や児童文学を発表した経緯のお話も。必読です。

2019.7.26  【今週はこれを読め! ミステリー編】英統治下インドでもがく警部と部下『カルカッタの殺人』

解けない謎があることのもどかしさを楽しさに変換してくれる警察小説だ。

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