トップページ > 最新小説ニュース > かずに関連する小説ニュースまとめ

かずに関連する小説ニュースまとめ

キーワード"かず"に関連する小説ニュースの検索結果まとめです。一度の検索結果は200件までとなります。スペース区切りで複合検索も可能です。
更新情報をTwitterでつぶやいていますので、よければフォローくださいませ。
 

かず ニュース検索結果

2021.7.26  作家の読書道 第231回:佐藤究さん

今年『テスカトリポカ』が山本周五郎賞と直木賞を受賞、注目を集める佐藤究さん。幼い頃はプロレスラーになりたかった福岡の少年が、なぜ本を読み始め、なぜ小説を書き始め、なぜ群像新人文学賞受賞後に江戸川乱歩賞で再デビューしたのか。そしてなぜ資本主義について考え続けているのか。直木賞発表前の6月、リモートでおうかがいしました。

2021.7.22  【今週はこれを読め! ミステリー編】ヴァランダー・シリーズ最後の書『手/ヴァランダーの世界』

――これはクルト・ヴァランダー・シリーズ最後の出版物である。このシリーズはこの本をもって終了する。

2021.7.21  【今週はこれを読め! エンタメ編】失恋の真相を解き明かす〜大石大『いつものBarで、失恋の謎解きを』

社会学とエンタメの融合という独特の境地を切り拓きつつある新鋭・大石大の長編第2作。本書では、主人公・大谷綾の過去の失恋の真相を解き明かしていく安楽椅子探偵ミステリー的な趣向が、最大の読みどころといえよう。

2021.6.25  【今週はこれを読め! ミステリー編】ユダヤ人古書店主の決死の犯罪捜査『狼たちの城』

この設定で話がつまらなくなるはずがないだろう。

2021.6.10  【今週はこれを読め! ミステリー編】ブロック編のアート・アンソロジー『短編回廊』

美しき罠、あるいは牢獄の展覧会と言うべきか。

2021.6.9  【今週はこれを読め! エンタメ編】緊急事態宣言下の1日1編『Day to Day』

昨年緊急事態宣言が出たとき、いままでに経験したことのない状況に対しての不安や緊張感があった。非日常な空気に押しつぶされそうになり「本を読む気になれなくなった」という声をあげる方々も、かなりの数いらしたと記憶している。幸い私は文学作品に頼って過ごしており、昨年の春は1日1編の短い小説やエッセイに元気づけられる日々でもあった。リアルタイムで読んだ方も読めなかった方も、この機会にぜひ手に取られることをおすすめする。あの心細かった毎日をなんとかして乗り切ろうとしていた自分たちの必死さが、少しでも報われるような気がするから。

2021.6.5  朔太郎がスペイン風邪!? 感染知らせる 直筆書簡見つかる 前橋文学館で近く公開

前橋市出身の詩人萩原朔太郎(1886〜1942年)が、約100年前に世界的に大流行した「スペイン風邪」に感染していたとみられる内容を記した直筆書簡が見つかった。

2021.5.28  作家の読書道 第229回:蛭田亜紗子さん

2008年に第7回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞を受賞、10年に『自縄自縛の私』(受賞作「自縄自縛の二乗」を改題)を刊行してデビューした蛭田亜紗子さん。現代人の日常を描く一方で、『凜』では大正期、開拓時代の北海道を舞台に過酷な環境を生きる男女を描き、最新作『共謀小説家』では明治期に小説執筆にのめりこんだある夫婦の話を描くなど、幅広い作風で活躍中。では蛭田さんが親しんできた作品とは? リモートでたっぷりおうかがいしました。

2021.5.26  【今週はこれを読め! エンタメ編】おもちさん83歳の日々〜朝倉かすみ『にぎやかな落日』

私があと30年生き長らえることができれば、主人公のおもちさんと同年代になる。

2021.5.12  【今週はこれを読め! エンタメ編】お針子少女の成長物語〜ビアンカ・ピッツォルノ『ミシンの見る夢』

『ミシンの見る夢』は、イタリアの児童文学の第一人者であるビアンカ・ピッツォルノによる一般小説。

2021.5.6  【今週はこれを読め! ミステリー編】7つの作中作が登場する曲者小説『第八の探偵』

何をしてくるかわからない曲者はミステリーの世界では大歓迎なのだ。

2021.4.22  【今週はこれを読め! エンタメ編】成長していく少年の物語〜トレント・ダルトン『少年は世界をのみこむ』

本書の帯には「2019年オーストラリアで一番売れた小説」とあるが、そこから考えられるのはオーストラリア国民は相当に骨のある人々だということだ。

2021.4.7  【今週はこれを読め! エンタメ編】過去から続く因縁と秘密〜遠田潤子『紅蓮の雪』

つらくなるのはわかっているのに手に取ってしまう、それが遠田潤子の小説だ。本書は、主人公・伊吹の双子の姉である朱里の葬儀のシーンから幕を開ける。朱里は「伊吹、ごめん」とだけ書かれた書き置きを残して、町外れにある城の石垣から飛び降りたのだった。伊豆の老舗旅館の跡取り息子である大学の先輩との婚約も整い、幸せそうに見えたのに。両親からの愛情を与えられずに育った姉弟として、お互いを一生守ると約束したのに。

2021.4.6  【今週はこれを読め! SF編】全銀河に反逆した種族「人類」、その最後の生き残りが主人公

ザック・ジョーダン『最終人類』(ハヤカワ文庫SF)

2021.3.23  装丁家の平野甲賀さん死去 「深夜特急」の題字手がける

平野 甲賀さん(ひらの・こうが=装丁家)22日、肺炎で死去、82歳。葬儀は親族で行った。喪主は妻公子(きみこ)さん。

2021.3.23  【今週はこれを読め! SF編】超スケールの宇宙SFから、歴史認識を扱った議論喚起的な作品まで

ケン・リュウ『宇宙の春』(早川書房《新☆ハヤカワ・SFシリーズ》)

2021.3.17  【今週はこれを読め! エンタメ編】重厚かつトリッキーな丸山正樹『ワンダフル・ライフ』

今回ご紹介する本は、【エンタメ編】という枠で取り上げるには少々ハードな内容かもしれない。気難しい障害者の妻と介護に疲れた夫の息が詰まるような生活ぶりを、読者は冒頭からさっそく読むことになる。

2021.3.16  【今週はこれを読め! SF編】甲冑から高度AIまで、さまざまなパワードスーツのアンソロジー

J・J・アダムズ編『この地獄の片隅に パワードスーツSF傑作選』(創元SF文庫)

2021.2.27  作家の読書道 第226回:酉島伝法さん

2011年に「皆勤の徒」で第2回創元SF短編賞を受賞、造語を駆使した文章と自筆のイラストで作り上げた異形の世界観で読者を圧倒した酉島伝法さん。2013年に作品集『皆勤の徒』、2019年に第一長編『宿借りの星』で日本SF大賞を受賞した酉島さんは、もともとイラストレーター&デザイナー。幼い頃からの読書生活、そして小説を書き始めたきっかけとは? リモートでお話をおうかがいしました。

2021.2.24  【今週はこれを読め! エンタメ編】かけがえのない日常を描く短編集〜奥田英朗『コロナと潜水服』

奥田英朗さんの小説を読むとたいてい心に浮かんでくるのは、「身につまされる」という言葉だ。奥田作品と一口にいっても読み心地は幅広くて、『最悪』(講談社文庫)のようなエッジの効いたものももちろんすごいのだが、個人的には『家日和』(集英社文庫)などのそんなに大きな事件は起こらないけれどもかけがえのない日常が描かれた小説が好きだ。そして、『コロナと潜水服』もそういった作品5編が集められた短編集である。

2021.2.19  【今週はこれを読め! ミステリー編】フィルム・ノワールのような警察小説『刑事失格』

一言で表すなら、フィルム・ノワールの気配をまとった警察小説である。

2021.2.17  【今週はこれを読め! SF編】夏への扉はなくても、猫がいればあたたかい

芝村裕吏『統計外事態』(ハヤカワ文庫JA)

2021.2.3  【今週はこれを読め! エンタメ編】新幹線の開発に込められた思い〜まはら三桃『零から0へ』

かつて日本は戦争をしていた。そのために命を落としたのは老若男女問わずであったが、中でも多くの若い人々が主戦力として戦地に送られた。数え切れないほどの若者たちが落命し、未来を断たれた。人々の暮らしをよりよくするはずの技術の進歩は、戦没者の数を増やす要因にもなり得た。戦争は、残された家族のみならず、戦闘機の設計などを手がけた技術者たちの心にも深い傷を負わせた。

2021.1.28  【今週はこれを読め! ミステリー編】ウイルス蔓延下、封鎖都市の殺人事件『ロックダウン』

ウイルス蔓延下、厳戒態勢の都市で刑事はどう動くのか。

2021.1.27  【今週はこれを読め! エンタメ編】女子高生バンド3人組の20年後の物語〜角田光代『銀の夜』

本書における主要人物は3人の女性。彼女たちが出会ったのは、幼稚園から短大までの一貫教育の女子校。ちづるは小学校から、麻友美は中学校から入学し、伊都子は中2のときの転入組だった。中3で同じクラスになった3人は、アマチュアバンドコンテストに出場する。急ごしらえのバンドの実力は圧倒的に不足していたものの、丈を短くした制服のスカートで歌う最年少出場者として注目された。タレント事務所から声がかかり、彼女たちのバンド「ひなぎく」は「ディズィ」としてデビューすることに。

2021.1.26  【今週はこれを読め! SF編】陰に隠れた幻想小説の水脈の発見

橋本勝雄編『19世紀イタリア怪奇幻想短篇集』(光文社古典新訳文庫)

2021.1.23  作家の読書道 第225回:町田そのこさん

2020年に刊行した『52ヘルツのクジラたち』が未来屋小説大賞、ブランチBOOK大賞を受賞するなど話題を集めている町田そのこさん。少女時代から小説家に憧れ、大人になってから新人賞の投稿をはじめた背景には、一人の作家への熱い思いが。その作家、氷室冴子さんや、読書遍歴についてお話をうかがっています。

2021.1.11  【今週はこれを読め! SF編】特殊な閉鎖環境のなか、「剃刀の刃のように細い線」をたどる叛乱

ピーター・ワッツ『6600万年の革命』(創元SF文庫)

2021.1.5  【今週はこれを読め! SF編】多様な傾向を集めつつ、懐かしい印象すら受ける間口の広いアンソロジー

もっとも新しい十年紀のSF傑作選。思わず身がまえてしまうが、心配はご無用。収録されている作家の人種・経歴・セクシャリティは多様で、作品の傾向もバラエティに富んでいるものの、飛びぬけて先鋭的な表現・主題・論理はほとんどない。ある程度SFに馴染んでいる読者にとっては、むしろ懐かしい印象すら受けるくらいだ。

2021.1.1  第55回北日本文学賞受賞者インタビュー

宮本輝氏選「第55回北日本文学賞」(副賞100万円)は、大阪市の大学院生、谷町蛞蝓(なめくじ)さん(32)の「きぼう」に決まった。

2020.12.26  作家の読書道 第224回:伊与原新さん

2019年に『月まで三キロ』で新田次郎文学賞、静岡書店大賞、未来屋小説大賞を受賞した伊与原新さん。地球惑星科学を専攻して研究者になった伊与原さんが読んできた本とは、ある日小説を書きはじめたきっかけとは。エンタメから分かりやすい理系の本まで、幅広い読書遍歴を語ってくださいました。

2020.12.9  【今週はこれを読め! エンタメ編】それぞれ味わいの異なるイヤミス短編集〜芦沢央『汚れた手をそこで拭かない』

ちょっと、みなさんご存じかしら? 独立短編集ってなかなか売れないんですって。

2020.12.2  【今週はこれを読め! エンタメ編】令和、江戸、平安を生きるヒロインの恋〜川上弘美『三度目の恋』

男女間の心の機微がよくわからない人間としては、恋愛というものをメインに据えた小説というものはほとんど求めていないのだった。それでもたまに「読んでみようかな」と心が動くとしたら、少々変化球なものに対して。川上弘美さんの作品は、私が手放しで読書欲をかき立てられる数少ない恋愛小説だ。男女の触れ合いを端正に描いた恋愛ものであることは間違いないのだけれど、川上作品には読む者の想像を超えるひねりのようなものがあると思うから。

2020.11.28  作家の読書道 第223回:中山七里さん

今年作家デビュー10周年を迎えた中山七里さん。話題作を次々と世に送り出すエンターテインナーの読書遍歴とは? 大変な読書量のその一部をご紹介するとともに、10代の頃に創作を始めたもののその後20年間書かなかった理由やデビューの経緯などのお話も。とにかく、その記憶力の良さと生活&執筆スタイルにも驚かされます。

2020.11.25  作家・小林泰三先生ご逝去のお知らせ (2020/11/25)

2020年11月23日(月)、SF、ホラーからミステリまで幅広く活躍された作家の小林泰三氏(58歳)が大阪府内の病院で逝去されました。

2020.11.11  【今週はこれを読め! エンタメ編】ぐっちゃぐちゃなところがいい!〜中島たい子『かきあげ家族』

この本、映画好きのみなさんはお読みになった方がいいです。次々にいろんな映画のタイトルや俳優・監督の名前が出てきて、しかもそれらが絶妙な使われ方をしてるんですよ。例えば、「若くはない引きこもりの息子を久しぶりに観て、八郎は自分は『2001年宇宙の旅』のボーマン船長のように、ワンシーンで一気に老け込んだ気持ちになるのだった」といった感じで。

2020.11.3  【今週はこれを読め! SF編】怪奇小説の伝統に棹さす、みごとな表現の四作品

作者クックはイギリスの作家。ミステリおよび怪奇小説・映画の研究家でもあり、関連の学術著作がある。フィクションは、2017年に出版された本書が最初の単行本だ。四つの作品を収録する短篇集で、表題作「図書室の怪」が原稿用紙換算で300枚を超える中篇、のこり三篇は30~70枚弱の短篇という構成である。

2020.10.27  【今週はこれを読め! SF編】アルゴリズムの支配を逃れ、なお生き延びるすべ

2068年、グーグル(をはじめとするデジタルの覇者である巨大企業)が世界を掌握していた。日常に浸透したネットワークにより、市民のあらゆる情報は集積され、徹底した――しかし体感的にはマイルドな――常時監視社会が完成している。私たちの行為や嗜好はすべてグーグルに筒抜けだ。それが「透明性」というタイトルの意味だ。

2020.10.24  作家の読書道 第222回:武田綾乃さん

学生時代に作家デビュー、第2作「響け!ユーフォニアム」がいきなりアニメ化され人気シリーズとなった武田綾乃さん。さまざまな青春を時にキラキラと、時にヒリヒリと描く武田さんはどんな本を読み、どんな思いを抱いてきたのか。お話は読書についてだけでなく、好きなお笑い芸人や映像作品にまで広がって…。意外性に満ちたインタビューをお楽しみください!

2020.10.21  【今週はこれを読め! エンタメ編】「ただ一つ存在に価するもの」を描くグランベール『神さまの貨物』

列車は人や動物や荷物を乗せて走る。本来は人のさまざまな気持ちをも運ぶ乗り物だと思う。しかし、その列車に存在したのは絶望のみのはずだった。父親によって投げ落とされた赤ん坊が希望そのものとなるまでは。

2020.10.20  【今週はこれを読め! SF編】稀覯書や古文書をめぐる怪奇譚、黴の匂いと書架の陰翳

著者マンビーは1913年にロンドンで生まれ、ケンブリッジ大学卒業後、古書店やオークションカンパニー勤務を経て陸軍に編入、フランス戦線で捕虜になり、収容所で怪奇小説を書きはじめた経歴の持ち主。職業作家ではなく、趣味で創作に手を染めたわけだ。作品数は少なく、49年刊行の本書に収録された14篇がすべてのようだ。その後は、書誌学者として業績を重ねた。

2020.10.15  独占インタビュー「ラノベの素」 大森藤ノ先生『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2020年10月15日にGA文庫より『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』第16巻が発売された大森藤ノ先生です。TVアニメ第3期も10月より放送開始となる中、原作小説は新たな展開を迎える新章に突入します。2013年の『ダンまち』シリーズ刊行から約7年。過去から現在までを振り返り、作品との向き合い方や物語の立ち位置、そして本編から紐解くベル・クラネルをはじめとしたキャラクター達の成長に関するお話など、様々にお話をお聞きしました。ファン必見の『ダンまち』の今を語ります!

2020.9.23  【今週はこれを読め! SF編】オリジナル・アンソロジー・シリーズの三冊目。七篇を収録。

オリジナル・アンソロジー・シリーズの三冊目。七篇を収録。

2020.9.16  大人気ライトノベル「弱キャラ友崎くん」2021年1月テレビアニメ放送開始決定!キービジュアル公開&公式サイトリニューアル

「この人生(ゲーム)のルールを教えてあげる」弱キャラが挑む人生攻略論ただし美少女指南つき!

2020.9.15  【今週はこれを読め! SF編】異質な敵の全容、失われた文明の謎、そして秘匿された人類史

林譲治による本格ハードSFシリーズがついに完結した。

2020.9.9  【今週はこれを読め! エンタメ編】誰もが輝くバスケ小説〜藤岡陽子『跳べ、暁!』

バスケットボールって、ほんとうにハードなスポーツだというイメージがある。ほぼずーっと走りっぱなし、手も足も使う、ジャンプ力も要求される。未経験者からすると、こんなにいっぺんにいろんなことをしなければならないのが信じられない。しかも、チームワークまでが重要になってくるのだ。

2020.8.26  【今週はこれを読め! エンタメ編】おいしいものが励ましてくれる物語〜冬森灯『縁結びカツサンド』

カツはおいしい。関東出身であることも関係するのか、個人的にはやはりカツは豚肉というイメージがある。村上春樹さんが"関西ではカツといえば牛肉"といった趣旨のエッセイを書いておられて、長らくビーフカツを食べることを熱望していたのだが(そして、実際に食べてみてとてもおいしかったのだが)、トンカツの方が汎用性があることには多くの方が賛成してくださるのではないだろうか(卵でとじる一般的なカツ丼などは、豚で作る方が合う気がするし)。そこでカツサンド。ビーフカツのサンドウィッチももちろん美味だけれど、本書で登場するのは豚肉を使ったものものだ。夏の青空に規則正しく並んだ縞模様の雲を見て、スペアリブを連想してみるのも楽しいと思う(本文ご参照のこと)。

2020.8.25  【今週はこれを読め! SF編】美をめぐる真正と倫理を、SFの設定とミステリの構成で描く

地球の衛星軌道上に建造された博物館天体〈アフロディーテ〉を舞台とするシリーズ三巻目。絵画・工芸・音楽・舞台・文芸・動物・植物などありとあらゆる美が網羅され、データベースに頭脳を直結させた学芸員が活躍している。

2020.8.19  【今週はこれを読め! エンタメ編】戦下でポン菓子製造機を作った人〜歌川たいじ『バケモンの涙』

主人公の橘トシ子は19歳。実家は大阪の郊外にある旧家(蔵が4つもある)で、トシ子は「いとはん」(=大店の長女)と呼ばれて育った。

2020.8.18  【今週はこれを読め! SF編】14歳の少女にして宇宙船、戦争と人命救助のスペース・オペラ

2018年度英国SF協会賞受賞作。複数の語り手が入れ替わりながら、銀河規模での歴史的事件が語られる。邦題の「ウォーシップ・ガール」とは、その語り手のひとり、宇宙船のAI〈トラブル・ドッグ〉のことだ。このAIのベースは人間と犬に由来し、バーチャル保育環境下で意識が構築された。元々は軍用だったが、戦争中に知的存在の殲滅にかかわったことで、すっかり嫌気がさして退役。現在は、人命救助団体「再生の家」に参加している。

2020.8.11  【今週はこれを読め! SF編】新たな壮途へ乗りだした年刊日本SF傑作選

創元SF文庫で十二年つづいた《年刊日本SF傑作選》を後継するアンソロジー・シリーズ。版元を移した経緯や、編者が大森望・日下三蔵のタッグチームから大森ソロへ変わったことなど「序」で語られているが、支障なく友好的に運んだようだ。まずは欣快。

2020.8.4  【今週はこれを読め! SF編】埋もれた名作を発掘・再評価する意欲的アンソロジー

昨夏に刊行された短篇集『なめらかな世界と、その敵』(本欄でも紹介)によって、一躍、現代日本SFの最先鋭へと躍りでた伴名練。小説家のみならず、「読み手」としても飛びぬけた資質の持ち主だ。それを遺憾なく証明したのが、この二冊組のアンソロジーである。

2020.7.28  【今週はこれを読め! SF編】歴史改変戦争。時間の家父長制をいかにくつがえすか。

ジャック・ウィリアムスン『航時軍団』以来、あるべき未来を賭して、排反的なふたつの勢力が抗争する展開のSFはいくつも書かれてきた。もっとも有名なのは、フリッツ・ライバー《改変戦争(チェンジ・ウォー)》シリーズだろう。長篇『ビッグ・タイム』といくつかの短篇が邦訳されている。

2020.7.27  角川スニーカー文庫『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』TVアニメ化決定! 監督は上北学氏、制作はproject No.9が担当

「このライトノベルがすごい!2019」文庫部門ランキング4位受賞の大人気ライトノベル作品『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』(著:しめさば)。このたび、同作のがTVアニメ化決定となりました!

2020.7.25  作家の読書道 第219回:今村翔吾さん

2017年に『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』を刊行してデビュー、翌年『童神』(刊行時に『童の神』と改題)が角川春樹小説賞を受賞し、それが山田風太郎賞や直木賞の候補になり、そして2020年は『八本目の槍』で吉川英治文学新人賞を受賞と、快進撃を続ける今村翔吾さん。新たな時代小説の書き手として注目される今村さんは、いつ時代小説に魅せられ、何を読んできたのか? 軽快な語り口調でたっぷり語ってくださいました。

2020.7.15  【今週はこれを読め! エンタメ編】"意外性の作家"の短篇集〜津村記久子『サキの忘れ物』

津村記久子さんって思っていたのとはちょっとイメージの違う作家かもしれない、と思ったのは「フェリシティの面接」という短編を読んだときだ。アガサ・クリスティが生んだ名探偵エルキュール・ポアロの秘書であるミス・レモンが活躍する軽妙な作品で、『名探偵登場!』(筒井康隆他/講談社文庫)というアンソロジーに収録されている。津村作品といえば"職業小説(往々にしてパワハラあり)"という印象が強かったのだが、こんなミステリー絡みのしゃれた作品を書かれるとは思っていなかった(職業小説ではある)。「フェリシティの面接」は、読書好きの方でもあまりご存じでないような気がするので(Wikipediaの津村さんのページにも載っていなかった)、ぜひこちらもお手にとっていただけたら。

2020.7.15  芥川賞に高山羽根子さんと遠野遥さん 直木賞に馳星周さん

第163回芥川賞と直木賞の選考会が15日開かれ、芥川賞は高山羽根子さんの「首里の馬」と遠野遥さんの「破局」の2つの作品が選ばれました。また、直木賞は馳星周さんの「少年と犬」が選ばれました。

2020.7.14  【今週はこれを読め! SF編】ケン・リュウ選とは味わいの違う、新しい中華圏SFアンソロジー

鳴り物入りで邦訳された劉慈欣『三体』をはじめ、日本でも中華圏SFの活況が紹介されはじめている。中華圏と日本に両国のSF界の架け橋として大活躍しているのが、本書の編者、立原透耶さんである。

2020.7.1  【今週はこれを読め! エンタメ編】"エンターテインメント小説界の至宝"の家族小説〜遠田潤子『銀花の蔵』

「エンターテインメント小説界の至宝」は、私が独断で作家・遠田潤子のキャッチコピーとして使用しているフレーズである(遠田作品のレビューではこれからもどんどん使っていこうと思ってます)。

2020.6.27  作家の読書道 第218回:藤野可織さん

不穏な世界を時に美しい言葉で、時に奇想を炸裂させた設定で描き出す藤野可織さん。2013年には『爪と目』で芥川賞を受賞、最近では女性2人が破滅に向かう世界で活き活きと冒険する『ピエタとトランジ<完全版>』が評判に。この世界観を生み出す背景に、どんな読書遍歴があったのでしょう? 小説だけでなく、影響を受けた漫画や好きな映画や俳優についてもたっぷり教えてくださいました。

2020.6.23  【今週はこれを読め! ミステリー編】追い詰められた者の小説『その手を離すのは、私』

逃亡者、あるいは追い詰められた者の小説というべき作品である。

2020.6.17  【今週はこれを読め! エンタメ編】最高の短篇作家の作品集〜イーディス・パールマン『蜜のように甘く』

「現存するアメリカ最高の短篇作家」(「ボストン・グローブ」紙)、「世界最高の短篇作家」(ロンドン・タイムズ」紙)といった絶賛は、本書の著者であるイーディス・パールマンのためのものである。

2020.6.9  【今週はこれを読め! SF編】前作から大きくスケールアップ、映像的表現の迫力

希代のストーリーテラー、マイクル・クライトンの疫病SF『アンドロメダ病原体』の続篇。宇宙由来の菌株(ただし生物的存在ではなく自己展開する「因子」と呼ぶのがふさわしい機序を示す)が、ふたたび人類を脅かす。

2020.6.3  【今週はこれを読め! エンタメ編】料理をめぐる実力派作家のアンソロジー『注文の多い料理小説集』

新型コロナウィルス感染症拡大防止のため、このところ何か月にもわたって我々はさまざまな不自由を耐え忍んでいる。

2020.6.2  【今週はこれを読め! SF編】里程標的作品から現代の新鮮作まで、人狼テーマの饗宴

『幻想と怪奇』第2号は、特集「人狼伝説 変身と野生のフォークロア」。

2020.5.26  【今週はこれを読め! SF編】7分間のお楽しみ。いずれ劣らぬ十一篇。

昨夏に刊行された『5分間SF』につづく、草上仁の短篇集。〈SFマガジン〉に1991年から2006年にかけて発表された十篇に、書き下ろしの一篇を加えた一冊だ。

2020.5.21  【今週はこれを読め! ミステリー編】達人ミネット・ウォルターズの性格劇『カメレオンの影』

ミステリーの興趣は性格喜劇、もしくは悲劇のそれにつながる。

2020.5.20  【今週はこれを読め! エンタメ編】農業にまつわる8つの物語〜瀧羽麻子『女神のサラダ』

私の父方の祖父母は現代においてはめっきり少なくなった専業農家だったのだが、本書を読んで自分が農業について全然わかっていないということがわかった。毎日食べるものを作ってもらっているというのに。まして生産者の方々の気持ちなど、なおさら理解できていなかった。

2020.5.13  【今週はこれを読め! エンタメ編】素敵シニアライフに隠された秘密〜井上荒野『よその島』

この小説に関しては、若い人と年配の人とではかなり感想が違ってくるのではないかと思う。若者にとっては、本書で描かれる老いというものがまだまだ対岸の火事のようにしか感じられないケースが多いだろう(高齢の家族が身近に存在するような場合は、また別だと思うが)。一方、老化現象進行中な私のような者にとっては、そろそろ他人事とは思えないシチュエーションの連続だった(主人公のひとり、碇谷芳朗が不動産屋の店員に「ご高齢のかた」と呼ばれてびっくりする場面が印象的)。

2020.5.12  【今週はこれを読め! SF編】奇妙な全体主義の成立と凋落、孤独と想像力をめぐって

ケイト・ウィルヘルムの代表長篇。単行本刊行の翌年(1977年)にはヒューゴー賞とローカス賞を受賞している。1982年にサンリオSF文庫から邦訳が出たものの、ほどなく絶版。若い読者にとっては「名のみ聞く名作」となっていたので、こんかいの復刊は好企画だ。

2020.4.29  【今週はこれを読め! エンタメ編】"最後の文士"の告白〜岩井圭也『文身』

主人公の庸一は、最初に就職した工場で自分の名前の漢字を聞かれて「凡庸の庸」と答えた。しかし、実際には凡庸どころの話ではない。須賀庸一という人間は、まぎれもなく希有な存在だと思う。

2020.4.25  作家の読書道 第217回:乗代雄介さん

2015年に「十七八より」で群像新人文学賞を受賞して作家デビュー、2018年に『本物の読書家』で野間文芸新人賞を受賞、今年は「最高の任務」で芥川賞にノミネートされ注目度が高まる乗代雄介さん。たくさんの実在の書物の題名や引用、エピソードが読み込まれる作風から、相当な読書家であるとうかがえる乗代さん、はたしてその読書遍歴は?

2020.4.23  【今週はこれを読め! ミステリー編】颯爽と八方破れな『弁護士ダニエル・ローリンズ』登場!

人生に絶望するにはまだ早い、と教えてくれる小説である。

2020.4.21  【今週はこれを読め! SF編】激しい性のカタチ、遙かな愛のスガタ

性を題材にした5作品を収録したSF短篇集。

2020.4.8  【今週はこれを読め! エンタメ編】70歳差のかけがえのない友情物語〜アリ・スミス『秋』

EUを離脱するしないの国民投票でイギリスが大騒ぎになっていたのは、もう4年も前のことなのか。

2020.4.7  「2020年本屋大賞」決定!! 大賞は凪良ゆう『流浪の月』 全ノミネート作の順位を発表!

全国の書店員が選ぶ、いま一番売りたい本を決める「本屋大賞2020」の受賞作が4月7日(火)決定した。

2020.4.7  【今週はこれを読め! SF編】〈ホテル・アルカディア〉の芸術家たち、その他の物語

「吉田同名」で第七回創元SF短編賞を受賞してデビュー、同作を含む短篇集『半分世界』で第三十九回日本SF大賞の候補となった俊英作家の初長篇。ジャンルSFの枠組みに収まらない奇想性(マジックリアリズムの感覚とコラージュ的なテクスト性がせめぎあうとでも言えばよいか)が石川さんの持ち味だが、それが大規模に展開されている。

2020.4.1  【今週はこれを読め! エンタメ編】朝井リョウのタイアップ&コラボ短編集『発注いただきました!』

以前ある作家が「小説やエッセイを書くのは完全にお金のため」という趣旨の文章を書いておられるのを読んで(うろ覚えだが、概ねこういう内容だった)、衝撃を受けたことがある。作家というものは、"たとえお金にならなくても書くのをやめられない"人がなるものだと思っていたからだ。しかしながら、これは私が読者としてナイーブすぎた。それで生計を立てている以上、書くことと収入とは切っても切り離せない。そしてまた、依頼主からの注文があれば、書き手はその希望に沿って書くこともまた必要になってくるわけだ。

2020.3.28  作家の読書道 第216回:青山七恵さん

大学在学中に書いて応募した『窓の灯』で文藝賞を受賞してデビュー、その2年後には『ひとり日和』で芥川賞を受賞。その後「かけら」で川端康成賞を受賞し、短篇から長篇までさまざまな作品を発表している青山七恵さん。衝撃を受けた作品、好きな作家について丁寧に語ってくださいました。

2020.3.26  【今週はこれを読め! エンタメ編】最高の青春ライバル小説〜安壇美緒『金木犀とメテオラ』

「もう1作みたい」という言い方を、世間ではわりとよくする気がする。例えば芥川賞・直木賞といった文学賞の選考会で授賞を見送ったときの、「もう1作様子を見てから判断したい」という申し開き的な意味で。あるいはM-1やキングオブコントといった、予選で1本目・決勝で2本目のネタを披露するような大会において。こちらは「(もう1作みたいと思ったので)高い評価をつけた」という場合もあれば、「(もう1本みたかったのに)たいへん惜しい結果だったという場合もある。私も『天龍院亜希子の日記』を読んだときに、「もう1作読みたい!」と強く思ったものだ。「次の作品もおもしろいに違いない」という確信に近い予感によるものだったが、本書を読んで自分の読みに狂いはなかったと大満足である。

2020.3.21  人気ラノベ『弱キャラ友崎くん』アニメ化決定

屋久ユウキさんによる累計発行部数100万部突破の人気ライトノベル『弱キャラ友崎くん』のTVアニメ化が決定しました。あわせて、スタッフとキャストが公開となりました。

2020.3.18  【今週はこれを読め! エンタメ編】ド直球の家族小説短編集〜木村椅子『ウミガメみたいに飛んでみな』

「そもそもウミガメって飛べるんだっけ?」なんて野暮なことは言いっこなしだ。ウミガメだって人間だって、空くらいなら飛べるのである。固定観念は捨てるべきだ。

2020.3.17  【今週はこれを読め! SF編】〈暦法〉宇宙国家への異端の侵攻。めくるめく展開のスペースオペラ。

エキゾチックな設定のもとで展開されるモダン・スペースオペラ。原書は2016年に刊行され、ローカス賞第一長篇部門を受賞している。

2020.3.10  【今週はこれを読め! SF編】浪漫の帝都と大陸の新興都市が舞台、波瀾のスチームパンク

和製スチームパンクの第三作。設定は第一作、第二作からつづいているが、物語としては独立しているので、この巻だけ読んでも支障はない。ただし細かいくすぐり----たとえばヒロインの伊武(イヴ)が長須鯨の描かれた箱を大切にしていて、誰かが腰掛けようとすると「椅子じゃない」と怒るくだりなど----は、シリーズを追いかけているファンへのサービスだ。そのあたりも含め、大森望さんが「解説」でシリーズ全体の概要をまとめてくれている。本書から読む場合は、まず「解説」からどうぞ。

2020.3.5  作家の浦賀和宏さん死去 ミステリー中心に執筆 41歳

浦賀 和宏さん(うらが・かずひろ=作家、本名八木剛〈やぎ・つよし〉)が2月25日、脳出血で死去した。41歳だった。葬儀は近親者で営んだ。喪主は母悦子(えつこ)さん。

2020.3.3  【今週はこれを読め! SF編】第二次『幻想と怪奇』に喝采!

伝説の雑誌〈幻想と怪奇〉が45年の歳月を経て甦った!

2020.2.19  【今週はこれを読め! エンタメ編】夢に向かって進む女子の物語〜柴田よしき『お勝手のあん』

ところは日本、ときは安政の世。だけど『お勝手のあん』は、まぎれもなく『赤毛のアン』の系譜につながる少女小説だった。時代の波に流されずに男女の別や身分の違いに抗って生きることに少しずつ目覚めていく主人公・やすの姿には、現代を生きる我々も勇気づけられる。

2020.2.10  【今週はこれを読め! ミステリー編】染み入るような警察小説『カタリーナ・コード』

染み入るような、という表現はこういう小説のために使うべきなのだろう。

2020.2.5  【今週はこれを読め! エンタメ編】明るく前向きな気持ちになれる連作短編集〜凪良ゆう『わたしの美しい庭』

現在最も書店員から熱く支持される作家のひとりである凪良ゆうの新作。...というのが誇張でもなんでもないことを、私は先日実感した。

2020.2.4  【今週はこれを読め! SF編】ハイテク廃棄物のディストピア、最周縁から世界を批判する哀しきモンスター

現代中国SFの話題作。サイバーパンクの系譜を引く近未来ディストピアを、アクション・ノワールの味わいに仕上げている。さながらパオロ・バチガルピの好敵手といったところだ。

2020.1.28  【今週はこれを読め! SF編】悲しげな歌を歌う怪獣、全体主義に抗う《人間》

原著は1965年刊。邦訳は、まず67年に大光社《ソビエトS・F選集》の一冊として『怪獣17P』の題名で刊行、78年にはサンリオSF文庫で原題に即した『旅に出る時ほほえみを』として再刊、そして歳月を経たいま、こうして白水Uブックス《海外小説 永遠の本棚》に収められた。つごう三回、それぞれ傾向の異なるレーベルで、それぞれの読者層へと届けられたわけだ。それだけの力を持った名作である。

2020.1.25  作家の読書道 第214回:凪良ゆうさん

引き離された男女のその後の時間を丁寧に描く『流浪の月』が大評判の凪良ゆうさん。もともとボーイズラブ小説で人気を博し、『神さまのビオトープ』で広い読者を獲得、新作『わたしの美しい庭』も好評と、いま一番勢いのある彼女ですが、幼い頃は漫画家志望だったのだとか。好きだった作品は、そして小説を書くようになった経緯とは。率直に語ってくださっています。

2020.1.21  詩人、ラテンアメリカ文学研究者の田村さと子さん死去

詩人でラテンアメリカ文学研究者の田村さと子さん=本名・川村さと子=が19日、乳がんのため死去した。

2020.1.14  【今週はこれを読め! SF編】ラヴクラフトを切歯扼腕させる十六篇

H・P・ラヴクラフトの系譜に連なるフィクションは、ひとつの文芸ジャンルを形成するほどである。ご本尊はその気はなかったのだろうけれど、彼の死後、オーガスト・ダーレスによって体系化された「クトゥルー神話」が、合い言葉さえ唱えればだれでも入会できる結社というか、わかりやすいアイテムに満ちた二次創作製造エンジンのようなもので、それが自走的に機能しているのだ。

2020.1.6  冬アニメ『魔術士オーフェンはぐれ旅』原作者・秋田禎信さん&オーフェン役・森久保祥太郎さんインタビュー|森久保さんが現場一番の若手から若手を引っ張る座長へ

1994年に小説連載が始まり、1998年にアニメ化、2019年には舞台化と、長年に渡ってたくさんのファンに愛され、様々な展開を見せてきた『魔術士オーフェンはぐれ旅』。

2019.12.28  作家の読書道 第213回:河﨑秋子さん

東北と北海道で馬と暮らす人々を描いた物語『颶風の王』で注目され、単行本第二作『肉弾』で大藪春彦賞を受賞、新作短編集『土に贖う』も高い評価を得ている河﨑秋子さん。北海道の酪農一家で育ち、羊飼いでもあった彼女は、どんな本を読み、いつ小説を書きはじめたのか。これまでのこと、これからのことを含め、たっぷりと語っていただきました。

2019.12.25  【今週はこれを読め! ミステリー編】仕掛けに満ちたミステリー『闇という名の娘』

ああ、こういうミステリーをしばらく読んでなかったな。

2019.12.19  【今週はこれを読め! ミステリー編】軽業のように飛翔してゆく物語『パリのアパルトマン』

不動産屋の手違いから、見ず知らずの男女が一つ屋根の下で共同生活を送り始める話。

2019.12.18  【今週はこれを読め! エンタメ編】音楽が聴こえてくるような短編集〜恩田陸『祝祭と予感』

優れた音楽小説であり、さらに直木賞と本屋大賞の両方を受賞した『蜜蜂と遠雷』の愛読者にはたまらないファンブック的な要素も持ち合わせているのが本書。私にとっても『蜜蜂と遠雷』はその年に読んだ本のベストだったので(確か朝井リョウさんも同じ趣旨のことを語ってらして、意を強くしたものです)、『祝祭と予感』は期待を胸に読み始めたのだが、もう涙ものだった。

2019.12.10  【今週はこれを読め! SF編】複雑にもつれる多民族・多文化の未来史

アリエット・ド・ボダールは2006年から作品発表をはじめ、これまでにネビュラ賞、ローカス賞、英国SF協会賞を受賞し、各種の年刊SF傑作選へも多くの作品が採られている、旬の作家だ。彼女がデビュー直後から書きついでいるシリーズ《シュヤ宇宙》は、コロンブスと同時期に中国人がアメリカ大陸に到着し、独自の植民地文化を発展させた時間線上に展開する、長大なスケールの人類史だ。本書は、同シリーズこれまでに発表された31作品のうちから、9作品を選んで訳出した日本オリジナル短篇集だ。

2019.12.4  【今週はこれを読め! SF編】斬新なアイデアで展開される、決定論と自由意志をめぐる哲学的洞察

今年五月に原書刊行されたばかりのテッド・チャンの第二短編集。この早さでの邦訳は嬉しい。(12月4日発売)

2019.12.3  【今週はこれを読め! エンタメ編】複雑さを抱えた私たちを描く短編集〜朝井リョウ『どうしても生きてる』

初期の作品から読んできた作家が飛躍するさまを目の当たりにするのは、読者としても大きな喜びである。いや、飛躍という表現は適切ではないかもしれない。その作家、朝井リョウはずっと高く飛び続けてきた才能の持ち主だったのだから。

2019.11.28  【今週はこれを読め! SF編】困難なミッションに挑む、量子魔術師と個性溢れるメンバーたち

舞台となるのは人類が宇宙へと広がり、複雑な人種的葛藤と利益対立の多国家文明を築いている遠未来。"魔術師"と異名をとる主人公ベリサリウス・アルホーナは、量子的感覚・思考を備えたホモ・クアントゥスのひとりだ。彼はその驚異的な能力をもっぱら詐欺に発揮している。詐欺といってもケチな違法行為ではなく、曲者や権力を相手取った知恵比べといった側面が強い。

2019.11.27  【今週はこれを読め! エンタメ編】大学生作家と競歩選手の成長小説〜額賀澪『競歩王』

この秋、日本はラグビー人気に沸きに沸いた。しかしながら、同時期に行われた世界陸上競技選手権においては、競歩の選手が2つもの金メダルを獲得したこともどうか覚えておいていただきたい。競歩では鈴木雄介選手が50kmで、山西利和選手が20kmでそれぞれ優勝した。ラグビーのように豪快なスクラムやすばやいトライやチームメイトとの熱い抱擁などは、競歩にはないものである。ひたすら選手たちが歩き続ける競技なのだ、独特のフォームで。

2019.11.25  「このライトノベルがすごい!2020」首位を電撃レーベルが独占!『七つの魔剣が支配する』&『Unnamed Memory』が1位を獲得

「このライトノベルがすごい!2020」(宝島社)にて、電撃文庫刊『七つの魔剣が支配する』が「文庫部門」第1位を、電撃の新文芸刊『Unnamed Memory』が「単行本・ノベルズ部門」第1位に輝いた。

2019.11.23  作家の読書道 第212回:呉勝浩さん

2015年に『道徳の時間』で江戸川乱歩賞を受賞、2018年には『白い衝動』で大藪春彦賞を受賞。そして新作『スワン』が話題となり、ますます注目度が高まる呉勝浩さん。小学生のうちにミステリーの面白さを知り、その後は映画の道を目指した青年が再び読書を始め、小説家を目指した経緯は? 気さくな口調を脳内で再現しながらお読みください。

2019.11.14  【特集】『エリスの聖杯』刊行記念特別企画 常磐くじら先生×大森藤ノ先生スペシャル対談インタビュー

2019年11月15日頃に発売されるGAノベル刊『エリスの聖杯』の刊行を記念して、著者である常磐くじら先生と、本作の熱烈なファンであり、書籍化のきっかけとなったGA文庫刊『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』の大森藤ノ先生をお招きしてのスペシャル対談インタビューをお届けする。『エリスの聖杯』が書籍化に至るまでの道のりと、大森藤ノ先生が激賞する物語やキャラクターについて、さらにはお二人の視点から見る「悪役令嬢やダークヒーローの魅力」など、幅広く語っていただいた。

2019.11.12  【今週はこれを読め! SF編】「宇宙」と「時間」、対になった二冊のテーマ・アンソロジー

二冊組みのアンソロジー。いっぽうは「宇宙」、もういっぽうが「時間」がテーマだ。作品を寄せているのは、創元SF短編賞からデビューした俊英たちである。

2019.11.10  【今週はこれを読め! ミステリー編】『生者と死者に告ぐ』の執拗な語りに唸る!

あれあれ、ネレ・ノイハウスってこんなにおもしろかったけ。

2019.11.6  【今週はこれを読め! エンタメ編】鈴木るりか『太陽はひとりぼっち』を先入観なしで読むべし!

「そんなこと、○○しなくたってわかるだろ」というのは、概ね些細なものと相場が決まっている「○○する」手間すら省きたい横着者の言い訳に他ならない。「愛してるなんて言わなくたってわかる」という相手とはしばしば大げんかに発展しがちだしし、「説明書なんて読まなくたってわかる」と言って設置した電化製品はだいたい動かず、「メモなんてしなくたってわかる」と油断した買い物は忘れる。

2019.10.31  ガチャがすべての痛快成り上がり伝『アキトはカードを引くようです』作者インタビュー

"スレ発ラノベ4"の第4弾として10月25日にMF文庫Jから発売される小説『アキトはカードを引くようです』の作者・川田両悟さんのメールインタビューをお届けします

2019.10.26  作家の読書道 第211回:又吉直樹さん

お笑い芸人として活躍する一方で読書家としても知られ、発表した小説『火花』で芥川賞も受賞した又吉直樹さん。著作『第2図書係補佐』や新書『夜を乗り越える』でもその読書遍歴や愛読書について語っていますが、改めて幼少の頃からの読書の記憶を辿っていただくと、又吉さんならではの読み方や考察が見えてきて……。

2019.10.23  【今週はこれを読め! エンタメ編】家族それぞれの家の記憶〜青山七恵『私の家』

「魔法の言葉」と聞いて、みなさんはどういうものを思いつかれるだろう? 「ありがとう」や「信じれば夢は叶う」といった万人の心に訴えるものを思い浮かべる方もいれば、スピッツの名曲「魔法のコトバ」を口ずさむ方もいるだろう。あるいは「やればできる」という「魔法の合いことば」を思い出す高校野球ファンもいるのでは(ヒント:「済美高校 校歌」で検索なさってみてください)。しかし、私が考える「魔法の言葉」は、「よそはよそ、うちはうち」である。このひと言で、いったいどれほどの子どもたちの訴えが却下されてきたことだろうか。

2019.10.22  【今週はこれを読め! SF編】謎解きミステリと時間SFとのあまりにみごとな融合

鮎川哲也賞を受賞したデビュー作。時間SFとパズラーを組みあわせた意欲作。タイムトラベルも本格推理も、破綻なくストーリーを語り進め、読者の予想を超える結末にたどりつくためには、強度のあるロジックが要求される。本作は、その要件を高いレベルでクリアしている。途中、登場人物が奇異に思える行動に出る場面もあるけれど、それはその人物の来歴や性格によるものとして、じゅうぶん了解可能だ。

2019.10.21  【今週はこれを読め! ミステリー編】確かな足元が崩れ落ちるリンドクヴィスト『ボーダー 二つの世界』

足元に確かにあったはずの地面がふっと消失し、無限の落下が始まる。

2019.10.18  【特集】『弱キャラ友崎くん』×『千歳くんはラムネ瓶のなか』最新刊同時発売記念 屋久ユウキ×裕夢 青春ラブコメ対談インタビュー

2019年10月18日に『弱キャラ友崎くん』第8巻、『千歳くんはラムネ瓶のなか』第2巻が同時発売となった。このたび2作品の最新刊発売を記念して、両作品の著者である屋久ユウキ先生と裕夢先生をお招きし、青春ラブコメ対談インタビューとしてお話をお聞きした。両作品は小学館ライトノベル大賞にて「優秀賞」を受賞すると共に、キャラクターや物語において「リア充」という存在も欠かせない共通点として有している。お互いの印象から各作品のキャラクターに込められた想い、地元を物語の舞台にした理由など幅広く語っていただいた。

2019.10.7  【今週はこれを読め! ミステリー編】失われた人生のシークエンスを探す冒険行『戦下の淡き光』

こんなことが本当に起こりえたのかという人生の瞬間についての小説だ。

2019.10.1  【今週はこれを読め! SF編】有無を言わせぬ怒濤の展開! 正調ワイドスクリーン・バロック!

ブライアン・W・オールディスが激賞、この作品のために「ワイドスクリーン・バロック」なるサブジャンル呼称を提唱までした話題作がついに翻訳された。

2019.9.21  【今週はこれを読め! ミステリー編】何が起こるかわからない『11月に去りし者』

小説は思いがけないことが起こるからおもしろい。

2019.9.18  【今週はこれを読め! エンタメ編】兄弟姉妹と花言葉の短編集〜古内一絵『アネモネの姉妹 リコリスの兄弟』

本書の帯には「兄弟姉妹に一度でも仄暗い感情を抱いたことのあるあなたへ」とある。兄弟姉妹がいれば、「仄暗い」とまでいかないにしても一度たりとも衝突したことがないとは考えにくいし、逆にそうやって互いに成長していけるのが醍醐味ともいえる。ひとりっ子にはひとりっ子のよさがあるだろうし、世間でよく言われるように「きょうだいがいないとかわいそう」といったもの言いには意味がないと思うけれども、それでも兄弟姉妹がいなければ経験できない喜びあるいはつらさというものは確実に存在する。

2019.9.15  【今週はこれを読め! ミステリー編】移民問題に直面するインドリダソン『厳寒の町』

憎悪は液体と同じで、一定量を超えれば溢れるのを止めることはできない。

2019.9.10  【今週はこれを読め! SF編】きらめく青春小説にして、時間と現実と創作とをめぐる問い直し

サンライズ製作のSFアニメ『ゼーガペイン』のスピンオフ小説。ヒロインの守凪了子(カミナギリョーコ)、彼女の幼なじみ十凍京(ソゴルキョウ)は共通だが、小説版オリジナルの主要キャラクターも多く登場し、背景となる設定もいっそう深く練られている。

2019.9.6  【今週はこれを読め! ミステリー編】夏の終わりに読みたい二つの中編『エレベーター』『わが母なるロージー』

暑さ寒さも彼岸までと言う。まだ夏が終わらないうちに、この本を読んでしまおう。

2019.9.4  【今週はこれを読め! エンタメ編】繊細で骨太な『掃除婦のための手引き書』がかっこいい!

酒に溺れる日々。家族からの虐待。家庭の経済状況の極端な浮き沈み。私にとってはこれまでの人生で縁のないものだ。なのになぜ、ルシア・ベルリンの描く痛みが自分と近しいもののように感じてしまうのだろうか。

2019.9.3  【今週はこれを読め! SF編】手強い異存在との意思疎通と、未知の文明の調査

人気ミリタリーSFシリーズ《星系出雲の兵站》第二部の開幕篇。たんに地上の戦争を宇宙へと移植したアクションストーリーではなく、現実的な天文物理をふまえた条件と、SFならではの「異質な知性」に関わるアイデアが、この作品の大きな価値だ。そして表題に「兵站」とあるように、ハデな戦闘よりもそれを支える生産力、前線まで物資を届ける補給計画、戦時下の政治などに重点を置いて、いくつものエピソードが重ねられる。まことにシブいSFである。

2019.8.30  独占インタビュー「ラノベの素」 タンバ先生『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い』

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2019年9月1日にスニーカー文庫より『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い』が発売されるタンバ先生です。帝位争いが激化する帝国内において、出涸らし皇子とバカにされる一人の皇子が、双子の弟を帝位につかせるために暗躍を始めるファンタジーシリーズ。作品の裏側や内容についてはもちろん、2つの顔を有する主人公の暗躍の魅力、そして本作の見どころについてお聞きしました。

2019.8.28  【今週はこれを読め! エンタメ編】50代女性が思い出す子供の頃のこと〜岸政彦『図書室』

違う分野から「どこまでできるか挑戦したくてやってみました」的な感じで進出してくる人より、"苦節○十年"と地道にやってきた人の方を応援したくなる傾向は、確実に自分の中に存在している。具体的に言うと、"霜降り明星がM-1でチャンピオンになったときには素直に祝福できたが、粗品さんがR-1でも優勝をさらったことに対しては若干複雑な気持ちがないでもない"という状態だ。「ピンでやってる芸人さんが評価されるともっとよかったかも...」という感じ。しかし、確かにR-1においても粗品さんはおもしろく、なんなら決勝進出者の他の2名もコンビ芸人の片割れだったのだ。

2019.8.27  【今週はこれを読め! SF編】ゲンロン出身作家の意欲作から、ベテラン津原泰水の傑作戯曲まで

オリジナルアンソロジー・シリーズ《NOVA》の最新刊。前巻より、雑誌のような巻号表記となった。

2019.8.24  作家の読書道 第209回:吉川トリコさん

2004年に「ねむりひめ」で第3回「女による女のためのR-18文学賞」で大賞と読者賞を受賞した吉川トリコさん。以来、映像化された『グッモーエビアン!』や、あの歴史上の女性の本音を軽快な語り口で綴る『マリー・アントワネットの日記』、そして新作『女優の娘』など、女性、少女を主なモチーフにさまざまな小説を発表。その作風に繋がる読書遍歴を語ってくださいました。

2019.8.9  【今週はこれを読め! ミステリー編】『イヴリン嬢は七回殺される』に引き込まれる!

アドヴェンチャー・ゲームが好きな人は絶対にはまる。

2019.7.27  作家の読書道 第208回:葉真中顕さん

日本ミステリー大賞を受賞したデビュー作『ロスト・ケア』でいきなり注目を浴び、今年は『凍てつく太陽』で大藪春彦賞と日本推理作家協会賞を受賞した葉真中顕さん。社会派と呼ばれる作品を中心に幅広く執筆、読書遍歴を聞けば、その作風がどのように形成されてきたかがよく分かります。デビュー前のブログ執筆や児童文学を発表した経緯のお話も。必読です。

2019.7.20  【今週はこれを読め! ミステリー編】スウェーデン発の歴史ミステリー『1793』

今ここにいる自分の当たり前が、違う場所、違う時間では当たり前ではないことを小説は気づかせてくれる。

2019.7.17  芥川賞に今村夏子さん 直木賞に大島真寿美さん

第161回芥川賞と直木賞の選考会が東京で開かれ、芥川賞は今村夏子さんの「むらさきのスカートの女」、直木賞は大島真寿美さんの「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」(うず/いもせやまおんなていきん/たまむすび)が、それぞれ選ばれました。

2019.7.17  【今週はこれを読め! エンタメ編】「知る」喜びに満ちた音楽ミステリー〜藤谷治『綾峰音楽堂殺人事件』

本を読む醍醐味を何に求めるかはさまざまだと思うが、「知らなかったことを知る」を重視する人は多いだろう。本書においても、「知る」喜びは十二分に味わえる。大学教授や作家や音楽家や地方の名士といった登場人物たちの鬱屈を「知る」、クラシック音楽の素晴らしさを「知る」、地方行政あるいは市民運動の仕組みや問題点を「知る」...。そしてもちろん、謎に包まれた事件の真相を「知る」。

2019.7.16  ピース又吉の恋愛小説『劇場』が映画化 主演・山崎賢人、ヒロイン・松岡茉優の同い年コンビ

長編デビュー作『火花』で第153回芥川賞を受賞したお笑いコンビ・ピースの又吉直樹の受賞後第1作となる小説『劇場』が、映画化されることが決定し、松竹とアニプレックスの共同配信で公開。行定勲監督がメガホンを取り、主演は山崎賢人(24)、ヒロインは松岡茉優(24)の"同い年コンビ"が務めることが発表された。

2019.7.10  【今週はこれを読め! エンタメ編】フレッシュな執筆陣のアンソロジー『行きたくない』

人はさまざまなシチュエーションで、さまざまな場所やイベントについて「行きたくない」と感じるものだと思う。内気で引っ込み思案だった私は、小学校の入学式や引っ越し先の学校での登校初日に「行きたくない」と思ったし、会社員生活にも不安を抱いていたので入社式にも「行きたくない」と感じた。そうした節目に限らず、友だちとトラブルがあっても学校に「行きたくない」し、定期テストや運動会でも「行きたくない」という気持ちになった。こうして並べてみると改めて数々のパターンがあることに感心させられるが、本書には私の想像など軽く凌駕する「行きたくない」が収められていた。

2019.7.9  【今週はこれを読め! SF編】何度も滅びて再興する三体世界の文明、それが地球にもたらすもの

質・量ともに中国の現代SFの隆盛がめざましい。その頂点に位置するメガヒット作が本書『三体』だ。もとはSF専門誌〈科幻世界〉に連載されたもので、2008年に単行本が刊行。続篇の『黒暗森林』『死神永生』と併せ、これまでに2100万部を売り上げたとも言われている。ケン・リュウの手による英訳版はヒューゴー賞を射止めた。おそらく今世紀に入ってからいままでのSFシーンにおいて最高の話題作だ。

2019.7.5  《GA文庫大賞》大賞作『処刑少女の生きる道 ―そして、彼女は甦る―』佐藤真登インタビュー

ライトノベルファン待望の本格異世界ファンタジー!〈処刑人〉の少女と〈迷い人〉の少女。殺す側と殺される側の必然の出会いは予期せぬ友情へと展開する――。殺伐とした世界を生き抜く少女メノウと、彼女を取り巻く個性豊かな女性たちが織りなす生と死のドラマ。《GA文庫大賞》7年ぶりの大賞作が満を持してここに登場!

2019.7.4  【今週はこれを読め! ミステリー編】無敵の100歳が大暴れ!『世界を救う100歳老人』

あれ、もしかしてこれ、ものすごくタイムリーな小説なのでは。

2019.7.3  【今週はこれを読め! エンタメ編】ホッパーの絵の豊かな表情を映す『短編画廊 絵から生まれた17の物語』

名画とそれにインスパイアされた小説が収録された本というのはそんなに珍しいものではない気がするが、それらがすべてエドワード・ホッパーに関するものであるというところが本書の新機軸ではないだろうか。「エドワード・ホッパー」と聞いてもどのような画家であるかという知識はおぼろげだったのだが、深夜の飲食店にいる人々が描かれた「ナイトホークス」を見て「ああ!」とわかった。ホッパーの絵というのは一見無機的なようで、よく見るととても豊かな表情がある絵だと思う(人物が描かれていないときでさえ)。

2019.6.26  【今週はこれを読め! エンタメ編】逆境に立ち向かう75歳正子の奮闘記〜柚木麻子『マジカルグランマ』

私の目に映る祖母は完璧な人だった。97歳で亡くなった母方の祖母とは、私が結婚して実家を出るまでほぼずっと同居していた。とにかく優しい。よくないことをしたら注意はされたけれども怒鳴られたり叩かれたりしたことは一度もない。

2019.6.25  【今週はこれを読め! SF編】もはやそれほど危険ではないが、アイデア・ストーリーとして面白い

アメリカSFはその揺籃期(二十世紀の幕開けから1920年代)において、科学技術ホビイストあるいはティーンエイジャーむけの大衆文芸として発展してきた。その後、1930年代末の〈アスタウンディング〉誌でのキャンベル革命、1950年代初頭の〈F&SF〉や〈ギャラクシー〉での文芸的洗練があり、読者層も大きく広がるのだが、作品が扱うテーマや表現面における自己検閲(作家自身による、または編集者による)は根強く残っていた。SF界の風雲児ハーラン・エリスンは、そうした風潮に敢然と叛旗を翻し、このオリジナル・アンソロジーを企画した。

2019.6.22  作家の読書道 第207回:最果タヒさん - 作家の読書道

作家の読書道 第207回:最果タヒさん

2019.6.17  直木賞 6候補作すべて女性の作品 昭和10年からの歴史で初

令和最初の開催となる第161回芥川賞と直木賞の候補作が発表され、直木賞では6つの候補作がすべて女性作家の作品となりました。昭和10年に始まった賞の歴史の中で、候補作がすべて女性の作品となったのは初めてです。

2019.6.17  第161回「芥川賞」「直木賞」、候補作決まる

6月17日、日本文学振興会が候補作を発表した。7月17日に東京・中央区の新喜楽で選考会を開き、同日受賞者の記者会見を開く。候補作は次の通り。

2019.6.12  【今週はこれを読め! エンタメ編】加害者家族と被害者家族の対峙〜岩井圭也『夏の陰』

加害者家族と被害者家族。彼らの物語を純粋なフィクションとして捉えられるのは、幸いにも自らがどちらの立場にも立ったことがないからだ。

2019.6.7  「リアリティがすさまじい」 特別養子縁組を描いた辻村深月の小説『朝が来る』を監督・河瀨直美が映画化!

辻村深月の小説『朝が来る』の映画化が決定。監督は映画「あん」「光」などの河瀨直美が務めるとあって、「このタッグで何が生まれるのか目撃したい」「絶対に映画館で見よう」と歓喜の声が相次いでいる。

2019.6.6  【今週はこれを読め! エンタメ編】期待の倒叙ミステリー短篇集『偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理』

ああ、またひとり追いかけたいキャラクターが増えてしまった(とはいえ、シリーズ化されるかどうかもわからないんですが。いや、ぜひとも続編をお願いいたします、降田先生。刮目してお待ちしておりますので!)。サブタイトルにもあるように、本書は「神倉駅前交番」に勤務する警官「狩野雷太」がさまざまな謎を解いていく連作短編集。

2019.5.31  【今週はこれを読め! ミステリー編】エリスンの内面が浮かび上がる短篇集『愛なんてセックスの書き間違い』

人の心を覗き込むと、そこにはこういう景色が広がっているのだろうと感じさせられた。

2019.5.29  【今週はこれを読め! エンタメ編】大阪が舞台のほろ苦い短編集〜藤野恵美『淀川八景』

残念ながら大阪という土地にはあまりなじみがない。大阪を訪れたのは、まだ幼稚園児だった頃に叔父の家に泊まったときと5年ほど前にUSJに行ったとき。50年少々に及ぶ人生で2回のみだ。大都市であるし何かと話題になることも多いので情報としては大阪についていろいろ知っている気がするが、実際はほぼ無知といえるレベルではないか。そもそも淀川がどのあたりを流れているかも知らない。「淀川」と聞いたら、映画評論家の故淀川長治氏が先に思い浮かぶくらいだし。

2019.5.28  【今週はこれを読め! SF編】感覚情報翻訳者が活躍する凝った構成のミステリ連作

デビュー作『風牙』につづく、《感覚情報翻訳者(インタープリンタ)》シリーズ。感覚情報翻訳者とは、レコーディングされた記憶に潜行(ダイブ)して、そのままではノイズのかたまりのようなデータを、意味のある映像へ成形するプロフェッショナルである。誰でもできる技術ではなく、生まれもっての資質が問われる。HSP(ハイパー・センシティブ・パーソン)と呼ばれる共感能力だ。この物語の主人公である珊瑚はグレード5。百万人にひとりしかいないトップレベルの能力者だ。

2019.5.25  作家の読書道 第206回:江國香織さん

読書家としても知られる江國香織さん。小さい頃から石井桃子さん訳の絵本に親しみ、妹さんと「お話つなぎ」という遊びをしていたけれど、その頃は小説家になることは考えていなかったとか。さらにはミステリ好きだったりと、意外な一面も。その膨大な読書量のなかから、お気に入りの本の一部と、読書生活の遍歴についておうかがいしました。

2019.5.24  【今週はこれを読め! ミステリー編】"世界一優秀な探偵"コール&パイク登場『指名手配』

あなたの世界にかぎ裂きができてしまい、涙にくれているとする。

2019.5.21  【今週はこれを読め! SF編】美のユートピアで繰り広げられる人間模様

『永遠の森 博物館惑星』の十九年ぶりの続篇。

2019.5.17  【今週はこれを読め! ミステリー編】老魔術師と少年が起こす奇跡『トリック』

老魔術師は言う。「夢、信じるなら、夢のままで終わらない」と。

2019.5.15  【今週はこれを読め! エンタメ編】時代を生き抜いた女たちの人生〜窪美澄『トリニティ』

"子どもや孫に囲まれて、畳の上で大往生"的な亡くなり方は理想とされやすい。裏を返すと、"看取ってくれる人もいないまま、孤独のうちに死ぬ"のは不幸とみなされるということだ。しかし、こういった固定観念のようなものにはずっと疑問を抱いてきた。私とてできるなら死ぬ間際に息子たちにひとめ会えたらうれしいし、そこに孫の姿もあれば申し分ないことだろう。しかし例えば、自分の心の求めるままに行動し思い残すことはないと感じられるまでの生き方ができたならば、その人の人生を不幸だったなどと誰が言えるだろうか?

2019.5.14  【今週はこれを読め! SF編】場所が特定できぬ孤峰、スパゲッティコードとしての世界

これは旅の物語であり、物語という旅である。地図はない。行ってみないと、その先がどうなっているかわからない。

2019.5.7  【今週はこれを読め! SF編】間近にあるディストピア、奪われた声をいかに取り戻すか

舞台は近未来のアメリカ。いや、近未来というよりも、現代というべきだろう。ここに描かれた事態は、アメリカでまさに進行中の悪夢だ。保守化、パターナリズム、押しつけの道徳、差別の正当化。

2019.4.25  『漁港の肉子ちゃん』西加奈子

私がこの横丁カフェで本をご紹介させていただくのも、今回で最後になりました。大好きな本をたくさん並べて、どの本を選ぼうか迷っていたら、本から「私を選んでくれたらええんやでっ!」という主人公の強烈な声が聞こえたような気がしたので、最後の1冊はこれに決めました。『漁港の肉子ちゃん』西加奈子(幻冬舎)です。

2019.4.19  【今週はこれを読め! SF編】第一級の脱出不可能ミステリー『火星無期懲役』

火星は地獄だ!(ジョン・W・キャンベル風に)

2019.4.16  【今週はこれを読め! SF編】大胆なSFの設定に、現代社会の問題を写しとる

白水社の《エクス・リブリス》は、上質な海外文学を届けてくれる、小説読みにとっては慈雨のごとき叢書だ。そこに初めて収められたジャンルSFが本書である。七篇を収めた短篇集。著者のプロフィールを知って、のけぞった。

2019.4.13  【今週はこれを読め! ミステリー編】感情を激しく揺り動かす圧巻のスリラー『終焉の日』

まるで暴れ馬のたてがみにしがみついているような乗り心地、読み心地であった。

2019.4.10  【今週はこれを読め! エンタメ編】15歳で書かれたデビュー作〜坪田侑也『探偵はぼっちじゃない』

これまで半世紀少々生きてきて、さまざまな若手の台頭を目にしてきた。"高校球児が自分より年下"、"アイドルが自分より年下"、"若いママさんが自分の息子より年下"などなど、枚挙にいとまがない。というか、もはや自分より年下の人たちの方が多いんじゃね? ということでたいていの条件には動じないつもりでいたが、これは久々の衝撃であったと思うのが"作家が自分の息子より年下"。本書の著者、坪田侑也さんのことである。

2019.4.9  【今週はこれを読め! SF編】はかない記憶と傷つく身体のエロティシズム

オリジナルアンソロジー『NOVA 5』に発表した短篇SF「愛は、こぼれるqの音色」と、書き下ろしの長篇ミステリ『密室回路』を対にして収めた一冊。物語はそれぞれ独立しているが、設定は共通しており、テーマ面でも強い結びつきがある。

2019.4.8  34歳で1200万円を得た小説家志望の男の生き様

20代をダラダラし続けた倉井眉介さん

2019.4.5  【今週はこれを読め! ミステリー編】フィツェック『座席ナンバー7Aの恐怖』を買いだ!

安心と信頼のセバスチャン・フィツェック、なのである。

2019.3.28  『負けるな、届け!』こかじさら

「元気が出る小説」とか「勇気をもらえる小説」ってたくさんあると思いますが、こんなに心の奥から力が湧き上がってくるような小説、初めて読みました。それが、今回ご紹介する小説『負けるな、届け!』(こかじさら、双葉文庫)です。

2019.3.27  【今週はこれを読め! エンタメ編】シングルファーザーの成長小説〜まはら三桃 『パパとセイラの177日間 保険外交員始めました』

ひとりで子どもを育てるのがたいへんなことは、母親も父親も変わらないことと思う。しかし一般的に、"ひとり親"と聞くとシングルマザーを想定する場合が多く感じるのは、日本においては親権を父親が持つことの方が少ないからだろう。私自身も父子家庭の例を知らないわけではないが、例えばフィクションなどでもひとりで子育てする父親に注目が集まるケースはあまりないという気がする。

2019.3.26  【今週はこれを読め! SF編】それでもなお、ひとは自由意志を希求する

ピーター・ワッツの長篇『ブライントサイト』の衝撃は忘れがたい。知性にとって意識は必然的なものではない。この大前提に、まず痺れた。

2019.3.23  作家の読書道 第204回:上田岳弘さん

デビュー作「太陽」の頃から、大きな時間の流れの中での人類の営みと、個々の人間の哀しみや郷愁を融合させた作品を発表し続け、『私の恋人』で三島由紀夫賞、そして今年『ニムロッド』で芥川賞を受賞した上田岳弘さん。5歳の頃から「本を書く人」になりたかった上田さんに影響を与えた本とは? 作家デビューを焦らなかった理由など、創作に対する姿勢も興味深いです。

2019.3.20  【今週はこれを読め! エンタメ編】心をざわつかせる短編集〜今村夏子『父と私の桜尾通り商店街』

第1話「白いセーター」を読んで、忘れられない記憶がよみがえってきた。

2019.3.15  なろう小説「無職転生」アニメ化企画進行中! 原作者・理不尽な孫の手がTwitterで明かす

数々のヒット作を輩出してきた「小説家になろう」を初期から支えるライトノベル『無職転生-異世界行ったら本気だす-』がアニメ化企画進行中であると発表。作者・理不尽な孫の手や、コミカライズ版を掲載している「コミックフラッパー」編集部がTwitterで明かした。

2019.3.13  第10回 野性時代フロンティア文学賞 選考結果のお知らせ

本日3月13日(水)午後4時より、第10回野性時代フロンティア文学賞(主催=株式会社KADOKAWA)の選考会が行われました。

2019.3.13  【今週はこれを読め! ミステリー編】拉致監禁犯の父との対決〜カレン・ディオンヌ『沼の王の娘』

一口で言うなら、あらかじめ奪われた人生を取り返す小説だ。

2019.2.26  【今週はこれを読め! SF編】総統になりそこねた男の「わが捜査」

「その女性は、いかにも知的なユダヤ女という顔つきをしていた」という、私立探偵のモノローグからはじまるハードボイルドである。彼女は、行方不明になった妹を捜してほしいという。それ自体は、よくある依頼だ。

2019.2.13  【今週はこれを読め! エンタメ編】アラフィフ世代に直球を投げ込む朝倉かすみ『平場の月』

特定の年齢層にとりわけ訴えかける名作というものがある。『かいけつゾロリ』シリーズはやはり小学生が読んでこそという気がするし(大人が読んでもおもしろいけど)、ライトノベルの類は中高生あたりの読者がボリュームゾーンであろう(10代だけに読ませておくのはもったいないと思うものも多くあるが)。そこで『平場の月』である。若い人が読んでも「大人っていろいろあるんだなあ」と感じ入るだろうし、もっと年配の人が読んでも「このくらいの歳の頃いろいろあったなあ」としみじみすると思うが、いわゆるアラフィフ(自分含む)が読んだらもうダイレクト。直球かつ剛速球が心の真ん中に投げ込まれた感じ。

2019.2.9  独占インタビュー「ラノベの素」 渋谷瑞也先生『つるぎのかなた』

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2019年2月9日に電撃文庫より『つるぎのかなた』が発売された渋谷瑞也先生です。第25回電撃小説大賞にて《金賞》を同作で受賞し、満を持してデビューされます。剣道を知らなくてもいい、読み終えた後に剣道がわからなくても構わない。ただこの物語を面白いと感じてもらえればそれでいい。剣道という舞台から降りた"元最強"と、孤独に頂点で君臨し続ける"現最強"が激突する時、少年少女たちの心情にどんな変化が訪れることになるのか、物語の内容や見どころについてお聞きしました。

2019.2.5  【今週はこれを読め! SF編】トリス、偽トリス、トリスタ、「自分である」ことの冒険

頭が痛い。意識が戻って最初に感じたのは、脳みそがひっかきまわされているような苦痛と、あと七日だよ、という笑い声だ。頭のなかで声がする。

2019.2.1  【今週はこれを読め! ミステリー編】運命に立ち向かう少女の物語『カッコーの歌』

今回採り上げるのはミステリーではない。分類するならばファンタジーなのだが、サスペンスの醸成が尋常ではなく巧く、物語が静から動に転じた後の展開の小気味よさったらない。何事が進行しているのか、という謎で引っ張る展開も素晴らしく、つまりは私がミステリーに求めているもののほとんどはここに入っているのである。本欄をお読みのミステリー・ファンのみなさんにも同じ気持ちを共有していただけるものと信じて。

現在話題の小説ランキング
現在話題の作家ランキング
広告
新刊売上ランキング
(書名はAmazonリンク)
    現在話題の賞ランキング
    最新小説ニュース
    (外部リンク)
    ブログ(更新履歴等)