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かるに関連する小説ニュースまとめ

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かる ニュース検索結果

2021.7.27  【今週はこれを読め! SF編】つぎつぎに立ちはだかる困難を超えて火星へ

別な時間線の1950年代を設定して、宇宙飛行士を目ざす女性たちの奮闘を描いた『宇宙へ』の続篇。

2021.7.26  作家の読書道 第231回:佐藤究さん

今年『テスカトリポカ』が山本周五郎賞と直木賞を受賞、注目を集める佐藤究さん。幼い頃はプロレスラーになりたかった福岡の少年が、なぜ本を読み始め、なぜ小説を書き始め、なぜ群像新人文学賞受賞後に江戸川乱歩賞で再デビューしたのか。そしてなぜ資本主義について考え続けているのか。直木賞発表前の6月、リモートでおうかがいしました。

2021.7.22  【今週はこれを読め! ミステリー編】ヴァランダー・シリーズ最後の書『手/ヴァランダーの世界』

――これはクルト・ヴァランダー・シリーズ最後の出版物である。このシリーズはこの本をもって終了する。

2021.7.21  【今週はこれを読め! エンタメ編】失恋の真相を解き明かす〜大石大『いつものBarで、失恋の謎解きを』

社会学とエンタメの融合という独特の境地を切り拓きつつある新鋭・大石大の長編第2作。本書では、主人公・大谷綾の過去の失恋の真相を解き明かしていく安楽椅子探偵ミステリー的な趣向が、最大の読みどころといえよう。

2021.7.14  第165回芥川賞は石沢麻依『貝に続く場所にて』、李琴峰『彼岸花が咲く島』、直木賞は佐藤究『テスカトリポカ』、澤田瞳子『星落ちて、なお』に決定!

第165回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)が発表された。選考会は7月14日(水)、都内で開催され、「芥川龍之介賞」は石沢麻依『貝に続く場所にて』、李琴峰『彼岸花が咲く島』に、「直木三十五賞」は佐藤究『テスカトリポカ』、澤田瞳子『星落ちて、なお』に決定した。

2021.7.6  【今週はこれを読め! SF編】日本SFにおけるマジックリアリズムの俊才

中井紀夫傑作選。なんとも嬉しい企画である。

2021.6.23  【今週はこれを読め! エンタメ編】過去にとらわれた男の旅〜遠田潤子『緑陰深きところ』

主人公の三宅紘二郎は、40年以上前に大阪・ミナミの外れで「河童亭」というカレー店を開いて、すでに70歳を過ぎた。

2021.6.9  【今週はこれを読め! エンタメ編】緊急事態宣言下の1日1編『Day to Day』

昨年緊急事態宣言が出たとき、いままでに経験したことのない状況に対しての不安や緊張感があった。非日常な空気に押しつぶされそうになり「本を読む気になれなくなった」という声をあげる方々も、かなりの数いらしたと記憶している。幸い私は文学作品に頼って過ごしており、昨年の春は1日1編の短い小説やエッセイに元気づけられる日々でもあった。リアルタイムで読んだ方も読めなかった方も、この機会にぜひ手に取られることをおすすめする。あの心細かった毎日をなんとかして乗り切ろうとしていた自分たちの必死さが、少しでも報われるような気がするから。

2021.6.8  田辺聖子さんの学生時代の日記見つかる 終戦の日の心境克明に

人生の機微を軽妙に語る小説やエッセーなどを数多く残し、おととし91歳で亡くなった作家の田辺聖子さんが、終戦の日を迎えた心境などを克明につづった学生時代の日記が見つかりました。「軍国少女」の一面がうかがえる一方で、戦争に振り回される境遇に対する率直な思いも記されています。

2021.6.5  朔太郎がスペイン風邪!? 感染知らせる 直筆書簡見つかる 前橋文学館で近く公開

前橋市出身の詩人萩原朔太郎(1886〜1942年)が、約100年前に世界的に大流行した「スペイン風邪」に感染していたとみられる内容を記した直筆書簡が見つかった。

2021.6.1  【今週はこれを読め! SF編】マイリンク、シェーアバルト、ブラックウッド......夢幻の境地に踏みいる

『幻想と怪奇』は雑誌の体裁だが書店の扱いは書籍だ。毎号、特集形式を取っているので、実質的にアンソロジーといってよい。こんかいはドイツ幻想小説の紹介者として名高い種村季弘さんの未発表翻訳が発見され、それをきっかけに企画が練られたそうだ。

2021.6.1  【今週はこれを読め! ミステリー編】台湾ミステリーの最高傑作『台北プライベートアイ』

これまで翻訳された台湾ミステリーの最高傑作ではないかと思う。

2021.5.28  作家の読書道 第229回:蛭田亜紗子さん

2008年に第7回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞を受賞、10年に『自縄自縛の私』(受賞作「自縄自縛の二乗」を改題)を刊行してデビューした蛭田亜紗子さん。現代人の日常を描く一方で、『凜』では大正期、開拓時代の北海道を舞台に過酷な環境を生きる男女を描き、最新作『共謀小説家』では明治期に小説執筆にのめりこんだある夫婦の話を描くなど、幅広い作風で活躍中。では蛭田さんが親しんできた作品とは? リモートでたっぷりおうかがいしました。

2021.5.21  【今週はこれを読め! ミステリー編】九歳の少年が出会う苛酷な世界『ブート・バザールの少年探偵』

少年が出会った世界には光が降りそそいでいたか。それとも。

2021.5.19  【今週はこれを読め! SF編】登場人物たちが暮らす秘密の図書館、書き換えられる初版本

犯罪小説、ホラー、ファンタジイと幅広く活躍するジョン・コナリーの短篇集。大部な原書Night Music: Nocturnes Volume 2から、書物や物語を題材とした四篇を選んでの邦訳だ。

2021.5.6  【今週はこれを読め! SF編】ゴールドラッシュの小惑星で繰りひろげられるアクションSF

ロバート・シルヴァーバーグ『小惑星ハイジャック』(創元SF文庫)

2021.5.6  【今週はこれを読め! ミステリー編】7つの作中作が登場する曲者小説『第八の探偵』

何をしてくるかわからない曲者はミステリーの世界では大歓迎なのだ。

2021.4.22  【今週はこれを読め! エンタメ編】成長していく少年の物語〜トレント・ダルトン『少年は世界をのみこむ』

本書の帯には「2019年オーストラリアで一番売れた小説」とあるが、そこから考えられるのはオーストラリア国民は相当に骨のある人々だということだ。

2021.4.20  【今週はこれを読め! SF編】そこにあるだけの奇跡、手を伸ばしつづける希望

エリザベス・ハンド『過ぎにし夏、マーズ・ヒルで』(東京創元社《創元海外SF叢書》)

2021.4.13  【今週はこれを読め! SF編】霊能者連続失踪事件を追うヴィクトリアン・ミステリ。

リサ・タトル『夢遊病者と消えた霊能者の奇妙な事件』(新紀元社)

2021.4.6  【今週はこれを読め! SF編】全銀河に反逆した種族「人類」、その最後の生き残りが主人公

ザック・ジョーダン『最終人類』(ハヤカワ文庫SF)

2021.3.27  作家の読書道 第227回:尾崎世界観さん

2001年にロックバンドのクリープハイプを結成、12年にメジャーデビュー。ヴォーカル、ギター、作詞作曲で活躍する一方、16年に小説『祐介』を発表した尾崎世界観さん。最新作『母影』が芥川賞にノミネートされるなど注目を浴びる尾崎さんは、どんな本を求めてきたのか。歌うこと、書くことについて切実な思いが伝わってくるお話です。リモートでインタビューを行いました。

2021.3.23  【今週はこれを読め! SF編】超スケールの宇宙SFから、歴史認識を扱った議論喚起的な作品まで

ケン・リュウ『宇宙の春』(早川書房《新☆ハヤカワ・SFシリーズ》)

2021.3.17  【今週はこれを読め! エンタメ編】重厚かつトリッキーな丸山正樹『ワンダフル・ライフ』

今回ご紹介する本は、【エンタメ編】という枠で取り上げるには少々ハードな内容かもしれない。気難しい障害者の妻と介護に疲れた夫の息が詰まるような生活ぶりを、読者は冒頭からさっそく読むことになる。

2021.3.3  【今週はこれを読め! エンタメ編】豪華ショートショート集『超短編! 大どんでん返し』

チョコレートのアソートボックスとかたくさんのネタが並んだお寿司桶とか、いろいろな種類が揃ったものってうれしいですよね。本書はまさにそんな本。アンソロジーといっても30人もの作家の作品が1冊で読める本って、なかなかないと思います。そんな夢のような企画が可能になったのは、掲載作品がほぼ4ページという「超短編」だから。

2021.2.27  作家の読書道 第226回:酉島伝法さん

2011年に「皆勤の徒」で第2回創元SF短編賞を受賞、造語を駆使した文章と自筆のイラストで作り上げた異形の世界観で読者を圧倒した酉島伝法さん。2013年に作品集『皆勤の徒』、2019年に第一長編『宿借りの星』で日本SF大賞を受賞した酉島さんは、もともとイラストレーター&デザイナー。幼い頃からの読書生活、そして小説を書き始めたきっかけとは? リモートでお話をおうかがいしました。

2021.2.17  【今週はこれを読め! SF編】夏への扉はなくても、猫がいればあたたかい

芝村裕吏『統計外事態』(ハヤカワ文庫JA)

2021.2.10  【今週はこれを読め! エンタメ編】年ごとに移ろいゆく家族の日常〜藤谷治『睦家四姉妹図』

「定点観測小説」が好きだ。定点観測小説というのはたったいま考えた名称だけれども、場所(=小説の舞台)が固定された状態で、同じキャラクターが年齢を重ねていくor違う登場人物たちが入れ替わり立ち替わり出てくるといった作品を念頭に置いている。ぱっと思いついたものでは、半世紀の間に同じアパートの五号室に暮らした歴代の住人たちが登場する『三の隣は五号室』(長嶋有)とかイングランドの荒野に建つ屋敷の人々を次世代まで描いた『嵐が丘』(エミリー・ブロンテ)とか(テイストはえらく違いますけど)。

2021.2.9  坂口安吾の未発表小説見つかる 未完の自筆原稿

「堕落論」や「不連続殺人事件」で知られる無頼派の作家、坂口安吾(1906~55年)が約80年前に書いた未発表小説の自筆原稿が、東京都内の古書店で見つかった。内容は美しい姉妹をめぐる愛憎劇で、専門家は「古典への関心など戦前の作品の特徴が出ている。戦後の作品との共通点もあり、今後の研究に役立つ」と話している。

2021.2.1  第72回読売文学賞…受賞6氏と作品

第72回読売文学賞(令和2年度)が決まりました。選考委員の選評を紹介します。

2021.1.26  【今週はこれを読め! SF編】陰に隠れた幻想小説の水脈の発見

橋本勝雄編『19世紀イタリア怪奇幻想短篇集』(光文社古典新訳文庫)

2021.1.13  【今週はこれを読め! エンタメ編】恐るべき筆力とユーモアが光る鈴木るりか『私を月に連れてって』

恐ろしい子! と私の内なる月影先生が発動してしまうくらい驚かされたのが、現役高校生作家・鈴木るりかさんの『私を月に連れてって』である。前作『太陽はひとりぼっち』でも十分すぎるほどの衝撃だったが、今回はさらに記録更新だ。もうほんと、私のように鈴木さんの倍以上歳をとっている人だって(いや、サバを読んだがほぼ3倍です)、こんなにおもしろい本を書ける人材などどれだけいることか。

2021.1.11  【今週はこれを読め! SF編】特殊な閉鎖環境のなか、「剃刀の刃のように細い線」をたどる叛乱

ピーター・ワッツ『6600万年の革命』(創元SF文庫)

2021.1.6  【今週はこれを読め! エンタメ編】地球滅亡までの1ヶ月の物語〜凪良ゆう『滅びの前のシャングリラ』

"地球の滅亡まであと○○"という物語に外れはない。ぱっと思いつく限りでは、『ひとめあなたに...』(新井素子/創元SF文庫)も『終末のフール』(伊坂幸太郎/集英社文庫)もそうだ。そして、新たにこの系譜に連なるのが本書。

2020.12.29  【今週はこれを読め! ミステリー編】私立探偵スカダーの長い歩み『石を放つとき』

私立探偵小説のすべてがここに詰まっている。

2020.12.16  【今週はこれを読め! エンタメ編】5人の「白野真澄」の短編集〜奥田亜希子『白野真澄はしょうがない』

たまーにエゴサーチというものをしてみることがある。とはいえ、私のような零細ライターではだいぶ下方にスクロールしていってようやく関連記事を見つけることができる程度だし、Twitterも炎上するほど閲覧されてもいないので気楽なものだ。常に検索上位にあがってこられる「松井ゆかり」さんは、タレントさんや格闘技の選手の方など。名前が同じというだけの他人ではあるが多少なりともご縁があるように思われて、画像などをじっと見つめてしまうことがある(もはやエゴサーチではない)。

2020.12.15  【今週はこれを読め! SF編】現実認識のテーマから、目くるめく神怪小説へ発展

第八回ハヤカワSFコンテスト優秀賞受賞作(前回紹介した竹田人造『人工知能で10億ゲットする完全犯罪マニュアル』と同時受賞)。

2020.12.9  【今週はこれを読め! エンタメ編】それぞれ味わいの異なるイヤミス短編集〜芦沢央『汚れた手をそこで拭かない』

ちょっと、みなさんご存じかしら? 独立短編集ってなかなか売れないんですって。

2020.12.8  【今週はこれを読め! SF編】高性能AIに挑む、落ちこぼれエンジニアとおかしなヤクザ

第八回ハヤカワSFコンテスト優秀賞受賞作。AI技術にかかわるアイデア満載の軽快エンターテインメントだ。とにかくセンスが抜群に良い。

2020.12.1  【今週はこれを読め! SF編】21世紀最初の十年紀を飾った注目のSF短篇を収めたアンソロジー

待望の2000年代傑作選である。十年ごとに区切ってのSF傑作選(英語で発表された作品を対象としたもの)は、中村融・山岸真編『20世紀SF』1~6(1940年代から90年代)、小川隆・山岸真編『80年代SF傑作選』、山岸真編『90年代SF傑作選』があり、本書はそれらを踏まえての企画である。

2020.11.24  【今週はこれを読め! SF編】ハイテク汚濁都市にあらわれた神話的存在感を放つ女

作者サム・J・ミラーは2000年代に作家活動をはじめているが、本格始動は2012年。翌13年にシャーリイ・ジャクスン賞短篇部門を受賞、それ以降、いくつもの賞の候補になり、年刊傑作選収録の常連となっている。本書は2018年刊行の第二長篇で、ジョン・W・キャンベル・ジュニア記念賞を受賞した。

2020.11.19  「全米図書賞」の翻訳文学部門に柳美里さんの小説

アメリカで最も権威のある文学賞「全米図書賞」の翻訳文学部門に、柳美里さんの小説「JR上野駅公園口」が選ばれました。

2020.11.18  【今週はこれを読め! エンタメ編】絵にすべてを懸けた絵師の姿〜谷津矢車『絵ことば又兵衛』

みんなちがって、みんないい。金子みすゞが命を削るようにして紡いだ言葉は、いまだ人々の心を完全に改めさせるには至っていない。まして、個性や多様性といったものが共通認識とされていなかった時代には、他者の身体面や行動面における特徴をあげつらうのにいま以上に躊躇がなかったのではないだろうか。

2020.11.17  【今週はこれを読め! SF編】銀河英雄伝説トリビュート・アンソロジー

もはや『銀河英雄伝説』は古典である。SFの基礎教養というレベルさえ超え、ミームとして浸透・機能している。本書は、『銀英伝』の設定を活かして、六人の作家がオリジナル・エピソードを繰り広げる競作アンソロジーだ。

2020.11.11  【今週はこれを読め! エンタメ編】ぐっちゃぐちゃなところがいい!〜中島たい子『かきあげ家族』

この本、映画好きのみなさんはお読みになった方がいいです。次々にいろんな映画のタイトルや俳優・監督の名前が出てきて、しかもそれらが絶妙な使われ方をしてるんですよ。例えば、「若くはない引きこもりの息子を久しぶりに観て、八郎は自分は『2001年宇宙の旅』のボーマン船長のように、ワンシーンで一気に老け込んだ気持ちになるのだった」といった感じで。

2020.10.24  作家の読書道 第222回:武田綾乃さん

学生時代に作家デビュー、第2作「響け!ユーフォニアム」がいきなりアニメ化され人気シリーズとなった武田綾乃さん。さまざまな青春を時にキラキラと、時にヒリヒリと描く武田さんはどんな本を読み、どんな思いを抱いてきたのか。お話は読書についてだけでなく、好きなお笑い芸人や映像作品にまで広がって…。意外性に満ちたインタビューをお楽しみください!

2020.10.7  【今週はこれを読め! エンタメ編】クリムトの絵をめぐる壮大な騙し合い~望月諒子『哄う北斎』

学校で通知表をもらっている間ずっと図工や美術で芳しくない成績を取り続けてきた身なれど、アートものの小説は最も食指を動かされる分野のひとつ。よくあるでしょう、自分にないものに憧れる心理というやつ。

2020.10.6  【今週はこれを読め! SF編】映像は武器たりえるか、レンズを通して語る女たちの年代記

書き下ろし長篇。ひとつの物語が順々に語られていくのではなく、いくつものエピソードが嵌めこまれている。エピソード間の連続性が明らかなものもあれば、断片的に挿入されるものもある。また、別のエピソードとつながるように思えるが、ずいぶん先まで読まないとその関係が見えてこないものもある。技巧的に設計されたモザイク小説というより、撮りためたドキュメンタリーフィルムのように未完成の部分を残しているかんじだ。整理しきらないからこそ伝わる迫真がある。

2020.9.15  【今週はこれを読め! SF編】異質な敵の全容、失われた文明の謎、そして秘匿された人類史

林譲治による本格ハードSFシリーズがついに完結した。

2020.9.9  【今週はこれを読め! エンタメ編】誰もが輝くバスケ小説〜藤岡陽子『跳べ、暁!』

バスケットボールって、ほんとうにハードなスポーツだというイメージがある。ほぼずーっと走りっぱなし、手も足も使う、ジャンプ力も要求される。未経験者からすると、こんなにいっぺんにいろんなことをしなければならないのが信じられない。しかも、チームワークまでが重要になってくるのだ。

2020.9.8  【今週はこれを読め! SF編】迷路を進むと〈薄暮〉が追いかけてくる。歴史も人生も。

映画化された超大作『クラウド・アトラス』で知られるデイヴィッド・ミッチェルが、2014年に発表した長篇。世界幻想文学大賞を受賞した。

2020.9.1  【今週はこれを読め! SF編】1950年代の宇宙移住計画、宇宙飛行士を目ざす女性の奮闘

1950年代のアメリカ。性差別・人種差別が根強く残る時代に、宇宙飛行をめざす女性たちがいた。第二次大戦中に婦人操縦士隊のメンバーとして従軍したベテラン、あるいは地域の〈航空クラブ〉で空を飛ぶ醍醐味を覚えた者、さらに物語が進むと海外からの志願者も加わる。彼女たちは人種も社会的地位もキャリアも異なる。ただ「宇宙を飛びたい」という情熱は共通だ。

2020.8.31  【今週はこれを読め! ミステリー編】鼻つまみものの刑事の危険な小説『笑う死体』

探偵は信用できないが、謎解きのためには作者を信頼するしかない。

2020.8.25  【今週はこれを読め! SF編】美をめぐる真正と倫理を、SFの設定とミステリの構成で描く

地球の衛星軌道上に建造された博物館天体〈アフロディーテ〉を舞台とするシリーズ三巻目。絵画・工芸・音楽・舞台・文芸・動物・植物などありとあらゆる美が網羅され、データベースに頭脳を直結させた学芸員が活躍している。

2020.8.11  【今週はこれを読め! SF編】新たな壮途へ乗りだした年刊日本SF傑作選

創元SF文庫で十二年つづいた《年刊日本SF傑作選》を後継するアンソロジー・シリーズ。版元を移した経緯や、編者が大森望・日下三蔵のタッグチームから大森ソロへ変わったことなど「序」で語られているが、支障なく友好的に運んだようだ。まずは欣快。

2020.8.6  【今週はこれを読め! エンタメ編】幸せは一種類じゃない!〜桂望実『結婚させる家』

理想のあり方、というものがある。ある、というか、一般的にそれが理想だとみなされているテンプレートがある。その最たるものが、理想の家族像ではないだろうか。両親が揃っている、子どもはふたりくらい、できれば庭付きの一軒家、といったあたりが最も必要とされる条件に違いない。

2020.7.25  作家の読書道 第219回:今村翔吾さん

2017年に『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』を刊行してデビュー、翌年『童神』(刊行時に『童の神』と改題)が角川春樹小説賞を受賞し、それが山田風太郎賞や直木賞の候補になり、そして2020年は『八本目の槍』で吉川英治文学新人賞を受賞と、快進撃を続ける今村翔吾さん。新たな時代小説の書き手として注目される今村さんは、いつ時代小説に魅せられ、何を読んできたのか? 軽快な語り口調でたっぷり語ってくださいました。

2020.7.15  【今週はこれを読め! エンタメ編】"意外性の作家"の短篇集〜津村記久子『サキの忘れ物』

津村記久子さんって思っていたのとはちょっとイメージの違う作家かもしれない、と思ったのは「フェリシティの面接」という短編を読んだときだ。アガサ・クリスティが生んだ名探偵エルキュール・ポアロの秘書であるミス・レモンが活躍する軽妙な作品で、『名探偵登場!』(筒井康隆他/講談社文庫)というアンソロジーに収録されている。津村作品といえば"職業小説(往々にしてパワハラあり)"という印象が強かったのだが、こんなミステリー絡みのしゃれた作品を書かれるとは思っていなかった(職業小説ではある)。「フェリシティの面接」は、読書好きの方でもあまりご存じでないような気がするので(Wikipediaの津村さんのページにも載っていなかった)、ぜひこちらもお手にとっていただけたら。

2020.7.8  【今週はこれを読め! エンタメ編】甲子園を整備するプロの仕事〜朝倉宏景『あめつちのうた』

もともと激ユルだった私の涙腺は、加齢とともに衰弱の一途をたどっている。にしても、我ながらいくら何でも泣きすぎだろうと思ったのが、数年前高校野球をテレビで見ていた際にまっすぐに引かれたグラウンドの白線を見て涙ぐんでしまったことだ。「ああ、こんなに美しくグラウンド整備をすることで、選手たちを支えるスタッフがいらっしゃる...!」と感極まり、一緒に見ていた家族たちを震撼させた。いま思えば、あのときの私は阪神園芸さんの芸術的な仕事ぶりに胸を打たれていたのか...。

2020.7.1  【今週はこれを読め! エンタメ編】"エンターテインメント小説界の至宝"の家族小説〜遠田潤子『銀花の蔵』

「エンターテインメント小説界の至宝」は、私が独断で作家・遠田潤子のキャッチコピーとして使用しているフレーズである(遠田作品のレビューではこれからもどんどん使っていこうと思ってます)。

2020.6.27  作家の読書道 第218回:藤野可織さん

不穏な世界を時に美しい言葉で、時に奇想を炸裂させた設定で描き出す藤野可織さん。2013年には『爪と目』で芥川賞を受賞、最近では女性2人が破滅に向かう世界で活き活きと冒険する『ピエタとトランジ<完全版>』が評判に。この世界観を生み出す背景に、どんな読書遍歴があったのでしょう? 小説だけでなく、影響を受けた漫画や好きな映画や俳優についてもたっぷり教えてくださいました。

2020.6.26  遠藤周作の未発表小説「影に対して」発見 死去後初めて 長崎

江戸時代のキリシタン弾圧をテーマにした代表作「沈黙」で知られる作家、遠藤周作の未発表だった小説が長崎市で見つかりました。

2020.6.24  【今週はこれを読め! エンタメ編】読書嫌いと本の虫の青春ミステリー〜青谷真未『読書嫌いのための図書室案内』

読書家の登場人物が出てきたり、本にまつわる施設(書店・図書館・学校図書室など)が舞台となったりするような小説、たいていの読書好きの好みのどストライクだろう。本書は図書委員の高校生男子が主人公、同じクラスのもうひとりの委員は本の虫である女子、まさに舞台は整った状態。主人公が本が苦手、というのも何ら興を削ぐものではない。

2020.6.23  【今週はこれを読め! SF編】二重の有徴を背負った人生、呪われた天分、世界を護り/滅ぼす才能

《破壊された地球》三部作の開幕篇。待望の邦訳である。

2020.6.3  【今週はこれを読め! エンタメ編】料理をめぐる実力派作家のアンソロジー『注文の多い料理小説集』

新型コロナウィルス感染症拡大防止のため、このところ何か月にもわたって我々はさまざまな不自由を耐え忍んでいる。

2020.6.2  【今週はこれを読め! SF編】里程標的作品から現代の新鮮作まで、人狼テーマの饗宴

『幻想と怪奇』第2号は、特集「人狼伝説 変身と野生のフォークロア」。

2020.5.28  【今週はこれを読め! ミステリー編】人間の残酷さを浮かび上がらせる作品集『おれの眼を撃った男は死んだ』

シャネル・ベンツ『おれの眼を撃った男は死んだ』(東京創元社)には、優れた短篇に与えられるO・ヘンリー賞を2014年に獲得した「よくある西部の物語」を含む10の小説が収められている。知っている限りベンツが邦訳されるのはこれが初めてだ。テネシー州メンフィス在住で、ローズ・カレッジで教鞭を執っているという以外の経歴はわからない。

2020.5.26  【今週はこれを読め! SF編】7分間のお楽しみ。いずれ劣らぬ十一篇。

昨夏に刊行された『5分間SF』につづく、草上仁の短篇集。〈SFマガジン〉に1991年から2006年にかけて発表された十篇に、書き下ろしの一篇を加えた一冊だ。

2020.5.21  【今週はこれを読め! ミステリー編】達人ミネット・ウォルターズの性格劇『カメレオンの影』

ミステリーの興趣は性格喜劇、もしくは悲劇のそれにつながる。

2020.5.20  【今週はこれを読め! エンタメ編】農業にまつわる8つの物語〜瀧羽麻子『女神のサラダ』

私の父方の祖父母は現代においてはめっきり少なくなった専業農家だったのだが、本書を読んで自分が農業について全然わかっていないということがわかった。毎日食べるものを作ってもらっているというのに。まして生産者の方々の気持ちなど、なおさら理解できていなかった。

2020.5.19  【今週はこれを読め! SF編】初期筒井短篇の社会批判と心理的題材

ユニークな海外SF翻訳によって、俄然、読者の期待を集めている竹書房が、日本SFにも乗りだした。第一弾は、筒井康隆初期短篇の再編集版。編者はファンにはお馴染みの日下三蔵さんだ。以前に編んだ『日本SF傑作選1 筒井康隆 マグロマル/トラブル』(ハヤカワ文庫JA)と対になる内容とのこと。

2020.4.29  【今週はこれを読め! エンタメ編】"最後の文士"の告白〜岩井圭也『文身』

主人公の庸一は、最初に就職した工場で自分の名前の漢字を聞かれて「凡庸の庸」と答えた。しかし、実際には凡庸どころの話ではない。須賀庸一という人間は、まぎれもなく希有な存在だと思う。

2020.4.25  作家の読書道 第217回:乗代雄介さん

2015年に「十七八より」で群像新人文学賞を受賞して作家デビュー、2018年に『本物の読書家』で野間文芸新人賞を受賞、今年は「最高の任務」で芥川賞にノミネートされ注目度が高まる乗代雄介さん。たくさんの実在の書物の題名や引用、エピソードが読み込まれる作風から、相当な読書家であるとうかがえる乗代さん、はたしてその読書遍歴は?

2020.4.23  【今週はこれを読め! ミステリー編】颯爽と八方破れな『弁護士ダニエル・ローリンズ』登場!

人生に絶望するにはまだ早い、と教えてくれる小説である。

2020.4.15  【今週はこれを読め! エンタメ編】痛快女子バディ物語『ピエタとトランジ〈完全版〉』登場!

「痛快」という言葉がこれほど似合う小説に出会ったのは久しぶり。本書は連作短編集で、ふたりの女子(と呼んでいてもいいのかどうかわからない年齢になるまで彼女たちの仲は続いていくのだけれど)のクールで熱い物語が展開していく。

2020.4.14  【今週はこれを読め! SF編】ふたつの偽史が結ぶ真実の因果

日本ファンタジーノベル大賞2019受賞作。古代中国を思わせる世界「伍州」を舞台とした伝奇ファンタジイだが、テキストの構成に再帰的な企みがあり、なおかつ超弩級スペクタクルのSF的アイデアが投入される。じつに読みどころの多い作品である。ヒロイン「瑤花」の飄然としたキャラクターも魅力的だ。

2020.4.7  【今週はこれを読め! SF編】〈ホテル・アルカディア〉の芸術家たち、その他の物語

「吉田同名」で第七回創元SF短編賞を受賞してデビュー、同作を含む短篇集『半分世界』で第三十九回日本SF大賞の候補となった俊英作家の初長篇。ジャンルSFの枠組みに収まらない奇想性(マジックリアリズムの感覚とコラージュ的なテクスト性がせめぎあうとでも言えばよいか)が石川さんの持ち味だが、それが大規模に展開されている。

2020.3.28  作家の読書道 第216回:青山七恵さん

大学在学中に書いて応募した『窓の灯』で文藝賞を受賞してデビュー、その2年後には『ひとり日和』で芥川賞を受賞。その後「かけら」で川端康成賞を受賞し、短篇から長篇までさまざまな作品を発表している青山七恵さん。衝撃を受けた作品、好きな作家について丁寧に語ってくださいました。

2020.3.27  2020年5月6日(水祝)「第三十回文学フリマ東京」開催中止のお知らせ

5月6日に開催を予定していた「第三十回文学フリマ東京」は、中止といたします。

2020.3.26  【今週はこれを読め! ミステリー編】非道な犯罪者の殺し合い祭りに興奮!『七つの墓碑』

刑務所帰りの男対謎の連続殺人鬼、これすなわち興奮っ。

2020.3.17  【今週はこれを読め! SF編】〈暦法〉宇宙国家への異端の侵攻。めくるめく展開のスペースオペラ。

エキゾチックな設定のもとで展開されるモダン・スペースオペラ。原書は2016年に刊行され、ローカス賞第一長篇部門を受賞している。

2020.3.13  第11回〈小説 野性時代 新人賞〉 選考結果のお知らせ

3月13日(金)午後4時より、第11回〈小説 野性時代 新人賞〉の選考会が行われました。応募総数440作品の中から最終選考に残った4作品のうち、選考委員の厳正なる審査により、蝉谷魚ト(せみたに・とと)さんの『化け者心中』が大賞に決まりました。蝉谷さん、おめでとうございます!

2020.3.11  【今週はこれを読め! エンタメ編】リアルさに惹きつけられる絲山秋子『御社のチャラ男』

題名からして傑作の予感しかしない、と思った。「御社」と「チャラ男」のミスマッチ感は、作品自体の万華鏡めいたおかしみにも通じるものがある。

2020.2.22  作家の読書道 第215回:相沢沙呼さん

『medium 霊媒探偵城塚翡翠』が2019年末発表のミステリランキングで3冠を達成、今年は同作が2020年本屋大賞ノミネート、第41回吉川英治文学新人賞候補となり、さらに『小説の神様』(講談社タイガ)が映画化されるなど、話題を集める相沢沙呼さん。そんな相沢さんが高校生の時に読んで「自分も作家になりたい」と思った作品とは? 小説以外で影響を受けたものは? ペンネームの由来に至るまで、読書とその周辺をたっぷりおうかがいしました。

2020.2.19  【今週はこれを読め! エンタメ編】夢に向かって進む女子の物語〜柴田よしき『お勝手のあん』

ところは日本、ときは安政の世。だけど『お勝手のあん』は、まぎれもなく『赤毛のアン』の系譜につながる少女小説だった。時代の波に流されずに男女の別や身分の違いに抗って生きることに少しずつ目覚めていく主人公・やすの姿には、現代を生きる我々も勇気づけられる。

2020.2.14  「坊っちゃん文学賞」北海道在住30代女性の作品が大賞に 松山

青春文学を志す新人作家の登竜門となっている松山市の「坊っちゃん文学賞」は、ショートショートに特化する新しい形になった今回、北海道在住の30代の女性の作品が大賞に選ばれました。

2020.2.10  【今週はこれを読め! ミステリー編】染み入るような警察小説『カタリーナ・コード』

染み入るような、という表現はこういう小説のために使うべきなのだろう。

2020.2.9  夏目漱石の小説 12作品の自筆原稿が所在不明「文化遺産が…」

文豪 夏目漱石が書いた代表的な小説のうち半数にあたる12作品について、自筆原稿の所在が確認できなくなっていることが分かりました。調査を行った専門家は、自筆原稿は作品の成立過程をたどる貴重な資料だとして「かけがえのないものであり、大切に受け継いでいくことが必要だ」と指摘しています。

2020.2.4  【今週はこれを読め! SF編】ハイテク廃棄物のディストピア、最周縁から世界を批判する哀しきモンスター

現代中国SFの話題作。サイバーパンクの系譜を引く近未来ディストピアを、アクション・ノワールの味わいに仕上げている。さながらパオロ・バチガルピの好敵手といったところだ。

2020.1.28  【今週はこれを読め! SF編】悲しげな歌を歌う怪獣、全体主義に抗う《人間》

原著は1965年刊。邦訳は、まず67年に大光社《ソビエトS・F選集》の一冊として『怪獣17P』の題名で刊行、78年にはサンリオSF文庫で原題に即した『旅に出る時ほほえみを』として再刊、そして歳月を経たいま、こうして白水Uブックス《海外小説 永遠の本棚》に収められた。つごう三回、それぞれ傾向の異なるレーベルで、それぞれの読者層へと届けられたわけだ。それだけの力を持った名作である。

2020.1.21  詩人、ラテンアメリカ文学研究者の田村さと子さん死去

詩人でラテンアメリカ文学研究者の田村さと子さん=本名・川村さと子=が19日、乳がんのため死去した。

2020.1.15  芥川賞に古川さん「背高泡立草」 直木賞に川越さん「熱源」

第162回芥川賞と直木賞の選考会が東京で開かれ、芥川賞は古川真人さんの「背高泡立草」、直木賞は川越宗一さんの「熱源」が、それぞれ選ばれました。

2020.1.15  【今週はこれを読め! エンタメ編】想像のななめ上を行く展開にびっくり〜町田そのこ『うつくしが丘の不幸の家』

『うつくしが丘の不幸の家』。果たしてどのような物語だろうか。「うつくしが丘」という地名は素敵な感じ、しかしより注目すべきは「不幸の家」というキーワードだろう→「不幸」というからには不幸なのだろう。...ということで、私が想像したのはイヤミスだった。

2020.1.14  【今週はこれを読め! SF編】ラヴクラフトを切歯扼腕させる十六篇

H・P・ラヴクラフトの系譜に連なるフィクションは、ひとつの文芸ジャンルを形成するほどである。ご本尊はその気はなかったのだろうけれど、彼の死後、オーガスト・ダーレスによって体系化された「クトゥルー神話」が、合い言葉さえ唱えればだれでも入会できる結社というか、わかりやすいアイテムに満ちた二次創作製造エンジンのようなもので、それが自走的に機能しているのだ。

2020.1.7  【今週はこれを読め! SF編】横たわるグリオール以前と、死んだグリオール以後

『竜のグリオールに絵を描いた男』につづく、シリーズ第二短篇集。この欄で前作を取りあげたおりにふれたが(http://www.webdoku.jp/newshz/maki/2018/09/11/173735.html)、麻痺状態で横たわりながらも成長をつづける超巨大竜グリオールをめぐる物語だ。グリオールは人間を操るとひとびとは信じている。しかし、実際に竜の意志がテレパシー的に働いているのか、それとも人間の心にある呪術信仰による誘導なのか、あるいは運命論的な見立てで事後に物語化されるのか、判然としない。そこから醸しだされる靄のような感覚がじつにみごとだ。定型的なファンタジイ設定にはおさまらない世界である。

2020.1.6  冬アニメ『魔術士オーフェンはぐれ旅』原作者・秋田禎信さん&オーフェン役・森久保祥太郎さんインタビュー|森久保さんが現場一番の若手から若手を引っ張る座長へ

1994年に小説連載が始まり、1998年にアニメ化、2019年には舞台化と、長年に渡ってたくさんのファンに愛され、様々な展開を見せてきた『魔術士オーフェンはぐれ旅』。

2019.12.28  作家の読書道 第213回:河﨑秋子さん

東北と北海道で馬と暮らす人々を描いた物語『颶風の王』で注目され、単行本第二作『肉弾』で大藪春彦賞を受賞、新作短編集『土に贖う』も高い評価を得ている河﨑秋子さん。北海道の酪農一家で育ち、羊飼いでもあった彼女は、どんな本を読み、いつ小説を書きはじめたのか。これまでのこと、これからのことを含め、たっぷりと語っていただきました。

2019.12.25  【今週はこれを読め! エンタメ編】子供たちに愛され続ける"あの人"の伝記『サンタクロース少年の冒険』

サンタクロースは存在する。この本を読めばわかる。「サンタクロースはいる」派vs.「いない」派の長年に渡る論争にようやく終止符が打たれたといえるのではないか。

2019.12.24  【今週はこれを読め! SF編】寄稿者の持ち味が十二分に発揮されたオリジナル・アンソロジー

創元SF短編賞出身作家を中心に編まれたオリジナル・アンソロジー《Genesis》の第二巻。第一巻『一万年の午後』(http://www.webdoku.jp/newshz/maki/2019/01/08/144902.html)と同様、ホームグラウンドだけに、寄稿者それぞれが自分の持ち味をのびのびと発揮している。

2019.12.19  【今週はこれを読め! ミステリー編】軽業のように飛翔してゆく物語『パリのアパルトマン』

不動産屋の手違いから、見ず知らずの男女が一つ屋根の下で共同生活を送り始める話。

2019.12.18  【今週はこれを読め! エンタメ編】音楽が聴こえてくるような短編集〜恩田陸『祝祭と予感』

優れた音楽小説であり、さらに直木賞と本屋大賞の両方を受賞した『蜜蜂と遠雷』の愛読者にはたまらないファンブック的な要素も持ち合わせているのが本書。私にとっても『蜜蜂と遠雷』はその年に読んだ本のベストだったので(確か朝井リョウさんも同じ趣旨のことを語ってらして、意を強くしたものです)、『祝祭と予感』は期待を胸に読み始めたのだが、もう涙ものだった。

2019.12.10  【今週はこれを読め! SF編】複雑にもつれる多民族・多文化の未来史

アリエット・ド・ボダールは2006年から作品発表をはじめ、これまでにネビュラ賞、ローカス賞、英国SF協会賞を受賞し、各種の年刊SF傑作選へも多くの作品が採られている、旬の作家だ。彼女がデビュー直後から書きついでいるシリーズ《シュヤ宇宙》は、コロンブスと同時期に中国人がアメリカ大陸に到着し、独自の植民地文化を発展させた時間線上に展開する、長大なスケールの人類史だ。本書は、同シリーズこれまでに発表された31作品のうちから、9作品を選んで訳出した日本オリジナル短篇集だ。

2019.12.4  【今週はこれを読め! SF編】斬新なアイデアで展開される、決定論と自由意志をめぐる哲学的洞察

今年五月に原書刊行されたばかりのテッド・チャンの第二短編集。この早さでの邦訳は嬉しい。(12月4日発売)

2019.11.21  【今週はこれを読め! ミステリー編】スリル満点のリンカーン・ライムシリーズ最新作『カッティング・エッジ』

スリラー。文字通りスリルを掻き立てることを目的にした娯楽作品だ。

2019.11.14  【特集】『エリスの聖杯』刊行記念特別企画 常磐くじら先生×大森藤ノ先生スペシャル対談インタビュー

2019年11月15日頃に発売されるGAノベル刊『エリスの聖杯』の刊行を記念して、著者である常磐くじら先生と、本作の熱烈なファンであり、書籍化のきっかけとなったGA文庫刊『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』の大森藤ノ先生をお招きしてのスペシャル対談インタビューをお届けする。『エリスの聖杯』が書籍化に至るまでの道のりと、大森藤ノ先生が激賞する物語やキャラクターについて、さらにはお二人の視点から見る「悪役令嬢やダークヒーローの魅力」など、幅広く語っていただいた。

2019.11.13  【今週はこれを読め! エンタメ編】相談&活劇の大石大『シャガクに訊け!』

社会学部。どのような学問をする場なのか、わかるようで実態がよくわからない気がしていたのは私だけだろうか(うちの場合、次男が実際に社会学部生だったりするのに)。

2019.11.12  【今週はこれを読め! SF編】「宇宙」と「時間」、対になった二冊のテーマ・アンソロジー

二冊組みのアンソロジー。いっぽうは「宇宙」、もういっぽうが「時間」がテーマだ。作品を寄せているのは、創元SF短編賞からデビューした俊英たちである。

2019.11.6  【今週はこれを読め! エンタメ編】鈴木るりか『太陽はひとりぼっち』を先入観なしで読むべし!

「そんなこと、○○しなくたってわかるだろ」というのは、概ね些細なものと相場が決まっている「○○する」手間すら省きたい横着者の言い訳に他ならない。「愛してるなんて言わなくたってわかる」という相手とはしばしば大げんかに発展しがちだしし、「説明書なんて読まなくたってわかる」と言って設置した電化製品はだいたい動かず、「メモなんてしなくたってわかる」と油断した買い物は忘れる。

2019.10.27  【今週はこれを読め! ミステリー編】最も読むべき翻訳ミステリー・アンソロジー『短編ミステリの二百年vol.1』

21世紀に入ってから、という限定付きではあるが、これは最も読むべき翻訳ミステリー・アンゾロジーになるであろう。

2019.10.26  作家の読書道 第211回:又吉直樹さん

お笑い芸人として活躍する一方で読書家としても知られ、発表した小説『火花』で芥川賞も受賞した又吉直樹さん。著作『第2図書係補佐』や新書『夜を乗り越える』でもその読書遍歴や愛読書について語っていますが、改めて幼少の頃からの読書の記憶を辿っていただくと、又吉さんならではの読み方や考察が見えてきて……。

2019.10.22  【今週はこれを読め! SF編】謎解きミステリと時間SFとのあまりにみごとな融合

鮎川哲也賞を受賞したデビュー作。時間SFとパズラーを組みあわせた意欲作。タイムトラベルも本格推理も、破綻なくストーリーを語り進め、読者の予想を超える結末にたどりつくためには、強度のあるロジックが要求される。本作は、その要件を高いレベルでクリアしている。途中、登場人物が奇異に思える行動に出る場面もあるけれど、それはその人物の来歴や性格によるものとして、じゅうぶん了解可能だ。

2019.10.21  【今週はこれを読め! ミステリー編】確かな足元が崩れ落ちるリンドクヴィスト『ボーダー 二つの世界』

足元に確かにあったはずの地面がふっと消失し、無限の落下が始まる。

2019.10.16  【今週はこれを読め! エンタメ編】涙あり笑いありの桂望実『たそがれダンサーズ』

タイトルに「たそがれ」とあるからには、キラキラの若さみなぎるテイストの小説ではないと予想がつくのではないだろうか。

2019.10.15  【今週はこれを読め! SF編】異常な光景の描写と巧みなストーリーの背後に、アメリカの歪みや傷を映しだす

四つの中篇を収録した作品集。空想的要素の度合いとその扱いは、作品ごとに違っている。

2019.10.10  ポーランドとオーストリアの作家に=ノーベル文学賞、昨年分も-日本人への授賞なし

【ロンドン時事】スウェーデン・アカデミーは10日、2018年のノーベル文学賞をポーランドの女性作家オルガ・トカルチュクさん(57)に、19年の同賞をオーストリアの男性作家ペーター・ハントケ氏(76)にそれぞれ授与すると発表した。期待された村上春樹氏(70)ら日本人作家への授賞は今年もなかった。

2019.10.8  【今週はこれを読め! SF編】著者初の短篇集。文化と歴史への洞察と、卓越した構成力、語りの技巧。

小川哲はハヤカワSFコンテストに投じた『ユートロニカのこちら側』で大賞を射止めてデビュー、受賞後第一作となる『ゲームの王国』で日本SF大賞と山本周五郎賞を受賞。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いである。現代社会がはらむ諸問題への怜悧な眼差しと、複線的なストーリーを緊密に束ねる卓越した構成力は、舌を巻くばかりだ。

2019.10.1  【今週はこれを読め! SF編】有無を言わせぬ怒濤の展開! 正調ワイドスクリーン・バロック!

ブライアン・W・オールディスが激賞、この作品のために「ワイドスクリーン・バロック」なるサブジャンル呼称を提唱までした話題作がついに翻訳された。

2019.9.27  【今週はこれを読め! ミステリー編】著者自身がワトソン役の謎解き小説『メインテーマは殺人』

一口で言うなら信頼関係がないホームズとワトスンなのである。

2019.9.21  【今週はこれを読め! ミステリー編】何が起こるかわからない『11月に去りし者』

小説は思いがけないことが起こるからおもしろい。

2019.9.17  【今週はこれを読め! SF編】SFというジャンルを問い直しつづけた年刊傑作選の、これが最終巻。

2008年刊行の『虚構機関』から12巻を数えた《年刊日本SF傑作選》もこれが最終巻。前年に発表された作品のなかから(しかも掲載媒体を問わず)、優れたSFを選びぬくという途轍もない労力をたゆまずにつづけてきた編者のおふたりには、感謝の気持ちしかない。このアンソロジーのおかげで現代日本SFの見通しがぐんと良くなった。傑作の紹介だけにとどまらず、SFというジャンルを問い直す契機を与えてくれた。

2019.9.11  【今週はこれを読め! エンタメ編】心を揺さぶる至言の宝庫〜ジュンパ・ラヒリ『わたしのいるところ』

複数の人間が万事においてまったく同じ考え方や感じ方をすることはあり得ない。他者に対して大多数の人間は、「だいたい同じような考え方をするけど、こういう点については違う」か「ほとんど似たところはないけど、こういう面は共感できる」か「似通った部分もあれば、そうでない部分もある」かのいずれかの気持ちを持つものではないだろうか(「全否定」に当てはまる他者というのはそう多くない、はず)。

2019.9.6  【今週はこれを読め! ミステリー編】夏の終わりに読みたい二つの中編『エレベーター』『わが母なるロージー』

暑さ寒さも彼岸までと言う。まだ夏が終わらないうちに、この本を読んでしまおう。

2019.9.4  【今週はこれを読め! エンタメ編】繊細で骨太な『掃除婦のための手引き書』がかっこいい!

酒に溺れる日々。家族からの虐待。家庭の経済状況の極端な浮き沈み。私にとってはこれまでの人生で縁のないものだ。なのになぜ、ルシア・ベルリンの描く痛みが自分と近しいもののように感じてしまうのだろうか。

2019.9.3  【今週はこれを読め! SF編】手強い異存在との意思疎通と、未知の文明の調査

人気ミリタリーSFシリーズ《星系出雲の兵站》第二部の開幕篇。たんに地上の戦争を宇宙へと移植したアクションストーリーではなく、現実的な天文物理をふまえた条件と、SFならではの「異質な知性」に関わるアイデアが、この作品の大きな価値だ。そして表題に「兵站」とあるように、ハデな戦闘よりもそれを支える生産力、前線まで物資を届ける補給計画、戦時下の政治などに重点を置いて、いくつものエピソードが重ねられる。まことにシブいSFである。

2019.8.30  独占インタビュー「ラノベの素」 タンバ先生『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い』

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2019年9月1日にスニーカー文庫より『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い』が発売されるタンバ先生です。帝位争いが激化する帝国内において、出涸らし皇子とバカにされる一人の皇子が、双子の弟を帝位につかせるために暗躍を始めるファンタジーシリーズ。作品の裏側や内容についてはもちろん、2つの顔を有する主人公の暗躍の魅力、そして本作の見どころについてお聞きしました。

2019.8.27  【今週はこれを読め! SF編】ゲンロン出身作家の意欲作から、ベテラン津原泰水の傑作戯曲まで

オリジナルアンソロジー・シリーズ《NOVA》の最新刊。前巻より、雑誌のような巻号表記となった。

2019.8.24  作家の読書道 第209回:吉川トリコさん

2004年に「ねむりひめ」で第3回「女による女のためのR-18文学賞」で大賞と読者賞を受賞した吉川トリコさん。以来、映像化された『グッモーエビアン!』や、あの歴史上の女性の本音を軽快な語り口で綴る『マリー・アントワネットの日記』、そして新作『女優の娘』など、女性、少女を主なモチーフにさまざまな小説を発表。その作風に繋がる読書遍歴を語ってくださいました。

2019.8.20  【今週はこれを読め! SF編】自由意志をめぐる鋭角的な思考実験を、青春小説のスタイルで語りきる

粒ぞろいの短篇集。収録作六篇がどれも年間ベスト級の傑作である。事実、「なめらかな世界と、その敵」「ゼロ年代の臨界点」「美亜羽へ贈る拳銃」「ホーリーアイアンメイデン」の四篇は、創元SF文庫の年刊日本SF傑作選(大森望・日下三蔵編)に採られている。あとの二篇は、ポストサイバーパンクの異色作「シンギュラリティ・ソヴィエト」と、書き下ろしの「ひかりより速く、ゆるやかに」。

2019.8.9  【今週はこれを読め! ミステリー編】『イヴリン嬢は七回殺される』に引き込まれる!

アドヴェンチャー・ゲームが好きな人は絶対にはまる。

2019.8.7  【今週はこれを読め! エンタメ編】音楽に打ち込む若者たちの青春ミステリー『下北沢インディーズ』

バンドというものに多大なる憧れがあるのは、志を同じくする者同士が音楽をやりたいという情熱に駆られて集うものに違いないというイメージがあるからかもしれない(実際には「暇だな〜バンドでもやる?」「やってみっか」的なノリの場合もあるのだろうか。それはそれでまたよし)。個人的な萌えポイントは、幼い頃からの友だち同士がバンドを組むケース。早ければ早いほどいい。flumpool(幼稚園から)やUVERworld(保育園から)などは涙が出るほどありがたい。先日も、バナナラマのサラとカレンが4歳からの幼なじみと知って狂喜乱舞したばかりだ。

2019.7.31  【今週はこれを読め! エンタメ編】〈ぐるフェス〉に集うさまざまな人生〜中澤日菜子『お願いおむらいす』

食の記憶が思い出と密接に結びついていることは多い。オムライスに関して言うなら、今となっては祖母が作ってくれたものが懐かしい。実はとびきりおいしいというものではなかったのだが(祖母は決して料理下手ではなかったけれども、玉ねぎを根気よく炒める根気には欠けていたように思う。カレーなども玉ねぎが生っぽいのがネックだった)。しかし家庭料理というものは、孫に「子どもが喜ぶような食べ物を作ってやりたい」という気持ちがあればそれで十分ともいえるのではないか。

2019.7.27  作家の読書道 第208回:葉真中顕さん

日本ミステリー大賞を受賞したデビュー作『ロスト・ケア』でいきなり注目を浴び、今年は『凍てつく太陽』で大藪春彦賞と日本推理作家協会賞を受賞した葉真中顕さん。社会派と呼ばれる作品を中心に幅広く執筆、読書遍歴を聞けば、その作風がどのように形成されてきたかがよく分かります。デビュー前のブログ執筆や児童文学を発表した経緯のお話も。必読です。

2019.7.26  【今週はこれを読め! ミステリー編】英統治下インドでもがく警部と部下『カルカッタの殺人』

解けない謎があることのもどかしさを楽しさに変換してくれる警察小説だ。

2019.7.23  【今週はこれを読め! SF編】冬の物語、夢の物語、大胆なガジェットと切ない恋情

冬の物語、あるいは冬へと向かう物語。SFの歴史のなかで、いくつも印象的な作品が生まれてきた。ライバー「バケツ一杯の空気」、ティプトリー「愛はさだめ、さだめは死」、ル・グィン『闇の左手』、コーニイ『ハローサマー、グッドバイ』。本書はその系譜に連なる一冊だ。

2019.7.20  【今週はこれを読め! ミステリー編】スウェーデン発の歴史ミステリー『1793』

今ここにいる自分の当たり前が、違う場所、違う時間では当たり前ではないことを小説は気づかせてくれる。

2019.7.18  独占インタビュー「ラノベの素」 八目迷先生『夏へのトンネル、さよならの出口』

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2019年7月18日にガガガ文庫より『夏へのトンネル、さよならの出口』が発売された八目迷先生です。第13回小学館ライトノベル大賞にて「ガガガ賞+審査員特別賞」を同作で受賞し、満を持してデビューされます。「本当に欲しいもの」を手にするために、時空を超える摩訶不思議なトンネルに挑む少年少女の物語を描く本作。駆けた先に待っているものはなんなのか。本作の内容や作品の着想、キャラクターについてもお聞きしました。

2019.7.17  芥川賞に今村夏子さん 直木賞に大島真寿美さん

第161回芥川賞と直木賞の選考会が東京で開かれ、芥川賞は今村夏子さんの「むらさきのスカートの女」、直木賞は大島真寿美さんの「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」(うず/いもせやまおんなていきん/たまむすび)が、それぞれ選ばれました。

2019.7.17  【今週はこれを読め! エンタメ編】「知る」喜びに満ちた音楽ミステリー〜藤谷治『綾峰音楽堂殺人事件』

本を読む醍醐味を何に求めるかはさまざまだと思うが、「知らなかったことを知る」を重視する人は多いだろう。本書においても、「知る」喜びは十二分に味わえる。大学教授や作家や音楽家や地方の名士といった登場人物たちの鬱屈を「知る」、クラシック音楽の素晴らしさを「知る」、地方行政あるいは市民運動の仕組みや問題点を「知る」...。そしてもちろん、謎に包まれた事件の真相を「知る」。

2019.7.10  【今週はこれを読め! エンタメ編】フレッシュな執筆陣のアンソロジー『行きたくない』

人はさまざまなシチュエーションで、さまざまな場所やイベントについて「行きたくない」と感じるものだと思う。内気で引っ込み思案だった私は、小学校の入学式や引っ越し先の学校での登校初日に「行きたくない」と思ったし、会社員生活にも不安を抱いていたので入社式にも「行きたくない」と感じた。そうした節目に限らず、友だちとトラブルがあっても学校に「行きたくない」し、定期テストや運動会でも「行きたくない」という気持ちになった。こうして並べてみると改めて数々のパターンがあることに感心させられるが、本書には私の想像など軽く凌駕する「行きたくない」が収められていた。

2019.7.2  【今週はこれを読め! SF編】架空都市をめぐる36の断章

ギョルゲ・ササルマンはルーマニアのSF作家。1941年生まれだから、アメリカのサミュエル・R・ディレイニー(42年)、ジョー・ホールドマン(43年)、イギリスのクリストファー・プリースト(43年)、イアン・ワトスン(43年)と同じ世代にあたる。日本ならば田中光二(41年)、伊藤典夫(42年)。大ベテランだ。

2019.6.26  【今週はこれを読め! エンタメ編】逆境に立ち向かう75歳正子の奮闘記〜柚木麻子『マジカルグランマ』

私の目に映る祖母は完璧な人だった。97歳で亡くなった母方の祖母とは、私が結婚して実家を出るまでほぼずっと同居していた。とにかく優しい。よくないことをしたら注意はされたけれども怒鳴られたり叩かれたりしたことは一度もない。

2019.6.25  【今週はこれを読め! SF編】もはやそれほど危険ではないが、アイデア・ストーリーとして面白い

アメリカSFはその揺籃期(二十世紀の幕開けから1920年代)において、科学技術ホビイストあるいはティーンエイジャーむけの大衆文芸として発展してきた。その後、1930年代末の〈アスタウンディング〉誌でのキャンベル革命、1950年代初頭の〈F&SF〉や〈ギャラクシー〉での文芸的洗練があり、読者層も大きく広がるのだが、作品が扱うテーマや表現面における自己検閲(作家自身による、または編集者による)は根強く残っていた。SF界の風雲児ハーラン・エリスンは、そうした風潮に敢然と叛旗を翻し、このオリジナル・アンソロジーを企画した。

2019.6.22  作家の読書道 第207回:最果タヒさん - 作家の読書道

作家の読書道 第207回:最果タヒさん

2019.6.20  集英社初のチャット小説アプリ「TanZak」誕生秘話--"1話目を読む"ハードルを下げる

集英社は6月20日、出版社初となるチャットノベル(小説)アプリ「TanZak(タンザク)」を公開した。LINEのようなテキストメッセージ形式にすることで、キャラクター同士の会話を"覗き見"するような感覚で、気軽に物語を楽しめることが特徴だ。「ONE PIECE」など週刊少年ジャンプの人気漫画のノベライズのほか、完全新作のオリジナル作品も用意する。

2019.6.17  直木賞 6候補作すべて女性の作品 昭和10年からの歴史で初

令和最初の開催となる第161回芥川賞と直木賞の候補作が発表され、直木賞では6つの候補作がすべて女性作家の作品となりました。昭和10年に始まった賞の歴史の中で、候補作がすべて女性の作品となったのは初めてです。

2019.6.17  第161回「芥川賞」「直木賞」、候補作決まる

6月17日、日本文学振興会が候補作を発表した。7月17日に東京・中央区の新喜楽で選考会を開き、同日受賞者の記者会見を開く。候補作は次の通り。

2019.6.12  【今週はこれを読め! エンタメ編】加害者家族と被害者家族の対峙〜岩井圭也『夏の陰』

加害者家族と被害者家族。彼らの物語を純粋なフィクションとして捉えられるのは、幸いにも自らがどちらの立場にも立ったことがないからだ。

2019.6.11  【今週はこれを読め! SF編】実体と魔物に分かれたひとり。止められない戦争をいかに生きるか?

上田早夕里は小松左京の名を冠した公募新人賞からデビュー、その受賞経歴にふさわしく、人類史的スケールの視座から、しかしいっぽうで地に生きる個人の意志や情動を取りこぼさずに描く、骨太の作品を送りだして、読者の注目を集めてきた。そのいっぽう、《妖怪探偵・百目》や《洋菓子》など、別の領域の作品でも一定の評価を得ている。きわめて懐の深いクリエーターといえるだろう。

2019.5.31  【今週はこれを読め! ミステリー編】エリスンの内面が浮かび上がる短篇集『愛なんてセックスの書き間違い』

人の心を覗き込むと、そこにはこういう景色が広がっているのだろうと感じさせられた。

2019.5.28  【今週はこれを読め! SF編】感覚情報翻訳者が活躍する凝った構成のミステリ連作

デビュー作『風牙』につづく、《感覚情報翻訳者(インタープリンタ)》シリーズ。感覚情報翻訳者とは、レコーディングされた記憶に潜行(ダイブ)して、そのままではノイズのかたまりのようなデータを、意味のある映像へ成形するプロフェッショナルである。誰でもできる技術ではなく、生まれもっての資質が問われる。HSP(ハイパー・センシティブ・パーソン)と呼ばれる共感能力だ。この物語の主人公である珊瑚はグレード5。百万人にひとりしかいないトップレベルの能力者だ。

2019.5.24  【今週はこれを読め! ミステリー編】"世界一優秀な探偵"コール&パイク登場『指名手配』

あなたの世界にかぎ裂きができてしまい、涙にくれているとする。

2019.5.21  【今週はこれを読め! SF編】美のユートピアで繰り広げられる人間模様

『永遠の森 博物館惑星』の十九年ぶりの続篇。

2019.5.15  【今週はこれを読め! エンタメ編】時代を生き抜いた女たちの人生〜窪美澄『トリニティ』

"子どもや孫に囲まれて、畳の上で大往生"的な亡くなり方は理想とされやすい。裏を返すと、"看取ってくれる人もいないまま、孤独のうちに死ぬ"のは不幸とみなされるということだ。しかし、こういった固定観念のようなものにはずっと疑問を抱いてきた。私とてできるなら死ぬ間際に息子たちにひとめ会えたらうれしいし、そこに孫の姿もあれば申し分ないことだろう。しかし例えば、自分の心の求めるままに行動し思い残すことはないと感じられるまでの生き方ができたならば、その人の人生を不幸だったなどと誰が言えるだろうか?

2019.5.14  【今週はこれを読め! SF編】場所が特定できぬ孤峰、スパゲッティコードとしての世界

これは旅の物語であり、物語という旅である。地図はない。行ってみないと、その先がどうなっているかわからない。

2019.5.7  【今週はこれを読め! SF編】間近にあるディストピア、奪われた声をいかに取り戻すか

舞台は近未来のアメリカ。いや、近未来というよりも、現代というべきだろう。ここに描かれた事態は、アメリカでまさに進行中の悪夢だ。保守化、パターナリズム、押しつけの道徳、差別の正当化。

2019.4.29  「百年の孤独」翻訳、ラテンアメリカ文学研究者の鼓直氏死去

鼓直氏(つづみ・ただし=ラテンアメリカ文学研究者、翻訳家)2日、病気のため死去、89歳。

2019.4.19  【今週はこれを読め! SF編】第一級の脱出不可能ミステリー『火星無期懲役』

火星は地獄だ!(ジョン・W・キャンベル風に)

2019.4.13  【今週はこれを読め! ミステリー編】感情を激しく揺り動かす圧巻のスリラー『終焉の日』

まるで暴れ馬のたてがみにしがみついているような乗り心地、読み心地であった。

2019.4.2  【今週はこれを読め! SF編】いつか卑徒(ひと)になる日まで

酉島伝法のデビュー作「皆勤の徒」は衝撃だった。同作を巻頭に収めた同題の連作集は、第三十四回日本SF大賞を射止めた。選考委員ほぼ全員が一致しての受賞決定である。また、〈本の雑誌〉で二〇一五年におこなった「21世紀SFベスト100」(選者は鏡明、大森望、牧眞司)でも堂々の第一位に選出された。まさに怪物的作品といえよう。

2019.4.1  旭屋書店、TSUTAYA子会社に

TSUTAYAは4月1日、旭屋書店(大阪市)と東京旭屋書店(東京都千代田区)の株式を取得し、子会社化したと発表した。TSUTAYAのデータベースマーケティングと旭屋書店の顧客基盤を掛け合わせ、「お客様にとって価値ある新しいライフスタイル提案型の書店づくりを加速させる」としている。

2019.3.31  低迷する文庫市場に光明 女性読者が支える"時代小説"

女性読者が増えた要因とは?

2019.3.27  【今週はこれを読め! エンタメ編】シングルファーザーの成長小説〜まはら三桃 『パパとセイラの177日間 保険外交員始めました』

ひとりで子どもを育てるのがたいへんなことは、母親も父親も変わらないことと思う。しかし一般的に、"ひとり親"と聞くとシングルマザーを想定する場合が多く感じるのは、日本においては親権を父親が持つことの方が少ないからだろう。私自身も父子家庭の例を知らないわけではないが、例えばフィクションなどでもひとりで子育てする父親に注目が集まるケースはあまりないという気がする。

2019.3.26  【今週はこれを読め! ミステリー編】現実の非情さを描く『地下道の少女』

重苦しい枷を足にはめられていたはずなのに、いざ走り出してみたらどこまでも駆けていける。

2019.3.26  【今週はこれを読め! SF編】それでもなお、ひとは自由意志を希求する

ピーター・ワッツの長篇『ブライントサイト』の衝撃は忘れがたい。知性にとって意識は必然的なものではない。この大前提に、まず痺れた。

2019.3.25  川端康成文学賞が今年の選考を休止 運営基金危うく

優れた短編小説に贈られる川端康成文学賞について、主催の川端康成記念会は25日、今年の選考を休止すると発表した。

2019.3.23  作家の読書道 第204回:上田岳弘さん

デビュー作「太陽」の頃から、大きな時間の流れの中での人類の営みと、個々の人間の哀しみや郷愁を融合させた作品を発表し続け、『私の恋人』で三島由紀夫賞、そして今年『ニムロッド』で芥川賞を受賞した上田岳弘さん。5歳の頃から「本を書く人」になりたかった上田さんに影響を与えた本とは? 作家デビューを焦らなかった理由など、創作に対する姿勢も興味深いです。

2019.3.20  【今週はこれを読め! エンタメ編】心をざわつかせる短編集〜今村夏子『父と私の桜尾通り商店街』

第1話「白いセーター」を読んで、忘れられない記憶がよみがえってきた。

2019.3.19  【今週はこれを読め! SF編】加藤清正や恐竜も復活、愛のありかたを描く感動作

映画化されたヒット作『黄泉がえり』の続篇。前作同様、死者がつぎつぎと生き返る"黄泉がえり"の顛末を描く。

2019.3.12  【今週はこれを読め! SF編】宇宙共通の原理としての進化

『天冥の標』がついに完結した。十巻構成だが、数冊がかりの巻もあるので本の数でいえば、全十七冊。足かけ十年にわたる執筆で、物語としては二十一世紀から二十九世紀までわたる長大な宇宙未来史となる。

2019.2.27  【今週はこれを読め! エンタメ編】そこはかとなくおかしい短編集〜長嶋有『私に付け足されるもの』

人間関係において、"好きなものが同じ者同士より、きらいなものが同じ者同士の方がうまくいく"というもの言いをたまに耳にすることがある。一理あるとは思うものの、好きなものが同じであるのってやはり乙なものではないだろうか。例えば、長嶋有の小説を読んだ人と出会えたとしたら、「こういうとこ、おもしろかったよね〜」と語り合えたらいいなと思うし。

2019.2.26  【今週はこれを読め! SF編】総統になりそこねた男の「わが捜査」

「その女性は、いかにも知的なユダヤ女という顔つきをしていた」という、私立探偵のモノローグからはじまるハードボイルドである。彼女は、行方不明になった妹を捜してほしいという。それ自体は、よくある依頼だ。

2019.2.22  【今週はこれを読め! ミステリー編】恐ろしいのに止められない『あの子はもういない』

何の罪もない者が必要のない重荷を背負わされ、望まない人生の路を歩む。

2019.2.12  【今週はこれを読め! ミステリー編】予断を排して『種の起源』を読むべし!

あらゆる予断を排して物語の中に身を投じたほうが絶対に楽しめる。

2019.2.12  【今週はこれを読め! SF編】幻想への航海、宙づりのままに残る謎

カール・エドワード・ワグナーが「LSDでぶっとんだメルヴィルが書いた『宝島』」と評した奇書である。ただし、表面的な筋を追うぶんには、ストレートな海洋幻想譚にすぎない。重要なのは、物語の向こう側にある何かだ。

2019.2.9  独占インタビュー「ラノベの素」 渋谷瑞也先生『つるぎのかなた』

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2019年2月9日に電撃文庫より『つるぎのかなた』が発売された渋谷瑞也先生です。第25回電撃小説大賞にて《金賞》を同作で受賞し、満を持してデビューされます。剣道を知らなくてもいい、読み終えた後に剣道がわからなくても構わない。ただこの物語を面白いと感じてもらえればそれでいい。剣道という舞台から降りた"元最強"と、孤独に頂点で君臨し続ける"現最強"が激突する時、少年少女たちの心情にどんな変化が訪れることになるのか、物語の内容や見どころについてお聞きしました。

2019.1.26  作家の読書道 第202回:寺地はるなさん - 作家の読書道

婚約を破棄されどん底にいた女性が、ひょんなことから雑貨屋で働くことになって……あたかい再生の物語『ビオレタ』でポプラ社小説新人賞を受賞、以来、現代人の心の沁みる小説を発表し続けている寺地はるなさん。幼い頃は親に隠れて本を読んでいたのだとか。読書家だけど小説家を目指していたわけではなかった寺地さんが小説を書き始めたきっかけは? 読むことによって得た違和感や感動が血肉となってきたと分かる読書道です。

2019.1.25  【今週はこれを読め! ミステリー編】必死の軌道修正スリラー『カナリアはさえずる』

つまりスリラーとは、必死でやる軌道修正のことなのである。

2019.1.22  https://ddnavi.com/news/514263/a/

銀河帝国という設定は、物語の背景としては繰り返し描かれてきたが、それを前面に押しだした作品はさほど多くない。そもそも星間にまたがり、往来どころか通信にもままならない広大なエリアを、統一的な政治機構で統治するのはおよそナンセンスに思われる。多くの銀河帝国ものがスケール感に乏しく、未来の物語どころか、現代・近代以前の歴史の焼き直しに陥るのもしかたがない。

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