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ぽとに関連する小説ニュースまとめ

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ぽと ニュース検索結果

2021.8.10  【今週はこれを読め! SF編】江戸川乱歩をドストエフスキーへ還流する、文学的メビウスの環

巻頭に配された「アントンと清姫」、巻末を飾る書き下ろし作品「ドグラートフ・マグラノフスキー」。もうタイトルを見ただけでワクワクするではないか。文学とSFのセンスに優れた名手、高野史緒による超絶リミックス作品集である。全六篇を収録。

2021.7.28  【今週はこれを読め! エンタメ編】望んで行動したヴィヴィアンの人生〜『女たちのニューヨーク』

若さだけを頼りに無鉄砲な日々を過ごしていた主人公が、大きな挫折を経験し、紆余曲折を経て真実の愛を見つける。こんな風に要約することが可能な物語が、いままでどれほどたくさん書かれてきただろう。しかし、「また若い女の成長小説か」と読む前から理解したような気持ちにならずに、どうか手に取ってみてほしい。決して簡単な一文でまとめられるような内容ではなかったと、読み終えたあなたは知るに違いないから。

2021.7.27  【今週はこれを読め! SF編】つぎつぎに立ちはだかる困難を超えて火星へ

別な時間線の1950年代を設定して、宇宙飛行士を目ざす女性たちの奮闘を描いた『宇宙へ』の続篇。

2021.7.26  作家の読書道 第231回:佐藤究さん

今年『テスカトリポカ』が山本周五郎賞と直木賞を受賞、注目を集める佐藤究さん。幼い頃はプロレスラーになりたかった福岡の少年が、なぜ本を読み始め、なぜ小説を書き始め、なぜ群像新人文学賞受賞後に江戸川乱歩賞で再デビューしたのか。そしてなぜ資本主義について考え続けているのか。直木賞発表前の6月、リモートでおうかがいしました。

2021.7.22  【今週はこれを読め! ミステリー編】ヴァランダー・シリーズ最後の書『手/ヴァランダーの世界』

――これはクルト・ヴァランダー・シリーズ最後の出版物である。このシリーズはこの本をもって終了する。

2021.7.21  【今週はこれを読め! エンタメ編】失恋の真相を解き明かす〜大石大『いつものBarで、失恋の謎解きを』

社会学とエンタメの融合という独特の境地を切り拓きつつある新鋭・大石大の長編第2作。本書では、主人公・大谷綾の過去の失恋の真相を解き明かしていく安楽椅子探偵ミステリー的な趣向が、最大の読みどころといえよう。

2021.7.20  【今週はこれを読め! SF編】夢の国を旅して"覚醒する世界"へと至る

原題はThe Dream-Quest of Vellitt Boe、物語がはじまる街の名はウルタールとくれば、ピンとくるひとも多かろう。この作品の霊感源はH・P・ラヴクラフトだ。

2021.7.14  【今週はこれを読め! エンタメ編】綾崎隼『死にたがりの君に贈る物語』に心を揺さぶれる!

正論は時に人の心を逆撫でする。もしも本書の登場人物たちに話しかけることができるとしたら、よかれと思って忠告する人も多いだろう。

2021.7.7  【今週はこれを読め! エンタメ編】死の近くにいる主人公の心の変化〜八幡燈『いつかたどりつく空の下』

「湯灌」という言葉を知っているのは、確か祖母に教えてもらったからだと思う。その祖母は遠方で亡くなり、私は死に顔も見られなかった。私の父は職場で、母は家で亡くなったため、遺体はいったん警察に引き取られた。家に戻ってきたときには身を清められた後だったので、実際に湯灌というものが行われているところを目にしたことはない。

2021.6.25  【今週はこれを読め! ミステリー編】ユダヤ人古書店主の決死の犯罪捜査『狼たちの城』

この設定で話がつまらなくなるはずがないだろう。

2021.6.18  【今週はこれを読め! ミステリー編】疾風怒濤のホラー西部劇『死人街道』

神を激しく憎みながらその憎悪の対象に祈りを捧げる以外の生き方を知らない男。

2021.6.16  【今週はこれを読め! エンタメ編】読後感さまざまの将棋短編小説集〜芦沢央『神の悪手』

近年将棋は安定した人気を保っているが、プロ棋士として活躍することがどれだけたいへんなことか理解している人は少ないだろう(と、偉そうに言えるほどには私自身も理解が足りていないのだが)。

2021.6.9  【今週はこれを読め! エンタメ編】緊急事態宣言下の1日1編『Day to Day』

昨年緊急事態宣言が出たとき、いままでに経験したことのない状況に対しての不安や緊張感があった。非日常な空気に押しつぶされそうになり「本を読む気になれなくなった」という声をあげる方々も、かなりの数いらしたと記憶している。幸い私は文学作品に頼って過ごしており、昨年の春は1日1編の短い小説やエッセイに元気づけられる日々でもあった。リアルタイムで読んだ方も読めなかった方も、この機会にぜひ手に取られることをおすすめする。あの心細かった毎日をなんとかして乗り切ろうとしていた自分たちの必死さが、少しでも報われるような気がするから。

2021.6.2  【今週はこれを読め! エンタメ編】残酷さと優しさが共存する短編集〜一穂ミチ『スモールワールズ』

読み終えて、人間って残酷で勝手だなと思った。だけど、その残酷さや勝手さは、優しさや思いやりみたいなものと共存し得るんだとも思った。

2021.6.1  【今週はこれを読め! ミステリー編】台湾ミステリーの最高傑作『台北プライベートアイ』

これまで翻訳された台湾ミステリーの最高傑作ではないかと思う。

2021.5.28  作家の読書道 第229回:蛭田亜紗子さん

2008年に第7回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞を受賞、10年に『自縄自縛の私』(受賞作「自縄自縛の二乗」を改題)を刊行してデビューした蛭田亜紗子さん。現代人の日常を描く一方で、『凜』では大正期、開拓時代の北海道を舞台に過酷な環境を生きる男女を描き、最新作『共謀小説家』では明治期に小説執筆にのめりこんだある夫婦の話を描くなど、幅広い作風で活躍中。では蛭田さんが親しんできた作品とは? リモートでたっぷりおうかがいしました。

2021.5.26  【今週はこれを読め! エンタメ編】おもちさん83歳の日々〜朝倉かすみ『にぎやかな落日』

私があと30年生き長らえることができれば、主人公のおもちさんと同年代になる。

2021.5.26  田山花袋ら文学者の交流が映像で 久米正雄撮影のフィルム修復

大正から昭和初期にかけて活躍した作家の久米正雄が撮影し、劣化などによって内容が確認できていなかったフィルムの一部が修復され、田山花袋や里見※とんなど、当時の文学者どうしの交流の様子が映像で確認されました。

2021.5.20  【今週はこれを読め! エンタメ編】とびきりの「時間」を目指す〜古内一絵『最高のアフタヌーンティーの作り方』

本書の舞台は、都心に広大な敷地を有する桜山ホテル。うふふ~このティールームにねえ、行ったことあるんですよ。桜山ホテルは架空の場所ですから、モデルになった東京・目白の椿山荘にってことなんですけど。残念ながら庭園内で多数目にすることのできる桜は見頃を過ぎてしまっていた時期でしたが、いただいたのはまさに桜アフタヌーンティー。気の合う友人たちとの楽しい時間、窓から見える都会の真ん中とは思えない美しい眺め、そして一口ごとに至福の瞬間が訪れるおいしいスイーツやセイボリー(サンドイッチなどの食事)の数々。もう、天国かと思いましたね(家計には大きく響きましたけど)。

2021.5.12  今村夏子の小説「こちらあみ子」映画化、井浦新と尾野真千子が出演

今村夏子の小説「こちらあみ子」が映画化。井浦新と尾野真千子が出演することがわかった。

2021.5.11  今村夏子の小説「こちらあみ子」映画化、井浦新と尾野真千子が出演

今村夏子の小説「こちらあみ子」が映画化。井浦新と尾野真千子が出演することがわかった。

2021.5.6  【今週はこれを読め! ミステリー編】7つの作中作が登場する曲者小説『第八の探偵』

何をしてくるかわからない曲者はミステリーの世界では大歓迎なのだ。

2021.4.28  【今週はこれを読め! エンタメ編】父親になっていく青年の変化〜オウラヴスドッティル『花の子ども』

主人公のアルンリョウトゥル(ロッビ)は22歳の青年。母さんが事故で亡くなって以来、父さんとふたり暮らしだ。双子の弟であるヨセフは自閉症で、ふだんは施設にいる。そしてロッビには、一夜をともにした相手・アンナとの間に赤ん坊がいる。ロッビたちは結婚しておらず、ふたりの娘であるフロウラ・ソウルはアンナと暮らす。

2021.4.7  【今週はこれを読め! エンタメ編】過去から続く因縁と秘密〜遠田潤子『紅蓮の雪』

つらくなるのはわかっているのに手に取ってしまう、それが遠田潤子の小説だ。本書は、主人公・伊吹の双子の姉である朱里の葬儀のシーンから幕を開ける。朱里は「伊吹、ごめん」とだけ書かれた書き置きを残して、町外れにある城の石垣から飛び降りたのだった。伊豆の老舗旅館の跡取り息子である大学の先輩との婚約も整い、幸せそうに見えたのに。両親からの愛情を与えられずに育った姉弟として、お互いを一生守ると約束したのに。

2021.4.6  【今週はこれを読め! SF編】全銀河に反逆した種族「人類」、その最後の生き残りが主人公

ザック・ジョーダン『最終人類』(ハヤカワ文庫SF)

2021.3.31  【今週はこれを読め! エンタメ編】女たちの喪失と希望の物語〜ジュリア・フィリップス『消失の惑星』

幼い姉妹が八月の午後を過ごしている海辺の描写に、まずやられる。どちらかというと風景の描き方といったものに注意を払わない無粋な人間がそういう部分に目を留めるとき、その小説は傑作だと思って間違いない。母から妹の面倒をみるようにとの指示に倦んでいる姉と、年齢のわりには無邪気な妹。そして、足を怪我したと語る男。読者の胸にゆっくりと不穏さが忍び込んでくる。「行ってはだめだ、行くな」という我々の焦りは、彼女たちに届かない。

2021.3.23  装丁家の平野甲賀さん死去 「深夜特急」の題字手がける

平野 甲賀さん(ひらの・こうが=装丁家)22日、肺炎で死去、82歳。葬儀は親族で行った。喪主は妻公子(きみこ)さん。

2021.3.15  第12回〈小説 野性時代 新人賞〉 選考結果のお知らせ

本日3月15日(月)午後3時より、第12回〈小説 野性時代 新人賞〉(主催=株式会社KADOKAWA)の選考会が行われました。

2021.3.3  【今週はこれを読め! エンタメ編】豪華ショートショート集『超短編! 大どんでん返し』

チョコレートのアソートボックスとかたくさんのネタが並んだお寿司桶とか、いろいろな種類が揃ったものってうれしいですよね。本書はまさにそんな本。アンソロジーといっても30人もの作家の作品が1冊で読める本って、なかなかないと思います。そんな夢のような企画が可能になったのは、掲載作品がほぼ4ページという「超短編」だから。

2021.3.2  【今週はこれを読め! SF編】死者と生者の都ローマ、血の戦慄と欲望

キム・ニューマン『ドラキュラのチャチャチャ』(アトリエサード)

2021.2.24  坊っちゃん文学賞大賞、「黒猫」さんの「ドリームダイバー」

「第17回坊っちゃん文学賞」(松山市主催)の審査結果が22日発表され、大賞に高知市の「山猫軒従業員・黒猫」さん(37)の作品「ドリームダイバー」が選ばれた。黒猫さんは「すごく驚いている。猫の日(2月22日)にこのような賞をいただきありがとうございます」と自身のペンネームにかけて喜びを語った。受賞作は3月発売の雑誌「ダ・ヴィンチ」4月号に掲載される。

2021.2.19  【今週はこれを読め! ミステリー編】フィルム・ノワールのような警察小説『刑事失格』

一言で表すなら、フィルム・ノワールの気配をまとった警察小説である。

2021.2.18  【今週はこれを読め! エンタメ編】さまざまに変わっていく家族の物語〜窪美澄『ははのれんあい』

「母の恋愛」というものが描かれた作品なのかな、と思いながら読んだけれど(もちろんそこにも触れられるのだけれど)、何よりも家族というものについての小説だった。家族に恵まれている人も残念ながらそうでない人も、すべての人が読むべき作品だと思った。

2021.2.10  【今週はこれを読め! エンタメ編】年ごとに移ろいゆく家族の日常〜藤谷治『睦家四姉妹図』

「定点観測小説」が好きだ。定点観測小説というのはたったいま考えた名称だけれども、場所(=小説の舞台)が固定された状態で、同じキャラクターが年齢を重ねていくor違う登場人物たちが入れ替わり立ち替わり出てくるといった作品を念頭に置いている。ぱっと思いついたものでは、半世紀の間に同じアパートの五号室に暮らした歴代の住人たちが登場する『三の隣は五号室』(長嶋有)とかイングランドの荒野に建つ屋敷の人々を次世代まで描いた『嵐が丘』(エミリー・ブロンテ)とか(テイストはえらく違いますけど)。

2021.2.3  【今週はこれを読め! エンタメ編】新幹線の開発に込められた思い〜まはら三桃『零から0へ』

かつて日本は戦争をしていた。そのために命を落としたのは老若男女問わずであったが、中でも多くの若い人々が主戦力として戦地に送られた。数え切れないほどの若者たちが落命し、未来を断たれた。人々の暮らしをよりよくするはずの技術の進歩は、戦没者の数を増やす要因にもなり得た。戦争は、残された家族のみならず、戦闘機の設計などを手がけた技術者たちの心にも深い傷を負わせた。

2021.2.2  【今週はこれを読め! SF編】AIの本質と人間の情動

郝景芳『人之彼岸』(早川書房《新☆ハヤカワ・SFシリーズ》)

2021.2.1  第72回読売文学賞…受賞6氏と作品

第72回読売文学賞(令和2年度)が決まりました。選考委員の選評を紹介します。

2021.1.28  【今週はこれを読め! ミステリー編】ウイルス蔓延下、封鎖都市の殺人事件『ロックダウン』

ウイルス蔓延下、厳戒態勢の都市で刑事はどう動くのか。

2021.1.27  【今週はこれを読め! エンタメ編】女子高生バンド3人組の20年後の物語〜角田光代『銀の夜』

本書における主要人物は3人の女性。彼女たちが出会ったのは、幼稚園から短大までの一貫教育の女子校。ちづるは小学校から、麻友美は中学校から入学し、伊都子は中2のときの転入組だった。中3で同じクラスになった3人は、アマチュアバンドコンテストに出場する。急ごしらえのバンドの実力は圧倒的に不足していたものの、丈を短くした制服のスカートで歌う最年少出場者として注目された。タレント事務所から声がかかり、彼女たちのバンド「ひなぎく」は「ディズィ」としてデビューすることに。

2021.1.26  【今週はこれを読め! SF編】陰に隠れた幻想小説の水脈の発見

橋本勝雄編『19世紀イタリア怪奇幻想短篇集』(光文社古典新訳文庫)

2021.1.23  作家の読書道 第225回:町田そのこさん

2020年に刊行した『52ヘルツのクジラたち』が未来屋小説大賞、ブランチBOOK大賞を受賞するなど話題を集めている町田そのこさん。少女時代から小説家に憧れ、大人になってから新人賞の投稿をはじめた背景には、一人の作家への熱い思いが。その作家、氷室冴子さんや、読書遍歴についてお話をうかがっています。

2021.1.21  【今週はこれを読め! エンタメ編】義肢装具士への道〜山本幸久『神様には負けられない』

『神様には負けられない』の主人公は、渋谷医療福祉専門学校(通称シブイク)の2年生である二階堂さえ子。義肢装具士を目指している。

2021.1.13  【今週はこれを読め! エンタメ編】恐るべき筆力とユーモアが光る鈴木るりか『私を月に連れてって』

恐ろしい子! と私の内なる月影先生が発動してしまうくらい驚かされたのが、現役高校生作家・鈴木るりかさんの『私を月に連れてって』である。前作『太陽はひとりぼっち』でも十分すぎるほどの衝撃だったが、今回はさらに記録更新だ。もうほんと、私のように鈴木さんの倍以上歳をとっている人だって(いや、サバを読んだがほぼ3倍です)、こんなにおもしろい本を書ける人材などどれだけいることか。

2021.1.13  作家の半藤一利さん死去 90歳

昭和史の研究で知られ、戦争などをテーマに数多くのノンフィクション作品を発表してきた、作家の半藤一利さんが亡くなりました。90歳でした。

2021.1.11  【今週はこれを読め! SF編】特殊な閉鎖環境のなか、「剃刀の刃のように細い線」をたどる叛乱

ピーター・ワッツ『6600万年の革命』(創元SF文庫)

2021.1.5  【今週はこれを読め! SF編】多様な傾向を集めつつ、懐かしい印象すら受ける間口の広いアンソロジー

もっとも新しい十年紀のSF傑作選。思わず身がまえてしまうが、心配はご無用。収録されている作家の人種・経歴・セクシャリティは多様で、作品の傾向もバラエティに富んでいるものの、飛びぬけて先鋭的な表現・主題・論理はほとんどない。ある程度SFに馴染んでいる読者にとっては、むしろ懐かしい印象すら受けるくらいだ。

2021.1.1  第55回北日本文学賞受賞者インタビュー

宮本輝氏選「第55回北日本文学賞」(副賞100万円)は、大阪市の大学院生、谷町蛞蝓(なめくじ)さん(32)の「きぼう」に決まった。

2020.12.28  出版物の販売額 16年連続で減少 コミックス好調も旅行ガイド減

ことしの国内の出版物の販売額は、新型コロナウイルスの影響でコミックスなどの需要が高まったものの、雑誌の売り上げの大幅な落ち込みなどによって推計で去年よりおよそ2%減少し、16年連続で前の年を下回る見通しとなりました。

2020.12.23  【今週はこれを読め! ミステリー編】満身創痍の探偵ハリー・ホーレを読むべし!

満身創痍という四文字がこれほど似合う男はいない。

2020.12.16  【今週はこれを読め! エンタメ編】5人の「白野真澄」の短編集〜奥田亜希子『白野真澄はしょうがない』

たまーにエゴサーチというものをしてみることがある。とはいえ、私のような零細ライターではだいぶ下方にスクロールしていってようやく関連記事を見つけることができる程度だし、Twitterも炎上するほど閲覧されてもいないので気楽なものだ。常に検索上位にあがってこられる「松井ゆかり」さんは、タレントさんや格闘技の選手の方など。名前が同じというだけの他人ではあるが多少なりともご縁があるように思われて、画像などをじっと見つめてしまうことがある(もはやエゴサーチではない)。

2020.12.15  【今週はこれを読め! SF編】現実認識のテーマから、目くるめく神怪小説へ発展

第八回ハヤカワSFコンテスト優秀賞受賞作(前回紹介した竹田人造『人工知能で10億ゲットする完全犯罪マニュアル』と同時受賞)。

2020.12.9  【今週はこれを読め! エンタメ編】それぞれ味わいの異なるイヤミス短編集〜芦沢央『汚れた手をそこで拭かない』

ちょっと、みなさんご存じかしら? 独立短編集ってなかなか売れないんですって。

2020.12.2  【今週はこれを読め! エンタメ編】令和、江戸、平安を生きるヒロインの恋〜川上弘美『三度目の恋』

男女間の心の機微がよくわからない人間としては、恋愛というものをメインに据えた小説というものはほとんど求めていないのだった。それでもたまに「読んでみようかな」と心が動くとしたら、少々変化球なものに対して。川上弘美さんの作品は、私が手放しで読書欲をかき立てられる数少ない恋愛小説だ。男女の触れ合いを端正に描いた恋愛ものであることは間違いないのだけれど、川上作品には読む者の想像を超えるひねりのようなものがあると思うから。

2020.11.28  「作家になるとは思わなかった」三浦しをんさん流「小説の書き方」

熱い友情、悲しい恋愛、夢あふれる冒険――。心揺さぶられる小説に出合ったとき、自分も物語を書きたいと思ったことはないだろうか。

2020.11.28  作家の読書道 第223回:中山七里さん

今年作家デビュー10周年を迎えた中山七里さん。話題作を次々と世に送り出すエンターテインナーの読書遍歴とは? 大変な読書量のその一部をご紹介するとともに、10代の頃に創作を始めたもののその後20年間書かなかった理由やデビューの経緯などのお話も。とにかく、その記憶力の良さと生活&執筆スタイルにも驚かされます。

2020.11.25  【今週はこれを読め! エンタメ編】お誕生会をめぐる短編集〜古内一絵『お誕生会クロニクル』

何歳になっても誕生日はうれしい。それはその通りとして、私はずっと8月下旬の自分の誕生日が好きではなかった。①夏が苦手②夏休みの宿題が終わっていないと焦り始める時期なので、心から楽しめない③8月には原爆の日や終戦の日などがあるので、大っぴらに喜ぶのはためらわれる...といった感じ。誕生会そのものの思い出としては、幼稚園で催された会が7・8月合同だったうえに、おやつがぶどう(デラウエア)一房だけだったことも心のしこりとなっている(他の月はカップケーキとかクッキーとかチョコレートとかだった)。

2020.11.19  「全米図書賞」の翻訳文学部門に柳美里さんの小説

アメリカで最も権威のある文学賞「全米図書賞」の翻訳文学部門に、柳美里さんの小説「JR上野駅公園口」が選ばれました。

2020.11.18  【今週はこれを読め! エンタメ編】絵にすべてを懸けた絵師の姿〜谷津矢車『絵ことば又兵衛』

みんなちがって、みんないい。金子みすゞが命を削るようにして紡いだ言葉は、いまだ人々の心を完全に改めさせるには至っていない。まして、個性や多様性といったものが共通認識とされていなかった時代には、他者の身体面や行動面における特徴をあげつらうのにいま以上に躊躇がなかったのではないだろうか。

2020.11.17  【今週はこれを読め! SF編】銀河英雄伝説トリビュート・アンソロジー

もはや『銀河英雄伝説』は古典である。SFの基礎教養というレベルさえ超え、ミームとして浸透・機能している。本書は、『銀英伝』の設定を活かして、六人の作家がオリジナル・エピソードを繰り広げる競作アンソロジーだ。

2020.11.11  【今週はこれを読め! エンタメ編】ぐっちゃぐちゃなところがいい!〜中島たい子『かきあげ家族』

この本、映画好きのみなさんはお読みになった方がいいです。次々にいろんな映画のタイトルや俳優・監督の名前が出てきて、しかもそれらが絶妙な使われ方をしてるんですよ。例えば、「若くはない引きこもりの息子を久しぶりに観て、八郎は自分は『2001年宇宙の旅』のボーマン船長のように、ワンシーンで一気に老け込んだ気持ちになるのだった」といった感じで。

2020.11.3  【今週はこれを読め! SF編】怪奇小説の伝統に棹さす、みごとな表現の四作品

作者クックはイギリスの作家。ミステリおよび怪奇小説・映画の研究家でもあり、関連の学術著作がある。フィクションは、2017年に出版された本書が最初の単行本だ。四つの作品を収録する短篇集で、表題作「図書室の怪」が原稿用紙換算で300枚を超える中篇、のこり三篇は30~70枚弱の短篇という構成である。

2020.10.28  【今週はこれを読め! エンタメ編】夢のような男をめぐる短編集〜遠田潤子『雨の中の涙のように』

友だちが大のハリソン・フォードファンだったので、『ブレードランナー』は映画館で同じ日に連続で2回観た(昔の映画館のほとんどは現在のシネコンなどと違って入れ替え制ではなかったため、こういうことが可能だった)。レプリカントと呼ばれる、高い知性を持つ人造人間が発明された世界。過酷な労働や戦闘に従事させられていた彼らはしかし、徐々に感情が芽生え人間社会へ紛れ込もうとするようになる。ハリソン・フォードは、脱走レプリカントを抹殺する任務を負った警察の元専任捜査官(ブレードランナー)のデッカード役。友だちはうっとりと見とれていたが、私は敵対するレプリカント・バッティ役のルトガー・ハウアーに釘付けになった。

2020.10.27  【今週はこれを読め! SF編】アルゴリズムの支配を逃れ、なお生き延びるすべ

2068年、グーグル(をはじめとするデジタルの覇者である巨大企業)が世界を掌握していた。日常に浸透したネットワークにより、市民のあらゆる情報は集積され、徹底した――しかし体感的にはマイルドな――常時監視社会が完成している。私たちの行為や嗜好はすべてグーグルに筒抜けだ。それが「透明性」というタイトルの意味だ。

2020.10.22  林真理子氏のエッセイ連載回数がギネス世界記録に

同氏が「週刊文春」(文藝春秋)で連載しているエッセイがこのほど、「同一雑誌におけるエッセイの最多掲載回数」としてギネス世界記録に公式認定された。

2020.10.21  【今週はこれを読め! エンタメ編】「ただ一つ存在に価するもの」を描くグランベール『神さまの貨物』

列車は人や動物や荷物を乗せて走る。本来は人のさまざまな気持ちをも運ぶ乗り物だと思う。しかし、その列車に存在したのは絶望のみのはずだった。父親によって投げ落とされた赤ん坊が希望そのものとなるまでは。

2020.10.20  【今週はこれを読め! SF編】稀覯書や古文書をめぐる怪奇譚、黴の匂いと書架の陰翳

著者マンビーは1913年にロンドンで生まれ、ケンブリッジ大学卒業後、古書店やオークションカンパニー勤務を経て陸軍に編入、フランス戦線で捕虜になり、収容所で怪奇小説を書きはじめた経歴の持ち主。職業作家ではなく、趣味で創作に手を染めたわけだ。作品数は少なく、49年刊行の本書に収録された14篇がすべてのようだ。その後は、書誌学者として業績を重ねた。

2020.10.15  独占インタビュー「ラノベの素」 大森藤ノ先生『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2020年10月15日にGA文庫より『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』第16巻が発売された大森藤ノ先生です。TVアニメ第3期も10月より放送開始となる中、原作小説は新たな展開を迎える新章に突入します。2013年の『ダンまち』シリーズ刊行から約7年。過去から現在までを振り返り、作品との向き合い方や物語の立ち位置、そして本編から紐解くベル・クラネルをはじめとしたキャラクター達の成長に関するお話など、様々にお話をお聞きしました。ファン必見の『ダンまち』の今を語ります!

2020.10.7  【今週はこれを読め! エンタメ編】クリムトの絵をめぐる壮大な騙し合い~望月諒子『哄う北斎』

学校で通知表をもらっている間ずっと図工や美術で芳しくない成績を取り続けてきた身なれど、アートものの小説は最も食指を動かされる分野のひとつ。よくあるでしょう、自分にないものに憧れる心理というやつ。

2020.9.23  【今週はこれを読め! SF編】オリジナル・アンソロジー・シリーズの三冊目。七篇を収録。

オリジナル・アンソロジー・シリーズの三冊目。七篇を収録。

2020.9.16  【今週はこれを読め! エンタメ編】おもしろすぎる将棋ミステリー〜奥泉光『死神の棋譜』

おもしろすぎる。ミステリーでもあるし、ファンタジー的な要素もあるのだが、何よりもまず将棋というものを中心に描かれた作品であるというところが重要かなと思う。昨今の将棋人気の盛り上がりも手伝って、多くの作家が将棋を題材にした小説を発表する中、ガチのファンでいらっしゃるという奥泉さんも参戦されたのはうれしい限り。

2020.9.15  【今週はこれを読め! SF編】異質な敵の全容、失われた文明の謎、そして秘匿された人類史

林譲治による本格ハードSFシリーズがついに完結した。

2020.9.9  【今週はこれを読め! エンタメ編】誰もが輝くバスケ小説〜藤岡陽子『跳べ、暁!』

バスケットボールって、ほんとうにハードなスポーツだというイメージがある。ほぼずーっと走りっぱなし、手も足も使う、ジャンプ力も要求される。未経験者からすると、こんなにいっぺんにいろんなことをしなければならないのが信じられない。しかも、チームワークまでが重要になってくるのだ。

2020.9.8  【今週はこれを読め! SF編】迷路を進むと〈薄暮〉が追いかけてくる。歴史も人生も。

映画化された超大作『クラウド・アトラス』で知られるデイヴィッド・ミッチェルが、2014年に発表した長篇。世界幻想文学大賞を受賞した。

2020.9.1  【今週はこれを読め! SF編】1950年代の宇宙移住計画、宇宙飛行士を目ざす女性の奮闘

1950年代のアメリカ。性差別・人種差別が根強く残る時代に、宇宙飛行をめざす女性たちがいた。第二次大戦中に婦人操縦士隊のメンバーとして従軍したベテラン、あるいは地域の〈航空クラブ〉で空を飛ぶ醍醐味を覚えた者、さらに物語が進むと海外からの志願者も加わる。彼女たちは人種も社会的地位もキャリアも異なる。ただ「宇宙を飛びたい」という情熱は共通だ。

2020.8.26  【今週はこれを読め! エンタメ編】おいしいものが励ましてくれる物語〜冬森灯『縁結びカツサンド』

カツはおいしい。関東出身であることも関係するのか、個人的にはやはりカツは豚肉というイメージがある。村上春樹さんが"関西ではカツといえば牛肉"といった趣旨のエッセイを書いておられて、長らくビーフカツを食べることを熱望していたのだが(そして、実際に食べてみてとてもおいしかったのだが)、トンカツの方が汎用性があることには多くの方が賛成してくださるのではないだろうか(卵でとじる一般的なカツ丼などは、豚で作る方が合う気がするし)。そこでカツサンド。ビーフカツのサンドウィッチももちろん美味だけれど、本書で登場するのは豚肉を使ったものものだ。夏の青空に規則正しく並んだ縞模様の雲を見て、スペアリブを連想してみるのも楽しいと思う(本文ご参照のこと)。

2020.8.11  【今週はこれを読め! SF編】新たな壮途へ乗りだした年刊日本SF傑作選

創元SF文庫で十二年つづいた《年刊日本SF傑作選》を後継するアンソロジー・シリーズ。版元を移した経緯や、編者が大森望・日下三蔵のタッグチームから大森ソロへ変わったことなど「序」で語られているが、支障なく友好的に運んだようだ。まずは欣快。

2020.8.4  【今週はこれを読め! SF編】埋もれた名作を発掘・再評価する意欲的アンソロジー

昨夏に刊行された短篇集『なめらかな世界と、その敵』(本欄でも紹介)によって、一躍、現代日本SFの最先鋭へと躍りでた伴名練。小説家のみならず、「読み手」としても飛びぬけた資質の持ち主だ。それを遺憾なく証明したのが、この二冊組のアンソロジーである。

2020.7.29  【今週はこれを読め! エンタメ編】「普通」に縛られない家族の物語〜寺地はるな『水を縫う』

家族とは何か。仕事とは何か。新入社員&就活生の息子たちがいる今年の我が家において、常に心を占める問題となっている。どういう仕事をして生きて行きたいか。仕事をしていくうえでどんな心構えでやっていかなければならないか。難しいのは、自分の経験を踏まえて多少のアドバイスはできても、それが息子たちの心に響くとは限らないし、そもそも全方位的に効く忠告などないということだ。であれば、自分のやるべきことは最終的には自分の心に聞くしかない。息子たちも、私も。

2020.7.28  上半期の出版物売り上げ 電子出版28%増 在宅時間増えたことも

ことし上半期の国内の出版物の売り上げは、電子出版が前の年の同じ時期と比べて30%近く増加し、紙の出版と合わせた市場全体でも200億円ほど上回りました。

2020.7.25  作家の読書道 第219回:今村翔吾さん

2017年に『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』を刊行してデビュー、翌年『童神』(刊行時に『童の神』と改題)が角川春樹小説賞を受賞し、それが山田風太郎賞や直木賞の候補になり、そして2020年は『八本目の槍』で吉川英治文学新人賞を受賞と、快進撃を続ける今村翔吾さん。新たな時代小説の書き手として注目される今村さんは、いつ時代小説に魅せられ、何を読んできたのか? 軽快な語り口調でたっぷり語ってくださいました。

2020.7.15  【今週はこれを読め! エンタメ編】"意外性の作家"の短篇集〜津村記久子『サキの忘れ物』

津村記久子さんって思っていたのとはちょっとイメージの違う作家かもしれない、と思ったのは「フェリシティの面接」という短編を読んだときだ。アガサ・クリスティが生んだ名探偵エルキュール・ポアロの秘書であるミス・レモンが活躍する軽妙な作品で、『名探偵登場!』(筒井康隆他/講談社文庫)というアンソロジーに収録されている。津村作品といえば"職業小説(往々にしてパワハラあり)"という印象が強かったのだが、こんなミステリー絡みのしゃれた作品を書かれるとは思っていなかった(職業小説ではある)。「フェリシティの面接」は、読書好きの方でもあまりご存じでないような気がするので(Wikipediaの津村さんのページにも載っていなかった)、ぜひこちらもお手にとっていただけたら。

2020.7.15  芥川賞に高山羽根子さんと遠野遥さん 直木賞に馳星周さん

第163回芥川賞と直木賞の選考会が15日開かれ、芥川賞は高山羽根子さんの「首里の馬」と遠野遥さんの「破局」の2つの作品が選ばれました。また、直木賞は馳星周さんの「少年と犬」が選ばれました。

2020.7.14  【今週はこれを読め! SF編】ケン・リュウ選とは味わいの違う、新しい中華圏SFアンソロジー

鳴り物入りで邦訳された劉慈欣『三体』をはじめ、日本でも中華圏SFの活況が紹介されはじめている。中華圏と日本に両国のSF界の架け橋として大活躍しているのが、本書の編者、立原透耶さんである。

2020.7.8  【今週はこれを読め! エンタメ編】甲子園を整備するプロの仕事〜朝倉宏景『あめつちのうた』

もともと激ユルだった私の涙腺は、加齢とともに衰弱の一途をたどっている。にしても、我ながらいくら何でも泣きすぎだろうと思ったのが、数年前高校野球をテレビで見ていた際にまっすぐに引かれたグラウンドの白線を見て涙ぐんでしまったことだ。「ああ、こんなに美しくグラウンド整備をすることで、選手たちを支えるスタッフがいらっしゃる...!」と感極まり、一緒に見ていた家族たちを震撼させた。いま思えば、あのときの私は阪神園芸さんの芸術的な仕事ぶりに胸を打たれていたのか...。

2020.6.23  【今週はこれを読め! ミステリー編】追い詰められた者の小説『その手を離すのは、私』

逃亡者、あるいは追い詰められた者の小説というべき作品である。

2020.6.17  【今週はこれを読め! エンタメ編】最高の短篇作家の作品集〜イーディス・パールマン『蜜のように甘く』

「現存するアメリカ最高の短篇作家」(「ボストン・グローブ」紙)、「世界最高の短篇作家」(ロンドン・タイムズ」紙)といった絶賛は、本書の著者であるイーディス・パールマンのためのものである。

2020.6.10  【今週はこれを読め! エンタメ編】仕事と家族をめぐる短編集〜田中兆子『あとを継ぐひと』

仕事と家族。この春新社会人になったばかり&現在就活まっただ中な息子たちのいる身には、見逃せないキーワードだ。そうはいっても私などは「会社の方たちとうまくやっていけるのだろうか」「オンライン面接って対面以上に緊張しないだろうか」とハラハラする程度のことしかできないわけだが、本書に出てくる主人公たちの場合は互いにより緊張感のある状況に置かれている。

2020.6.10  【今週はこれを読め! ミステリー編】小説の暴力性を描く『念入りに殺された男』

暴力の小説であり、小説の暴力性についての物語でもある。

2020.6.3  【今週はこれを読め! エンタメ編】料理をめぐる実力派作家のアンソロジー『注文の多い料理小説集』

新型コロナウィルス感染症拡大防止のため、このところ何か月にもわたって我々はさまざまな不自由を耐え忍んでいる。

2020.5.28  【今週はこれを読め! ミステリー編】人間の残酷さを浮かび上がらせる作品集『おれの眼を撃った男は死んだ』

シャネル・ベンツ『おれの眼を撃った男は死んだ』(東京創元社)には、優れた短篇に与えられるO・ヘンリー賞を2014年に獲得した「よくある西部の物語」を含む10の小説が収められている。知っている限りベンツが邦訳されるのはこれが初めてだ。テネシー州メンフィス在住で、ローズ・カレッジで教鞭を執っているという以外の経歴はわからない。

2020.5.27  【今週はこれを読め! エンタメ編】一冊の本をめぐるスパイ物語〜ラーラ・プレスコット『あの本は読まれているか』

私のスパイへの強い憧れについては当コーナーをずっと読んでくださっているみなさん(そんな奇特な方など存在するのだろうか)はご存じだと思うが、本書のスパイ活動にはとりわけ興味を引かれた。なぜならこれは、一冊の本をめぐる特殊作戦を描いた物語だったから。

2020.5.21  【今週はこれを読め! ミステリー編】達人ミネット・ウォルターズの性格劇『カメレオンの影』

ミステリーの興趣は性格喜劇、もしくは悲劇のそれにつながる。

2020.5.20  【今週はこれを読め! エンタメ編】農業にまつわる8つの物語〜瀧羽麻子『女神のサラダ』

私の父方の祖父母は現代においてはめっきり少なくなった専業農家だったのだが、本書を読んで自分が農業について全然わかっていないということがわかった。毎日食べるものを作ってもらっているというのに。まして生産者の方々の気持ちなど、なおさら理解できていなかった。

2020.5.12  【今週はこれを読め! SF編】奇妙な全体主義の成立と凋落、孤独と想像力をめぐって

ケイト・ウィルヘルムの代表長篇。単行本刊行の翌年(1977年)にはヒューゴー賞とローカス賞を受賞している。1982年にサンリオSF文庫から邦訳が出たものの、ほどなく絶版。若い読者にとっては「名のみ聞く名作」となっていたので、こんかいの復刊は好企画だ。

2020.4.28  【今週はこれを読め! SF編】一面に凍てついた世界を、ふたりで南へ。

投稿サイト発の『横浜駅SF』で日本SF大賞の候補になった著者の第一短篇集。六篇を収録している。

2020.4.25  作家の読書道 第217回:乗代雄介さん

2015年に「十七八より」で群像新人文学賞を受賞して作家デビュー、2018年に『本物の読書家』で野間文芸新人賞を受賞、今年は「最高の任務」で芥川賞にノミネートされ注目度が高まる乗代雄介さん。たくさんの実在の書物の題名や引用、エピソードが読み込まれる作風から、相当な読書家であるとうかがえる乗代さん、はたしてその読書遍歴は?

2020.4.22  【今週はこれを読め! エンタメ編】変わってゆく主婦・絵理子がまぶしい〜窪美澄『たおやかに輪をえがいて』

主人公の絵里子は私と同じ52歳。以前はそんなに気にしたことはなかったのに、最近本を読んでいて登場人物が自分と同年代だとそのことについて強く意識するようになった。

2020.4.15  【今週はこれを読め! エンタメ編】痛快女子バディ物語『ピエタとトランジ〈完全版〉』登場!

「痛快」という言葉がこれほど似合う小説に出会ったのは久しぶり。本書は連作短編集で、ふたりの女子(と呼んでいてもいいのかどうかわからない年齢になるまで彼女たちの仲は続いていくのだけれど)のクールで熱い物語が展開していく。

2020.4.9  【今週はこれを読め! ミステリー編】『短編ミステリの二百年vol.2』で評論と短編を楽しむ!

コロナ禍に遭われたみなさまにお見舞い申し上げます。また、緊急事態宣言発令で外出自粛を余儀なくされているみなさまにも。ざわざわとして心落ち着かない日々ですね。早く日常が取り戻せないものかと思います。

2020.4.8  【今週はこれを読め! エンタメ編】70歳差のかけがえのない友情物語〜アリ・スミス『秋』

EUを離脱するしないの国民投票でイギリスが大騒ぎになっていたのは、もう4年も前のことなのか。

2020.4.1  【今週はこれを読め! エンタメ編】朝井リョウのタイアップ&コラボ短編集『発注いただきました!』

以前ある作家が「小説やエッセイを書くのは完全にお金のため」という趣旨の文章を書いておられるのを読んで(うろ覚えだが、概ねこういう内容だった)、衝撃を受けたことがある。作家というものは、"たとえお金にならなくても書くのをやめられない"人がなるものだと思っていたからだ。しかしながら、これは私が読者としてナイーブすぎた。それで生計を立てている以上、書くことと収入とは切っても切り離せない。そしてまた、依頼主からの注文があれば、書き手はその希望に沿って書くこともまた必要になってくるわけだ。

2020.3.28  作家の読書道 第216回:青山七恵さん

大学在学中に書いて応募した『窓の灯』で文藝賞を受賞してデビュー、その2年後には『ひとり日和』で芥川賞を受賞。その後「かけら」で川端康成賞を受賞し、短篇から長篇までさまざまな作品を発表している青山七恵さん。衝撃を受けた作品、好きな作家について丁寧に語ってくださいました。

2020.3.27  2020年5月6日(水祝)「第三十回文学フリマ東京」開催中止のお知らせ

5月6日に開催を予定していた「第三十回文学フリマ東京」は、中止といたします。

2020.3.26  【今週はこれを読め! ミステリー編】非道な犯罪者の殺し合い祭りに興奮!『七つの墓碑』

刑務所帰りの男対謎の連続殺人鬼、これすなわち興奮っ。

2020.3.26  【今週はこれを読め! エンタメ編】最高の青春ライバル小説〜安壇美緒『金木犀とメテオラ』

「もう1作みたい」という言い方を、世間ではわりとよくする気がする。例えば芥川賞・直木賞といった文学賞の選考会で授賞を見送ったときの、「もう1作様子を見てから判断したい」という申し開き的な意味で。あるいはM-1やキングオブコントといった、予選で1本目・決勝で2本目のネタを披露するような大会において。こちらは「(もう1作みたいと思ったので)高い評価をつけた」という場合もあれば、「(もう1本みたかったのに)たいへん惜しい結果だったという場合もある。私も『天龍院亜希子の日記』を読んだときに、「もう1作読みたい!」と強く思ったものだ。「次の作品もおもしろいに違いない」という確信に近い予感によるものだったが、本書を読んで自分の読みに狂いはなかったと大満足である。

2020.3.18  【今週はこれを読め! エンタメ編】ド直球の家族小説短編集〜木村椅子『ウミガメみたいに飛んでみな』

「そもそもウミガメって飛べるんだっけ?」なんて野暮なことは言いっこなしだ。ウミガメだって人間だって、空くらいなら飛べるのである。固定観念は捨てるべきだ。

2020.3.13  第11回〈小説 野性時代 新人賞〉 選考結果のお知らせ

3月13日(金)午後4時より、第11回〈小説 野性時代 新人賞〉の選考会が行われました。応募総数440作品の中から最終選考に残った4作品のうち、選考委員の厳正なる審査により、蝉谷魚ト(せみたに・とと)さんの『化け者心中』が大賞に決まりました。蝉谷さん、おめでとうございます!

2020.3.11  【今週はこれを読め! エンタメ編】リアルさに惹きつけられる絲山秋子『御社のチャラ男』

題名からして傑作の予感しかしない、と思った。「御社」と「チャラ男」のミスマッチ感は、作品自体の万華鏡めいたおかしみにも通じるものがある。

2020.3.4  【今週はこれを読め! エンタメ編】亡くなった母から届いたノート〜小手鞠るい『窓』

本書では、ウガンダの内情をはじめとした海外の複数の国における問題について、多くの紙幅が割かれている。楽しい話題とはかけ離れた要素を含むこの作品を、エンタメ小説として本欄で紹介していいものかどうか迷った。しかし、『窓』はノンフィクションでもルポルタージュでもない。ここで取り上げなければ、レビューなどがアップされる場が限られてしまうのではないかと思い(自分のTwitterという手もなくはないけど、零細アカウントなので...)、やはりご紹介させていただくことにした。

2020.2.26  【今週はこれを読め! エンタメ編】戦争体験を語り継ぐ〜古内一絵『鐘を鳴らす子供たち』

昭和42年生まれの私は、子どもの頃「戦争を知らない子供たち」という歌をよく耳にした。人口全体の割合としては、まだ戦後生まれが珍しかった時代かと思う。現代の日本においては、いかに高齢者社会が進んだとはいえ、戦争を知る世代の人々はもはや圧倒的少数派に違いない。「戦争を知らない子供たち」が当たり前になった社会は、平和のありがたみが実感されにくい社会でもある。

2020.2.22  作家の読書道 第215回:相沢沙呼さん

『medium 霊媒探偵城塚翡翠』が2019年末発表のミステリランキングで3冠を達成、今年は同作が2020年本屋大賞ノミネート、第41回吉川英治文学新人賞候補となり、さらに『小説の神様』(講談社タイガ)が映画化されるなど、話題を集める相沢沙呼さん。そんな相沢さんが高校生の時に読んで「自分も作家になりたい」と思った作品とは? 小説以外で影響を受けたものは? ペンネームの由来に至るまで、読書とその周辺をたっぷりおうかがいしました。

2020.2.18  【今週はこれを読め! SF編】「珍しさ」より「質」を重視した、選りすぐりの十篇。

過去十年に発表された日本SFの傑作選。『2』は「新鋭篇」で、採られているのは次の10篇。

2020.2.10  【今週はこれを読め! ミステリー編】染み入るような警察小説『カタリーナ・コード』

染み入るような、という表現はこういう小説のために使うべきなのだろう。

2020.2.9  夏目漱石の小説 12作品の自筆原稿が所在不明「文化遺産が…」

文豪 夏目漱石が書いた代表的な小説のうち半数にあたる12作品について、自筆原稿の所在が確認できなくなっていることが分かりました。調査を行った専門家は、自筆原稿は作品の成立過程をたどる貴重な資料だとして「かけがえのないものであり、大切に受け継いでいくことが必要だ」と指摘しています。

2020.2.5  【今週はこれを読め! エンタメ編】明るく前向きな気持ちになれる連作短編集〜凪良ゆう『わたしの美しい庭』

現在最も書店員から熱く支持される作家のひとりである凪良ゆうの新作。...というのが誇張でもなんでもないことを、私は先日実感した。

2020.1.29  【今週はこれを読め! エンタメ編】将棋盤を挟んだ少女と元棋士の対話〜尾﨑英子『竜になれ、馬になれ』

これを題材にした本(漫画、映画、などなど)はスルーできない、というポイントは人それぞれであろう。私の場合は、「駅伝」と「将棋」。シーズンがだいたい秋〜冬場と決まっている駅伝と違って、将棋は一年中何かしらのタイトル戦やその予選・決勝リーグ的なものが途切れることなく行われている。大一番というときでなくても常にトレーニングや鍛錬を続けているのは同じだろうし、駅伝のように時期が集中していれば楽だなどとは決して思っていないが、成績が上位のプロ棋士ほど年間を通していくつものリーグ戦を同時進行で戦わなければならないとなると将棋ってほんとに過酷な世界だなと圧倒される。

2020.1.25  【今週はこれを読め! ミステリー編】〈ミレニアム〉シリーズ、堂々完結!

『ミレニアム6 死すべき女』はダヴィド・ラーゲルクランツによる新〈ミレニアム〉三部作の最終章にあたる作品だ。ご存じのとおり〈ミレニアム〉三部作の著者はスウェーデン生まれの作家スティーグ・ラーソンだが、彼は作品を書き上げたあとの2004年に亡くなってしまった。2005年に刊行が始まると過去に例がないほどの売り上げを記録し、全世界で翻訳されてベストセラーとなった。ドイツなどの近隣諸国にまで影響を与え、文字通り北欧ミステリーを変えた里程標的作品となったのである。

2020.1.25  作家の読書道 第214回:凪良ゆうさん

引き離された男女のその後の時間を丁寧に描く『流浪の月』が大評判の凪良ゆうさん。もともとボーイズラブ小説で人気を博し、『神さまのビオトープ』で広い読者を獲得、新作『わたしの美しい庭』も好評と、いま一番勢いのある彼女ですが、幼い頃は漫画家志望だったのだとか。好きだった作品は、そして小説を書くようになった経緯とは。率直に語ってくださっています。

2020.1.23  【今週はこれを読め! エンタメ編】ジョージ・ソーンダーズ『十二月の十日』に泣く!

嘘でしょ? このジョージ・ソーンダーズって、あの『短くて恐ろしいフィルの時代』(角川書店)を書いた人のはず。刊行されて間もなく読んだけれど、その当時断トツにけったいな本だと思った。なのに、短編集である本書の最後に置かれた表題作「十二月の十日」、泣けて泣けてしょうがなかったじゃないの! こんな小説を書くような作家だったっけ?

2020.1.21  【今週はこれを読め! SF編】波瀾万丈な人生のなかにの潜む"得体の知れぬ"裂け目

メキシコ出張中、急な雨を避けるために飛びこんだ古本屋。ほとんどはスペイン語の安手のペーパーバックだったが、棚の下のほうにハードカバーが何冊かある。私の目を引いたのは、とくに大判の一冊だ。英語のようだが、背文字は色褪せていてよくわからない。黴の匂いのするページを開くと、扉に『黒曜石雲』とあった。十九世紀の本のようだ。著者はRev. K. Macbaneとある。「Rev.」ということは牧師(reverend)か? 私がその本に運命的なものを感じたのは、副題に「エアシャー郡ダンケアン町の上空で起きた今も記録に残る奇怪なできごとの記述」とあったからだ。

2020.1.15  芥川賞に古川さん「背高泡立草」 直木賞に川越さん「熱源」

第162回芥川賞と直木賞の選考会が東京で開かれ、芥川賞は古川真人さんの「背高泡立草」、直木賞は川越宗一さんの「熱源」が、それぞれ選ばれました。

2020.1.14  【今週はこれを読め! SF編】ラヴクラフトを切歯扼腕させる十六篇

H・P・ラヴクラフトの系譜に連なるフィクションは、ひとつの文芸ジャンルを形成するほどである。ご本尊はその気はなかったのだろうけれど、彼の死後、オーガスト・ダーレスによって体系化された「クトゥルー神話」が、合い言葉さえ唱えればだれでも入会できる結社というか、わかりやすいアイテムに満ちた二次創作製造エンジンのようなもので、それが自走的に機能しているのだ。

2020.1.8  【今週はこれを読め! エンタメ編】駅伝に興味のない人にもおすすめの額賀澪『タスキメシ 箱根』

今年の年始も箱根駅伝に釘付けでいらしたファンのみなさん、来年の大会まであと360日ほどどのようにお過ごしでしょうか? もちろん元日には実業団の大会であるニューイヤー駅伝もありますし、大学三大駅伝(←箱根を合わせて)である出雲・全日本なども始まるわけですが、それでも箱根は特別なんですよね。箱根駅伝は1年にたった2日間、残りの300と何十日間(箱根以外の大会やマラソンも観るとしても)を我々は駅伝なしの日々を送らなければならない。そんなファンたちを支えてくれるもののひとつが駅伝小説だと思うんです。

2020.1.7  【今週はこれを読め! SF編】横たわるグリオール以前と、死んだグリオール以後

『竜のグリオールに絵を描いた男』につづく、シリーズ第二短篇集。この欄で前作を取りあげたおりにふれたが(http://www.webdoku.jp/newshz/maki/2018/09/11/173735.html)、麻痺状態で横たわりながらも成長をつづける超巨大竜グリオールをめぐる物語だ。グリオールは人間を操るとひとびとは信じている。しかし、実際に竜の意志がテレパシー的に働いているのか、それとも人間の心にある呪術信仰による誘導なのか、あるいは運命論的な見立てで事後に物語化されるのか、判然としない。そこから醸しだされる靄のような感覚がじつにみごとだ。定型的なファンタジイ設定にはおさまらない世界である。

2020.1.6  冬アニメ『魔術士オーフェンはぐれ旅』原作者・秋田禎信さん&オーフェン役・森久保祥太郎さんインタビュー|森久保さんが現場一番の若手から若手を引っ張る座長へ

1994年に小説連載が始まり、1998年にアニメ化、2019年には舞台化と、長年に渡ってたくさんのファンに愛され、様々な展開を見せてきた『魔術士オーフェンはぐれ旅』。

2019.12.25  【今週はこれを読め! エンタメ編】子供たちに愛され続ける"あの人"の伝記『サンタクロース少年の冒険』

サンタクロースは存在する。この本を読めばわかる。「サンタクロースはいる」派vs.「いない」派の長年に渡る論争にようやく終止符が打たれたといえるのではないか。

2019.12.24  【今週はこれを読め! SF編】寄稿者の持ち味が十二分に発揮されたオリジナル・アンソロジー

創元SF短編賞出身作家を中心に編まれたオリジナル・アンソロジー《Genesis》の第二巻。第一巻『一万年の午後』(http://www.webdoku.jp/newshz/maki/2019/01/08/144902.html)と同様、ホームグラウンドだけに、寄稿者それぞれが自分の持ち味をのびのびと発揮している。

2019.12.18  【今週はこれを読め! エンタメ編】音楽が聴こえてくるような短編集〜恩田陸『祝祭と予感』

優れた音楽小説であり、さらに直木賞と本屋大賞の両方を受賞した『蜜蜂と遠雷』の愛読者にはたまらないファンブック的な要素も持ち合わせているのが本書。私にとっても『蜜蜂と遠雷』はその年に読んだ本のベストだったので(確か朝井リョウさんも同じ趣旨のことを語ってらして、意を強くしたものです)、『祝祭と予感』は期待を胸に読み始めたのだが、もう涙ものだった。

2019.12.11  【今週はこれを読め! エンタメ編】ささやかな日常が素晴らしい〜『とんがりモミの木の郷』

セアラ・オーン・ジュエット。この名前にお心当たりのある方は相当のアメリカ文学通といえるのではないか。私も学生時代は英米文学専攻だったゆえ、テスト前の一夜漬けで作家の名前を暗記したりもしたものだが、ジュエットという固有名詞にはまったく覚えがない(訳者解説でも、ジュエットの知名度の低さは指摘されている)。しかし、いいですよ。すごくいいです、ジュエット! こんな月並みな言い方しかできないほどに。

2019.12.10  【今週はこれを読め! SF編】複雑にもつれる多民族・多文化の未来史

アリエット・ド・ボダールは2006年から作品発表をはじめ、これまでにネビュラ賞、ローカス賞、英国SF協会賞を受賞し、各種の年刊SF傑作選へも多くの作品が採られている、旬の作家だ。彼女がデビュー直後から書きついでいるシリーズ《シュヤ宇宙》は、コロンブスと同時期に中国人がアメリカ大陸に到着し、独自の植民地文化を発展させた時間線上に展開する、長大なスケールの人類史だ。本書は、同シリーズこれまでに発表された31作品のうちから、9作品を選んで訳出した日本オリジナル短篇集だ。

2019.11.28  【今週はこれを読め! SF編】困難なミッションに挑む、量子魔術師と個性溢れるメンバーたち

舞台となるのは人類が宇宙へと広がり、複雑な人種的葛藤と利益対立の多国家文明を築いている遠未来。"魔術師"と異名をとる主人公ベリサリウス・アルホーナは、量子的感覚・思考を備えたホモ・クアントゥスのひとりだ。彼はその驚異的な能力をもっぱら詐欺に発揮している。詐欺といってもケチな違法行為ではなく、曲者や権力を相手取った知恵比べといった側面が強い。

2019.11.20  【今週はこれを読め! エンタメ編】亭主関白な夫の成長物語〜坂井希久子『妻の終活』

夫と自分のどちらが先立つだろうかということについては、ときどき考える。私の知る身近な夫婦(実の両親や祖父母)は圧倒的に妻が残されるというパターンが多かったため、これまではなんとなく自分たちもそうなるのではという気がしていた。しかし、こればっかりはどうなるかわからないということを、この小説によって思い知らされた。

2019.11.19  【今週はこれを読め! SF編】遍歴のなかで次々と物語内人物に重なる、ロマンチックな異界往還譚

アメリカの怪奇幻想文学史を概観した資料を読むと、日本ではさほど知られていないものの、〈ウィアード・テールズ〉以前の時期に活躍した重要作家としてかならず言及されている人物がいることに気づく。ひとりはロバート・W・チェンバース、もうひとりがこのジェイムズ・ブランチ・キャベルだ。

2019.11.14  【特集】『エリスの聖杯』刊行記念特別企画 常磐くじら先生×大森藤ノ先生スペシャル対談インタビュー

2019年11月15日頃に発売されるGAノベル刊『エリスの聖杯』の刊行を記念して、著者である常磐くじら先生と、本作の熱烈なファンであり、書籍化のきっかけとなったGA文庫刊『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』の大森藤ノ先生をお招きしてのスペシャル対談インタビューをお届けする。『エリスの聖杯』が書籍化に至るまでの道のりと、大森藤ノ先生が激賞する物語やキャラクターについて、さらにはお二人の視点から見る「悪役令嬢やダークヒーローの魅力」など、幅広く語っていただいた。

2019.11.12  【今週はこれを読め! SF編】「宇宙」と「時間」、対になった二冊のテーマ・アンソロジー

二冊組みのアンソロジー。いっぽうは「宇宙」、もういっぽうが「時間」がテーマだ。作品を寄せているのは、創元SF短編賞からデビューした俊英たちである。

2019.11.10  【今週はこれを読め! ミステリー編】『生者と死者に告ぐ』の執拗な語りに唸る!

あれあれ、ネレ・ノイハウスってこんなにおもしろかったけ。

2019.11.5  【今週はこれを読め! SF編】翡翠というモチーフが担う多義性、多視点で語られる物語の推進力

『翡翠城市』は異世界ファンタジイだが、感覚はひじょうに現代的だ。エキゾチズムやロマンチシズムに拠るのではなく、内政と外交においてシビアな駆け引きがおこなわれる。そのいっぽう、民族主義的・家族主義的な組織論も息づいている。物語の中心となる登場人物は、コール家の長兄ラン、次兄ヒロ、妹シェイの三人だ。

2019.10.31  ガチャがすべての痛快成り上がり伝『アキトはカードを引くようです』作者インタビュー

"スレ発ラノベ4"の第4弾として10月25日にMF文庫Jから発売される小説『アキトはカードを引くようです』の作者・川田両悟さんのメールインタビューをお届けします

2019.10.26  作家の読書道 第211回:又吉直樹さん

お笑い芸人として活躍する一方で読書家としても知られ、発表した小説『火花』で芥川賞も受賞した又吉直樹さん。著作『第2図書係補佐』や新書『夜を乗り越える』でもその読書遍歴や愛読書について語っていますが、改めて幼少の頃からの読書の記憶を辿っていただくと、又吉さんならではの読み方や考察が見えてきて……。

2019.10.23  【今週はこれを読め! エンタメ編】家族それぞれの家の記憶〜青山七恵『私の家』

「魔法の言葉」と聞いて、みなさんはどういうものを思いつかれるだろう? 「ありがとう」や「信じれば夢は叶う」といった万人の心に訴えるものを思い浮かべる方もいれば、スピッツの名曲「魔法のコトバ」を口ずさむ方もいるだろう。あるいは「やればできる」という「魔法の合いことば」を思い出す高校野球ファンもいるのでは(ヒント:「済美高校 校歌」で検索なさってみてください)。しかし、私が考える「魔法の言葉」は、「よそはよそ、うちはうち」である。このひと言で、いったいどれほどの子どもたちの訴えが却下されてきたことだろうか。

2019.10.18  【特集】『弱キャラ友崎くん』×『千歳くんはラムネ瓶のなか』最新刊同時発売記念 屋久ユウキ×裕夢 青春ラブコメ対談インタビュー

2019年10月18日に『弱キャラ友崎くん』第8巻、『千歳くんはラムネ瓶のなか』第2巻が同時発売となった。このたび2作品の最新刊発売を記念して、両作品の著者である屋久ユウキ先生と裕夢先生をお招きし、青春ラブコメ対談インタビューとしてお話をお聞きした。両作品は小学館ライトノベル大賞にて「優秀賞」を受賞すると共に、キャラクターや物語において「リア充」という存在も欠かせない共通点として有している。お互いの印象から各作品のキャラクターに込められた想い、地元を物語の舞台にした理由など幅広く語っていただいた。

2019.10.16  【今週はこれを読め! エンタメ編】涙あり笑いありの桂望実『たそがれダンサーズ』

タイトルに「たそがれ」とあるからには、キラキラの若さみなぎるテイストの小説ではないと予想がつくのではないだろうか。

2019.10.9  【今週はこれを読め! エンタメ編】読まずにいられない小説〜遠田潤子『廃墟の白墨』

遠田潤子の小説を好きか、と聞かれたらなんと答えればよいのか迷う。手放しで共感できる登場人物も少ないし、描かれる状況も積極的に身を置きたくないシチュエーションがほとんどだ。だから、私にとって遠田作品は好き嫌いとは異なる次元にある。読まずにいられないから読むものなのである。

2019.10.2  【今週はこれを読め! エンタメ編】瀧廉太郎の青春と音楽〜谷津矢車『廉太郎ノオト』

瀧廉太郎について知っていること。「花」や「荒城の月」の作曲者であること。メガネ男子であること。...もう終わってしまった。だから、廉太郎が23歳という若さでなくなったことも、"勉強も運動もクラスでいちばん"的なタイプだったことも、幸田露伴の妹たちと音楽を通じて交流があったことも(そもそも彼女らが音楽家だったことも)知らなかった。そして、廉太郎がこんなにも音楽に全身全霊を捧げていたことも。

2019.10.1  【今週はこれを読め! SF編】有無を言わせぬ怒濤の展開! 正調ワイドスクリーン・バロック!

ブライアン・W・オールディスが激賞、この作品のために「ワイドスクリーン・バロック」なるサブジャンル呼称を提唱までした話題作がついに翻訳された。

2019.9.27  【今週はこれを読め! ミステリー編】著者自身がワトソン役の謎解き小説『メインテーマは殺人』

一口で言うなら信頼関係がないホームズとワトスンなのである。

2019.9.26  【今週はこれを読め! エンタメ編】凪良ゆう『流浪の月』に打ちのめされる!

ただひたすらに打ちのめされる。こんな読書体験は久しぶりだった。どんな本にもおもしろみを見出すことができる得な性分なので(だからこのような文章を書いているともいえるが)、一冊読み終えるたびによかったと思える。しかし、読了後もいつまでも棘のように心に残る作品とは、そうそう出会えるものではない。『流浪の月』は、これからも折に触れて私の感情を揺さぶる小説であり続けるだろうと予感した一冊だった。

2019.9.19  「芥川・直木賞」、新選考委員に松浦寿輝氏と角田光代氏

日本文学振興会はこのほど、「芥川龍之介賞」の選考委員に松浦寿輝氏、「直木三十五賞」の選考委員に角田光代氏が就くことを発表した。これにより、「芥川賞」の選考委員は9人(男性6人・女性3人)、「直木賞」は同9人(男性4人・女性5人)となった。

2019.9.15  【今週はこれを読め! ミステリー編】移民問題に直面するインドリダソン『厳寒の町』

憎悪は液体と同じで、一定量を超えれば溢れるのを止めることはできない。

2019.9.11  【今週はこれを読め! エンタメ編】心を揺さぶる至言の宝庫〜ジュンパ・ラヒリ『わたしのいるところ』

複数の人間が万事においてまったく同じ考え方や感じ方をすることはあり得ない。他者に対して大多数の人間は、「だいたい同じような考え方をするけど、こういう点については違う」か「ほとんど似たところはないけど、こういう面は共感できる」か「似通った部分もあれば、そうでない部分もある」かのいずれかの気持ちを持つものではないだろうか(「全否定」に当てはまる他者というのはそう多くない、はず)。

2019.9.6  【今週はこれを読め! ミステリー編】夏の終わりに読みたい二つの中編『エレベーター』『わが母なるロージー』

暑さ寒さも彼岸までと言う。まだ夏が終わらないうちに、この本を読んでしまおう。

2019.9.4  『異世界チート魔術師』原作者・内田健先生インタビュー|「楽しい」からこそ、ここまで書き続けられた

小説投稿サイト『小説家になろう』(以下、なろう)で連載中、ヒーロー文庫より書籍版が刊行中の内田健先生によるライトノベル『異世界チート魔術師』。

2019.8.30  独占インタビュー「ラノベの素」 タンバ先生『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い』

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2019年9月1日にスニーカー文庫より『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い』が発売されるタンバ先生です。帝位争いが激化する帝国内において、出涸らし皇子とバカにされる一人の皇子が、双子の弟を帝位につかせるために暗躍を始めるファンタジーシリーズ。作品の裏側や内容についてはもちろん、2つの顔を有する主人公の暗躍の魅力、そして本作の見どころについてお聞きしました。

2019.8.30  【今週はこれを読め! ミステリー編】生命を懸けた脱出ゲーム『名探偵の密室』

名探偵が自らの生命を懸けた脱出ゲームに招待される。

2019.8.19  【今週はこれを読め! ミステリー編】不安に満ちたサスペンス『ケイトが恐れるすべて』

初めての街で暮らすとき、誰もが現実感を少し失う。

2019.8.13  【今週はこれを読め! SF編】これこそ現代のスペースオペラ!

脳が溶けるほど暑いので、気軽に読める作品でいきましょう。ちょっと前の刊行だけど、肩の凝らない現代スペースオペラ。ぼくはアイスキャンデーを囓りながら読んだ。

2019.8.7  【今週はこれを読め! エンタメ編】音楽に打ち込む若者たちの青春ミステリー『下北沢インディーズ』

バンドというものに多大なる憧れがあるのは、志を同じくする者同士が音楽をやりたいという情熱に駆られて集うものに違いないというイメージがあるからかもしれない(実際には「暇だな〜バンドでもやる?」「やってみっか」的なノリの場合もあるのだろうか。それはそれでまたよし)。個人的な萌えポイントは、幼い頃からの友だち同士がバンドを組むケース。早ければ早いほどいい。flumpool(幼稚園から)やUVERworld(保育園から)などは涙が出るほどありがたい。先日も、バナナラマのサラとカレンが4歳からの幼なじみと知って狂喜乱舞したばかりだ。

2019.7.31  【今週はこれを読め! エンタメ編】〈ぐるフェス〉に集うさまざまな人生〜中澤日菜子『お願いおむらいす』

食の記憶が思い出と密接に結びついていることは多い。オムライスに関して言うなら、今となっては祖母が作ってくれたものが懐かしい。実はとびきりおいしいというものではなかったのだが(祖母は決して料理下手ではなかったけれども、玉ねぎを根気よく炒める根気には欠けていたように思う。カレーなども玉ねぎが生っぽいのがネックだった)。しかし家庭料理というものは、孫に「子どもが喜ぶような食べ物を作ってやりたい」という気持ちがあればそれで十分ともいえるのではないか。

2019.7.27  作家の読書道 第208回:葉真中顕さん

日本ミステリー大賞を受賞したデビュー作『ロスト・ケア』でいきなり注目を浴び、今年は『凍てつく太陽』で大藪春彦賞と日本推理作家協会賞を受賞した葉真中顕さん。社会派と呼ばれる作品を中心に幅広く執筆、読書遍歴を聞けば、その作風がどのように形成されてきたかがよく分かります。デビュー前のブログ執筆や児童文学を発表した経緯のお話も。必読です。

2019.7.26  【今週はこれを読め! ミステリー編】英統治下インドでもがく警部と部下『カルカッタの殺人』

解けない謎があることのもどかしさを楽しさに変換してくれる警察小説だ。

2019.7.24  【今週はこれを読め! エンタメ編】図書館が"見て"きた人々〜中島京子『夢見る帝国図書館』

このような文章を書く仕事をさせていただいている身なれば、原則として本は買って読むべきものであることは重々承知しているが、私は図書館も大好きなのである。実家は率直に言って貧乏な家庭だったので、もし図書館や学校の図書室がなかったら、私はどうやって本を読む手段を得ることができたかわからない。

2019.7.23  【今週はこれを読め! SF編】冬の物語、夢の物語、大胆なガジェットと切ない恋情

冬の物語、あるいは冬へと向かう物語。SFの歴史のなかで、いくつも印象的な作品が生まれてきた。ライバー「バケツ一杯の空気」、ティプトリー「愛はさだめ、さだめは死」、ル・グィン『闇の左手』、コーニイ『ハローサマー、グッドバイ』。本書はその系譜に連なる一冊だ。

2019.7.23  2018年度電子出版市場は3122億円で前年度比12.2%増と推計 ~ インプレス総合研究所『電子書籍ビジネス調査報告書2019』

株式会社インプレスのシンクタンク部門であるインプレス総合研究所は7月23日、2018年度電子出版市場の動向調査結果概要を発表した。2018年度の電子出版市場は3122億円と前年度比12.2%増で、うち電子書籍市場は2826億円と同26.1%の急増、逆に電子雑誌市場は296億円と同6.0%の減少傾向と推計されている。また、2023年には電子出版市場が4610億円、うち電子書籍市場は4330億円になると予測している。

2019.7.20  【今週はこれを読め! ミステリー編】スウェーデン発の歴史ミステリー『1793』

今ここにいる自分の当たり前が、違う場所、違う時間では当たり前ではないことを小説は気づかせてくれる。

2019.7.18  独占インタビュー「ラノベの素」 八目迷先生『夏へのトンネル、さよならの出口』

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2019年7月18日にガガガ文庫より『夏へのトンネル、さよならの出口』が発売された八目迷先生です。第13回小学館ライトノベル大賞にて「ガガガ賞+審査員特別賞」を同作で受賞し、満を持してデビューされます。「本当に欲しいもの」を手にするために、時空を超える摩訶不思議なトンネルに挑む少年少女の物語を描く本作。駆けた先に待っているものはなんなのか。本作の内容や作品の着想、キャラクターについてもお聞きしました。

2019.7.17  芥川賞に今村夏子さん 直木賞に大島真寿美さん

第161回芥川賞と直木賞の選考会が東京で開かれ、芥川賞は今村夏子さんの「むらさきのスカートの女」、直木賞は大島真寿美さんの「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」(うず/いもせやまおんなていきん/たまむすび)が、それぞれ選ばれました。

2019.7.16  ピース又吉の恋愛小説『劇場』が映画化 主演・山崎賢人、ヒロイン・松岡茉優の同い年コンビ

長編デビュー作『火花』で第153回芥川賞を受賞したお笑いコンビ・ピースの又吉直樹の受賞後第1作となる小説『劇場』が、映画化されることが決定し、松竹とアニプレックスの共同配信で公開。行定勲監督がメガホンを取り、主演は山崎賢人(24)、ヒロインは松岡茉優(24)の"同い年コンビ"が務めることが発表された。

2019.7.16  【今週はこれを読め! SF編】ミルハウザーの新しい試み、しかし変わりのない魔法の言葉

スティーヴン・ミルハウザーの言葉は、ささやかな、しかし鮮やかな魔法のように、読み手の世界を変えていく。『イン・ザ・ペニー・アーケード』『バーナム博物館』『ナイフ投げ師』『十三の物語』といった短篇集に収められた諸篇を読むとき、ぼくの脳裡に浮かぶのは、十八世紀スイスの時計職人が生みだした精妙な機械細工だ。小さな空間に驚異と憧憬が詰まっている。

2019.7.11  『逃げ出せなかった君へ』安藤祐介

現在、日本では働き方改革が推奨されている。小説では『わたし、定時で帰ります。』がより良き働き方を訴え、断固と立ち向かう女性が泣き笑いの奮闘をし、自分たちの道を切り開いていく様が、共感を得て、大ヒットしている。

2019.7.9  【今週はこれを読め! SF編】何度も滅びて再興する三体世界の文明、それが地球にもたらすもの

質・量ともに中国の現代SFの隆盛がめざましい。その頂点に位置するメガヒット作が本書『三体』だ。もとはSF専門誌〈科幻世界〉に連載されたもので、2008年に単行本が刊行。続篇の『黒暗森林』『死神永生』と併せ、これまでに2100万部を売り上げたとも言われている。ケン・リュウの手による英訳版はヒューゴー賞を射止めた。おそらく今世紀に入ってからいままでのSFシーンにおいて最高の話題作だ。

2019.7.2  【今週はこれを読め! SF編】架空都市をめぐる36の断章

ギョルゲ・ササルマンはルーマニアのSF作家。1941年生まれだから、アメリカのサミュエル・R・ディレイニー(42年)、ジョー・ホールドマン(43年)、イギリスのクリストファー・プリースト(43年)、イアン・ワトスン(43年)と同じ世代にあたる。日本ならば田中光二(41年)、伊藤典夫(42年)。大ベテランだ。

2019.6.26  【今週はこれを読め! エンタメ編】逆境に立ち向かう75歳正子の奮闘記〜柚木麻子『マジカルグランマ』

私の目に映る祖母は完璧な人だった。97歳で亡くなった母方の祖母とは、私が結婚して実家を出るまでほぼずっと同居していた。とにかく優しい。よくないことをしたら注意はされたけれども怒鳴られたり叩かれたりしたことは一度もない。

2019.6.25  【今週はこれを読め! SF編】もはやそれほど危険ではないが、アイデア・ストーリーとして面白い

アメリカSFはその揺籃期(二十世紀の幕開けから1920年代)において、科学技術ホビイストあるいはティーンエイジャーむけの大衆文芸として発展してきた。その後、1930年代末の〈アスタウンディング〉誌でのキャンベル革命、1950年代初頭の〈F&SF〉や〈ギャラクシー〉での文芸的洗練があり、読者層も大きく広がるのだが、作品が扱うテーマや表現面における自己検閲(作家自身による、または編集者による)は根強く残っていた。SF界の風雲児ハーラン・エリスンは、そうした風潮に敢然と叛旗を翻し、このオリジナル・アンソロジーを企画した。

2019.6.22  作家の読書道 第207回:最果タヒさん - 作家の読書道

作家の読書道 第207回:最果タヒさん

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